
1万円から、オンラインで不動産投資ができるーー。「そんな未来が本当に来るのか?」と感じるサービスを立ち上げ、業界をリードしている企業があります。
不動産投資クラウドファンディングサービス「CREAL(クリアル・以下CREAL)」を運営するクリアル株式会社(以下クリアル)は、「不動産投資を変え、社会を変える」というミッションを掲げ、「誰もが手軽に、楽しく、安心して資産運用を始められる社会の実現」を目指しています。
「CREAL」は、不動産投資は「むずかしい」「まとまった資金が必要」「手間がかかる」。そんな課題を解消し、資産運用の民主化を掲げるサービスです。
創業時に抱いていた違和感、コロナ禍での決断、そしてESG不動産への取り組みを通じて社会を変えようとする未来像まで、代表取締役社長 執行役員CEOの横田大造(よこた・だいぞう)さんにお話を伺いました。
目次
“不動産投資は難しい”というイメージへの違和感
横田さんが事業を始めるきっかけとなったのは、「不動産投資が一般の人にとって門戸が閉ざされている」という気付きと強い違和感でした。
不動産投資は多額の資金や手間がかかり、専門的な知識が必要なため、個人投資家にとっては縁遠い存在でした。日本では株式投資の経験者は一定数いる一方で、不動産投資の経験者はごくわずかにとどまっています。
「不動産投資は、ミドルリスク・ミドルリターンという魅力的な資産運用手段にも関わらず、個人に浸透していない現状を、課題としてとらえました」と横田さんは語ります。

2011年に創業し、すでに不動産ファンド事業や資産運用サービスを展開していた同社ですが、2018年に“クラウドファンディング×不動産投資”という新しい仕組みを打ち出した「CREAL」を世に送り出しました。それまでプロが扱ってきた投資商品を、個人でもオンラインで少額から参加できる形にする。この挑戦から、クリアルのストーリーが動き始めました。
コロナ禍で試された“理念の本気度”
クリアルが事業をするうえで重要視しているのは、「投資家保護」という考えです。コロナ禍で、この理念がどれほど本気なのかを突きつけられるような出来事がありました。
「CREAL」がファンドとして運用していた上野のホテルが営業を継続できず、賃料を支払えない状況におちいったのです。このままでは運営が維持できず、投資家にリターンを提供できない可能性がありました。
「投資家の資金を守るにはどうするか。そこで私たちは、“自分たちで賃料を支払う”という判断をしました」と横田さんは話します。
同社は上野のホテルを、内装付きですぐに使える「セットアップオフィス」へと用途転換し、自らも移転。賃料を負担することで、投資家の資産を守りました。
理念として掲げていた「投資家保護」を、言葉ではなく“行動”で貫いた歴史が、クリアルの土台になっています。
1万円からの不動産投資が、社会インフラに変わる道筋

「CREAL」が注力しているのは、老人ホーム、保育園、ホスピスといったESG(環境・社会・ガバナンス)不動産です。これらは社会に欠かせないインフラでありながら、物件規模や投資対象としてこれまでに積み重ねてきた実績・運用履歴の不足から資金調達が困難でした。しかし、不動産クラウドファンディングを利用すれば、個人投資家が少額から投資することができます。
「社会に必要なアセットに資金を供給する。同時に個人投資家にも安定したリターンを提供する、それが私たちの役割です」
横田さんのこの言葉に、クリアルの本質が表れています。
大きな資本が動かない場所に、小さな資金を集めて流す。クラウドファンディングで集めた“少額の力”が、社会に必要なアセットを支え、投資家は安定したリターンを得る。
その構造こそが、クリアルが注目したポイントでした。投資とはリターンだけではなく、「誰かのためになる行為」にもなり得る。そんな価値観の転換が、今まさに広がり始めています。
理念を行動に落とし込む組織づくり

クリアルでは現在、従業員が300人を超え、組織は新しい段階に入りました。会議室や執務室には「不動産投資を変え、社会を変える」というミッションと共に、「Grit(やり抜く力)」「Imagination(想像力・創造力)」「Fairness(公平・公正)」「Team(チーム力)」という四つのバリューが掲げられています。
さらに、今年はじめて新卒社員を迎えたこともあり「会社の未来を一緒に考え、話し合う雰囲気が生まれました」と横田さん。
理念をどう浸透させ、行動のレベルまで“自分ごと化”していくか。組織にとって次のステージへと進んでいます。
投資できるものが広がる未来へ。資産運用は“社会参加”になる
横田さんが描く未来は、不動産だけにとどまりません。「ヘッジファンドやPEファンド、飛行機、船、ウイスキー、果ては人への投資など、プロだけが扱ってきた投資対象から今まで投資対象となっていなかった領域までも、新たな資産運用の手段として広く一般個人に届けたいと考えています」と語ります。
資産運用の選択肢が広がるということは、個人が社会に関わる方法が広がるということでもあります。クリアルが目指しているのは、単なる投資商品の拡充ではなく、投資が社会とつながる行為になる未来です。

横田さんは、将来の展望をこう話します。
「不動産投資を変え、社会を変える。そして資産運用を変え、社会を変えることで、個々の社会への関わり方の深さも広さももっと拡大していきたいんです」
不動産投資の枠を越えて、あらゆるキャッシュフローを生むものに投資ができる世界。個人の資産形成にとって必要な機能として認識されるプロダクトをつくる。そんな未来像を、クリアルは具体的に描いています。
投資はお金の世界だけの話ではなく、社会に参加するための新しい手段になっていく。 クリアルが見据えるのは、その変化を自然なものにしていくことです。
50年後、100年後。人々が資産運用を通じて社会と自然につながる世界が当たり前になったとき、クリアルは「不動産投資を変え、社会を変える」のミッションどおり、その“未来の入り口をつくった会社”として語られているはずです。
※写真・画像はすべてクリアル株式会社提供
最も印象に残った言葉:
「不動産投資を変え、社会を変える。そして資産運用を変え、社会を変えることで、個々の社会への関わり方の深さも広さももっと拡大していきたいんです」
企業情報
会社名:クリアル株式会社
取材対象者:代表取締役社長 執行役員 CEO 横田 大造
設立年月:2011年5月11日
ミッション:不動産投資を変え、社会を変える
事業内容:資産運用プラットフォーム事業
所在地:東京都港区新橋二丁目12番11号 新橋27MTビル8階
URL:https://corp.creal.jp/






