「話が進むのが早くなった」。部門を超えたコミュニケーションを活性化させた日本ベクトン・ディッキンソンのオフィスづくり

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【日本BD福島工場 執務エリアのリニューアルに関わった藤川聰子さん、吉田英二さん、上川あゆみさん(左から)】

【PR】多くの企業がリモートワークを取り入れている中、オフィスの価値が問われています。「当社でもリモートワークが可能となっている中で、オフィスに出社する価値をどこに見い出せば良いのかな?そんな思いって少なからずあると思うんですよね」。

「日本ベクトン・ディッキンソン株式会社(以下:日本BD)福島工場」で執務エリアのリニューアルを担当した、同工場エンジニアリングマネジャーの吉田英二(えいじ)さんは、社員が出社したくなる理由がオフィスに必要だと、実感を込めて話します。

2021年10月、空間づくりで企業の課題を解決する「コクヨ東北販売株式会社」の支援を受けて、リニューアルした同工場の執務エリア。コンセプトは「ワクワクするオフィス」。オフィスの価値を高めるために同工場が実践しているオフィスづくりを取材しました。

◆集中できる環境がコミュニケーションの妨げになっていた

米国に本社を置く世界有数の医療機器・メドテック企業の日本法人である日本BD。福島工場は製造設備のほか、配送センターや研修施設、実験室が併設されています。一見すると工場とは思えない日本瓦の建物から、医療現場へ製品を送り出しています。

【人の命をあずかる製品は、美しく整備された環境の中で生み出されなければならない、という考えをもとに建てられた日本BD福島工場の外観(写真提供:日本BD)】

執務エリアのリニューアルに際しては、仕事をする場と感じないような空間を目指したといいます。中央にはシンボルツリーを配し、リラクゼーションスペースには、カフェのようなカウンターと海外の風景など癒し系の映像を映す大きなモニター。オフィス家具はマカロン風のテーブルやカラフルな椅子・ソファなど、オフィスのイメージから離れたアイテム選びが意識されています。

【リニューアルした執務エリアの様子。社員が思い思いの場所で業務をこなす】

「みんなパーテーションの中で仕事をしている感じでした」。リニューアル前の執務エリアの様子をこう振り返るのは、吉田さんと同様、執務エリアのリニューアルを担当した同社カスタマーサービススペシャリストの上川あゆみさん。

リニューアル前の執務エリアは、学校のように全ての机がひとつの方向を向いたレイアウトでした。席はパーテーションで区切られ、「横同士の会話もなくて、他部門の人が来ても見て見ぬふりするみたいな雰囲気もありましたね」と、吉田さんもリニューアル前を振り返ります。

集中力を必要とする業務に適した空間づくりは、裏を返せば社員同士のコミュニケーションを希薄にする環境でもあったのです。

 

◆業務ごとにエリア分けして空間を最適化。会話が増えて明るいオフィスに

そんな福島工場の執務エリア。リニューアルを支援したコクヨ東北販売が提案したのが、業務内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶ働く「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の考え方でした。

会話が生まれるオープンスペース、よりカジュアルな雰囲気で会話ができるリラクゼーションスペース、パーテーションに囲まれた集中作業スペース、音を気にしないでリモート会議ができるチャットルーム。このように業務内容に合わせてエリアを分け、空間を最適化しました。

また、固定席を廃止してフリーアドレス制にしたことで、社員はそのときの気分や業務内容に応じて、パフォーマンスが発揮しやすい場所を選べるようになりました。コミュニケーションを促進させる目的でパーテーションを取り払ったオープンスペースでは、社員同士の会話が多くなったといいます。

その実感を、上川さんはこう話します。「部門を超えたコミュニケーションをとれるようになっただけでなく、仕事の話からたわいない話までできるようになりました」。執務エリアは見た目だけでなく、そこで働く人たちの雰囲気も含めて明るくなりました。

 

【開放的な雰囲気のオープンスペースと、吸音性の高いパーテーションに囲まれた集中スペース】

\空間から仕事を変革/

 

◆「話が進むのが早くなった」。打ち合わせを設定しなくても話が進む環境に

「話が進むのが早くなりましたね」。リニューアル後の変化についてこう話すのは、安全で衛生的な工場の環境づくりを行うEHS部門のアソシエイトマネジャー藤川聰子(さとこ)さん。「私は他部門とのやり取りが多いのですが、他部門の方もふらっと訪ねて来てもらえるようになりました。声をかけてもらいやすくなりましたね」

以前は、ミーティングを設定しないと話し合いができなかったといいます。しかし今は、「思いついたその時に話しにきてもらって、その日のうちに次やることが決まる、みたいなこともあります」と、ポジティブな変化を実感しているという藤川さん。

こうした変化を自身も目の当たりにしてきた吉田さんは、これからのオフィスの価値について、こう感じているといいます。「集中したいときは集中できる、誰かに話があるときはすぐに集まって、PCで画面共有しながら、場合によってはその場でリモートもつないで話ができる。そういうことが制限なくスムーズに行えることが、これからのオフィスにとって大事なのではないかと思います」

【開放的な空間づくりが、職場のコミュニケーションを活性化させている】

◆「与えられた」オフィスから、自分たちが良くしていく場へ

福島工場では、執務エリアの運用についても、日々のアップデートが早くなっているそうです。オフィスの改善要望を投書する意見ボックスには、たくさんの意見が寄せられるように。上川さんも変化を実感しているといいます。「以前からアップデートはあったけど、オフィスを良くしたいという意見がみんなからこんなに活発に出ることはなかったですね」

外国出身の社員も勤務する福島工場。執務エリアのカウンターにある黒板はコクヨ東北販売のオフィスがヒントになって取り入れられたもの。それぞれの出身国の言葉が綴られた季節ごとのイラストは、みんなのコミュニケーションのきっかけになればと、社員が描いたものです。

【カフェを意識したカウンターの様子。黒板では社員の遊び心が発揮されたイラスト】
ノートパソコンを使っている男性

「ここはこんな感じだったらいいよね、というアイデアが自発的に生まれて、自律的に変化していく、そういうサイクルができ始めているのを感じます。以前は与えられたオフィスというか、こうだったらいいのにと思っても『まあしょうがないか』という感じでした。でも、今は自分たちの所有物という感覚があると思うんですよね」と、吉田さん。リニューアルした執務エリアは、そこで働く人の行動を変え、意識も変えています。わざわざ通っていたオフィスは、これからの変化が楽しみな「わくわく」できるオフィスになっているようです。

 

\空間から仕事を変革/

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ローカリティ!編集部

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