中国から日本へ国境を越え。時代に合ったサービスの軸を追い求め爆買いを機に越境ECで創業<Inagoraホールディングス株式会社 翁 永飆さん>【東京都港区】

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「ショッピングに国境はない」をミッションに掲げるInagoraホールディングス株式会社(以下、インアゴーラ)は、中国の消費者が日本の商品を簡単に購入できる越境EC(電子商取引)アプリ「豌豆公主(ワンドウ)」を運営しており、現在約1千150のブランドと約1万8500種類の日本商品を扱っています。
ご自身も中国出身で、国境を越えて日本で活躍する代表取締役CEO翁 永飆(おう・えいひょう)さん。2000年にIT関連で1社目を創業して以来、時代の変化をいち早く察知しサービスの軸を変え、5社を立ち上げてきました。2016年創業当時、中国人の爆買いが社会現象となっていたときにビジネスを発案し、日本の優れたプロダクトを中国人が気軽にECサイトで購入できるようになればと、創業しました。
翁社長がどのような経緯で中国から日本へ来たのか、インアゴーラの実績や展望をお伺いしました。

中国から日本へ飛び出し、多くの社会経験の末に日本で生きる決意

インアゴーラは「ショッピングに国境はない」をミッションに掲げ、中国の消費者が日本の商品を簡単に購入できる越境EC(電子商取引)のアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」を運営しています。

事業立ち上げの背景には代表取締役CEO翁 永飆(おう・えいひょう)さんの経歴が大きく影響しています。

中国で生まれ育った翁さん。1987年、翁さんが高校生だった当時は、「中国を出て海外に行くのが難しい時代だった」といいます。そんな中、同級生から日本語語学留学ビザなら簡単に手に入るという情報を入手。反対する親を説得して、留学生として渡日しました。

日本での生活が始まった翁さんは日本語学校に通いながらアルバイトをして月に10~20万を稼ぎ、自力で生計を立てることになります。語学学校を卒業後は大学・大学院へと進み、7年間勉学に励みつつ働き続けました。「居酒屋、工事現場、ホテル清掃、ティッシュ配りなど何にでも飛び込んで、いろんな人と関わった。その時の経験が今も生きている」と話します。

大学院を卒業し、中国人として初の新卒採用者として1996年に伊藤忠商事に就職。

社会人として日本でのビジネスマナーを身に付け、2000年には独立しIT関連のベンチャー企業を立ち上げます。

爆買いブームに見た「日本と中国のギャップ」から、自身の目線に気づく

14年ごろに迎えた訪日中国人の「爆買い」ブーム。中国の経済力が拡大し、東京・銀座などの繁華街を中心に中国人があふれ、あらゆるものを根こそぎ買っていくという一種の社会現象が起こります。多くの小売店では、売り上げがぐんぐん伸びる一方で、買い物習慣やマナーの違いからトラブルが発生することもあったとか。

「日本人から見ると、中国人の買い物マナーが悪いとかわがままだとかと思うかもしれません。一方中国人からは、日本人は買い物の時も慎重すぎてなかなか決められない、常にビクビクしているなんてことも言われたりします。どちらかが悪いのではなく、ギャップがあるだけなんですよね」

翁さんは、自分が両方の国の目線を持っていることに気づきました。

「ショッピングに国境はない」越境時の障害をクリアするプラットフォーム事業を展開

そして、この2国間のギャップは、インターネットを用いることで埋められるのではないかと思いついた翁さん。日本の商品を中国でスムーズに販売できるサービスを開発し、14年12月にインアゴーラを設立しました。

「当時は国をまたいだイーコマースがなく、革新的なアイデアでした。中国の急拡大しているマーケットに日本の優れたプロダクトを届けるビジネスは、日本と中国の両方について知りえている私にしかできないと感じました」

翁さんは15年、「ショッピングに国境はない」と銘打ち、日本商品に特化した中国向けワンストップ型越境EC「豌豆公主」を立ち上げることに成功しました。

特に情報の越境という点に注力しています。コンテンツ制作、マーケティング、越境物流、決済、そして販売チャンネル展開といった販売活動に必要なすべてのサービスをワンストップで提供するプラットフォームとなっています。

日本の商品を中国のお客様が安心・簡単に購入できるだけでなく、日本企業も言葉の壁を気にせず越境ビジネスを始められる、誰にとっても便利で頼れるECサービスです。

また、中国における市場調査や宣伝支援まで、全てインアゴーラが一貫して行っています。

時代に沿ったサービスの在り方を追求し続け、独自性と需要を保つ

立ち上げから8年が経った現在も、日本のプロダクトをワンストップで中国の消費者に届けるサービスは唯一無二です。「しかし、日本も中国も、取り巻く環境は目まぐるしく変わり、新しい波に乗り続けないとシュリンクしてしまう」と翁さんはいいます。

サービスをスタートした当時はコスメやブランド品などが人気でしたが、現在はZ世代向けのカルチャー文化に特化した商品が人気とのこと。市場のトレンドをキャッチしながら新しい分野へも果敢に挑戦することで、事業の唯一無二性を今も保っています。

世の中にフィットしたサービスや商品を常に追い求めてきた結果、翁さんは「5年ごとにサービスのコアを変えて新しい会社を作ってきた」といいます。

近年、中国メーカーの商品力が上がり、中国製で価格優位性のある高性能なスマートデバイス関連製品が出てきています。

すでにアパレルや雑貨商品などでは中国ブランドが日本向けの販売を拡大させていますが、スマートデバイス製品の分野でも同様の需要が見込まれると感じています。

水温も餌やりもスマホ一つで管理でき、初心者の方でも簡単に始められるように全てのパーツが1セットにまとまったオールインワンのスマート水槽『Biorium(https://www.biorium.jp/)』の販売スタートさせました。

今後も、時代に沿ったサービスに関わっていきたいと、先を見据えています。

聞き手、執筆:田口有香

田口有香

田口有香

第4期ハツレポーター/ライター兼農家の嫁であり、3人の子どもの母。生まれ育った大阪から壱岐島に家族で移住。
壱岐島は長崎県の離島ですが、福岡から高速船で65分という抜群のアクセス!!海がきれいなのはもちろん、お魚もお肉も野菜も米も焼酎もそろっておりグルメも自慢できます。

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