【大阪街物語#1】大正生まれの珈琲店にみる、大阪商人の心意気 

何気なく通りかかる街角の珈琲店。少し立ち止まり言葉を交わすと見えてくる、大阪の魅力に迫った。


大阪市内には、おいしい珈琲を出してくれる珈琲店が多い。一口に珈琲店と言っても、若者向けのカジュアルな内装の店から、常連で賑わう外観の重厚な店まで様々だ。

なかでも今回は、大正2年(1913)創業の老舗珈琲店を紹介したい。大阪市中央区本町、本町橋の近くに佇む「ゼー六」(ぜいろく)である。

レトロな外観に目が留まり、店内へ。珈琲とアイスモナカのセットをいただく。アイスモナカは甘過ぎないすっきりとした味で、珈琲にとても合う。

3代目店主の廣瀬光徳さん(57)に話を聞いた。「創業当時のものはなるべく残そう、そういう気持ちで店をやっています」と実直なご主人は控えめに語る。

それにしても、「ゼー六」という変わった店の名前が気になるところだ。店名の由来を説明する張り紙を私は見逃さなかった。

張り紙によると、幕末の大阪には自由闊達な気風が満ちており、次のような格言があったそうだ。

「商人には無用の贅物六つあり。いわく禄、閥、引、学、太刀、身分。これなり」

これは、商人の町・浪速の自由な気風、そして、そこに息づく実力主義を表した言葉で、 「ゼー六」は、この「贅六」から命名したとのこと。

禄=給与、閥=家柄、引=コネなどには頼らない。信じるものは己の才覚と、創意工夫。そんな大阪商人の心意気を再確認できた。

たとえ環境が厳しくても、資源が乏しくても、知恵と工夫で幾多の困難を乗り切ってきた大阪商人。新型コロナウイルスの感染拡大で難しい状況が続く現代にも通じるものがある気がする。

集う人々の個性と活気にあふれたまち、大阪。大阪の人と街にフォーカスしたハツレポを「大阪街物語」シリーズとしてお届けする。

【お店の情報】

「ゼー六」
住所:大阪市中央区本町1−3−22
おすすめのメニュー:アイスモナカ(2個) 200円、珈琲とアイスモナカのセット350円

※現在は、緊急事態宣言でテイクアウトメインになっています。

吉田和成

大阪府大阪市/第1期ハツレポーター

出身は横浜で、いまは大阪で金融機関で働いております。
過去2014〜2016年に和歌山にも転勤で住んでいたことがあります。関西は人間の温かさが東京より残っており、魅力に溢れていると感じています。
ハツレポ発信を通じて魅力を見つけていきたいと思います。
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