不動産・まちづくり事業を通して、関わる全ての方々の幸せづくりに貢献している株式会社TonTon。利益を集めるのではなく、人を集める「人儲け」を信条として、売り手よし 買い手よし 世間さまよしという三方よしの「超人間中心経営」を掲げています。
人を大事にする経営は、アパレル、WEB、飲食、ドローン、システム開発などさまざまなビジネスを展開してきた代表取締役・今川博貴(いまがわ・ひろき)さんの経験に由来しています。仲間とともに起業し、壮絶な経験をしてきた今川さんのビジネスストーリーをひも解きながら、事業に対する思いを伺いました。
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「どうせ仕事するなら、気の合う仲間とやった方がおもしろいじゃん」で起業するも・・・
株式会社TonTonは、不動産の仕入れから販売、管理をワンストップで包括的にサポートしています。不動産売買の仲介、賃貸経営管理を主力にしつつも、不動産に特化したプロフェッショナル人材の紹介、拒まれがちなシニアの入居をサポートするサービスなど「人」に重点を置いた事業を展開しています。
そこには、代表取締役である今川さんの経歴が大きく反映されています。
高校を卒業してから19歳で仲間5人と起業した今川さん。きっかけは、人生のほとんどが仕事をしている時間だと気付いたことでした。「どうせ仕事するなら、気の合う仲間とやった方がおもしろいじゃん」そう思った今川さんは仲間とともにアパレルブランドを立ち上げ、先輩など周囲の協力もあり事業は好調に推移しました。
ところが、過信からさらなる良い条件を求めて同業他社のブランドに移籍してしまい、先輩に不義理を働いてしまったのでした。「人生最大の過ち」と、後悔の念にかられた今川さんは先輩と移籍先に謝罪して、そのブランドを置いていなくなりました。
お金、ブランド、信用と全てを失い、マイナスからのスタートとなった今川さんと仲間の5人。
今度は、モデルの女性と知り合いだったことから、モデルのブログを集めたネット媒体を立ち上げます。5畳一間の事務所でパソコン1台を使い回しての切り詰めた運営を行っていましたが、社会人経験が無く、マネタイズの方法が分からないために事業は立ち行かなくなってしまいます。その後、苦肉の策で廃品回収業を始めますが軌道に乗らず、ついには仲間がベランダの鉢植えの土を口にするほど困窮したといいます。
「このままでは全員がダメになる」と、思った今川さん。
「また再集結しようぜ」と、いったん仲間が散り散りになりました。
仲間たちはIT業や不動産業などそれぞれの人生を歩み、今川さんは先輩の広告代理店の営業として働きます。広告営業の仕事を休みなくガツガツ働いて2年くらい過ごした頃、なんと裏切ってしまった先輩から「沖縄のホテルを3人で買収しよう」と今川さんに連絡がありました。
2年間死に物狂いで働いた全額を買収に使ってホテルの運営に関わった結果、修学旅行などを受け入れることで収益が9倍以上に伸びました。
そして、そのホテルをリノベーションして売却したお金を元手に会社を立ち上げることに成功します。その会社の一つが、株式会社TonTonでした。
この機会に、今川さんは「また再結成しようぜ」と当時アパレルブランドで起業した仲間4人を呼び戻し、全員が再び集まりました。
「お金がなくても満たされているのは、仲間がいるから」。人にフォーカスした企業理念の理由
株式会社TonTonは2024年8月9日で創業11周年を迎え、当初アパレルブランドを立ち上げた時の仲間が集ってから、現在で20年が経過しています。
現在まで、紆余曲折を経て立ち上げた会社はクレジットカードの代行サービスや、靴磨きの出張サービス、システム開発、ドローン事業などトータル20数社にも及び、6社を売却しました。
「会社を作っては売却し、作っては売却しという結果になりましたが、別に狙ったわけではなく、単純に何をやるのかよりも、誰とやるのかの方がすごく重要だと初めから思っているので」と、今川さん。「最初に5人で始めたアパレルブランドが私のビジネスの原点で、人ありきで事業が成り立っていった結果」だといいます。
その原点というべき当時、今川さんはお金がなく移動するのにも不自由もしたけれど、そんなのは苦ではなく、結構楽しかったと振り返ります。「ある日気が付いたんですが、お金だけでは幸せにはなれないと思ったんです。なぜお金がなくても満たされていたかというと、周りに仲間、人がいるからだと」
それから「会社を立ち上げるなら、人を企業理念にしよう」と思ったと、今川さんは語ります。
得意な「仲間集め」を展開し、海外に進出
今川さんは「仕事は何もできません。仲間に助けられています」と謙遜しますが、「仲間集め」は得意だと胸を張ります。
幼馴染5人と会社を運営していることについて「友達だからこそ心の変化を察することができ、同じ方向を向いて成長していこうっていうのはすごいぜいたくであり幸せです」と語ります。
仲間というのは会社の社員やチームはもちろん、仕事に関わり協力し合う外部の人たちも仲間と捉えており、仲間になりたい人の条件として「幸せや感謝に気づける人」をあげます。
「ありがとうの反対はあたり前。朝起きた瞬間は当たり前じゃないんです。朝を迎えられたというその幸せに気付けるかどうかって大事で、気を抜くと当たり前になっちゃうんです」
そして今、その「仲間集め」は、世界へと進出しています。
現在、株式会社TonTonではシンガポール法人の開設を予定しており、投資家向けの不動産販売活動などを行うほか、シンガポールを起点にアジアを中心とした技能実習送り出し機関への人材教育や紹介業も行う目的で、今川さんはシンガポールに移住しています。
「与えるために得るビジネスをしたい」ビジネスの成功と人生の成功は別である
「世の中や社会、そして人類の課題を解決できること」「それに対して私がワクワクできるのか」ということを基準に、さまざまなビジネス展開をしている今川さんは、ビジネスの成功を一言で「得ることである」と定義しています。
ビジネスに成功すれば、お客さまの思い、時間、経験からくる知恵、経済力、地位や名誉などが得られ、これに同意する方も多いかと思いますが、同時に「人生の成功とは?」と問えば、答えられる人は少ないとのことでした。「多くの人はビジネスの成功イコール人生の成功と捉えていますが、明確に区別しなくてはいけません」と、今川さん。そして、人生の成功とは「与えることである」と語ります。
「自分の思いを伝える、自分の体を使った時間を差し上げる、経済力で提供することもできる。総じて人生の成功は与えること。つまりは得るために得るビジネスではなく、与えるために得るビジネスをしたい。得ることは悪いことじゃなく、与えるための目的なんです」
そして、「根源的には本当に人類に貢献して本当に思いっきり寄付したいんです。そのためにビジネスをやっています」と、今川さんは熱く語ります。
パワフルかつ優しさにあふれる今川さんは、さまざまな仲間との経験を通し「人」にフォーカスした企業理念を掲げました。その思いは新規事業を展開する世界へ、そして新入社員などの次世代へとつながっていきます。
聞き手: 中野宏一 執筆: 森川淳元
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