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「自分を犠牲にしない経営」赤字再生から上場へ。「人が幸せに働ける外食」をつくる挑戦【東京都新宿区】

3 min
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カラオケ店の再生から上場企業へ。外食チェーンを全国に展開している株式会社ガーデンの川島 賢(かわしま さとし)さんは、外食業界の常識を覆してきた。

「自分を犠牲にしない」「まず自分を大切に」。

その哲学は、従業員の幸福を中心に据える“ハッピー経営”として形になった。利益や効率よりも、人が前向きに働ける環境を整えることが企業を強くする。川島さんが描くのは、“誰もが幸せに働ける社会”という新しいビジョンだ。

不採算カラオケ店から始まった、再生の原点

カラオケ店は、資金ゼロからの挑戦だった。

「バブル崩壊とその後の不況が続く中で、選択肢がなかったんです。たまたま知人の紹介で、赤字続きのカラオケ店を“無料で引き取っていい”と言われました」

当時、設備投資だけでも2億円が必要とされる店舗を、自己資金なしで引き受けた。

経験といえば、学生時代に数ヵ月だけアルバイトをした程度。だが、店長が突然辞め、アルバイトでありながら店を任された経験があったという。

「当時、売上も経費も全部見ていました。だから、数字の感覚だけは身についていたんです」

火のついた導火線を握り、川島さんは動き出した。そして、倒産寸前の店をわずか数年で黒字化させた。

赤字再生に学んだ、経営の本質。「やる気」が企業を変える

「赤字の会社には共通点があるんです。社員やアルバイトがやる気を失っている」
倒産間近のカラオケ店で、まず川島さんが行ったのは“経営の仕組み”ではなく、“現場の気持ち”を立て直すことだった。

「毎日店に入りました。自分が率先して掃除し、接客し、24 時間店にいました。利益が出たら、その分を社員に還元する。すると、誰もが“こんなこと初めてだ”と言ってくれる。やる気が戻ると、店が回り出すんです」

この“やる気の再生”は、外食業への参入でも同じだった。
「良い店長がいれば、店は必ず良くなります。結局、企業を変えるのは“人”なんですよ」

外食業界の常識を疑え。「自分を大切にする」経営哲学の誕生

やがてカラオケから外食へと事業を広げた株式会社ガーデン。しかし外食業界には、昔から“低価格・長時間労働”の構造が根づいていた。

「お客さまに安く提供することを優先しすぎて、従業員が犠牲になる。利益が薄いから、還元のしようもない。そこを変えなければ意味がないと思ったんです」

川島さんは、「お客さまを喜ばせる前に、自分を大切にしよう」と社員に伝えてきた。

「従業員が元気じゃないときに、心からのホスピタリティなんてできません。まずは従業員自身が自分の状態を整えること。それが結果的にお客さまを幸せにするんです」

経営に“楽しさ”を取り戻す。逃げずに戻った覚悟

経営が拡大するにつれ、川島さん自身もまた、壁にぶつかった。

「売上を倍々に伸ばした時期もありました。でも、楽しくなかった。常に他社と比較し、自分を責めていました」

一時は代表を退き、会長として経営の第一線から離れた。しかし、任せた会社が再び傾き始め、資金繰りが危うくなったとき、再び社長に戻る決意をする。目的と覚悟をもって戻ったことで、再び会社は立ち直る。

「続けていくうちに、自信が生まれました。経営は技術ではなく、心と行動だと実感しました」

理念と行動指針でつなぐ、「ハッピー経営」

ガーデンには「今をハッピーに」というシンプルな理念がある。
“ハッピー”という言葉には、経営哲学が凝縮されている。

「今をハッピーにできない人は、未来にワクワクできないと思っています。過去に辛い経験があったとしても、今が幸せなら、それも意味のある経験になる。だから、まずは今をハッピーにしようと伝えています」

かつては「外食業界を変える」と語っていた川島さん。今は少し違う言葉を使う。

「“ 変える”って、どこかおごった考え方なんです。僕らは“新しい外食のあり方”を示すだけ。外食があって今の自分がある。だから、感謝の気持ちで業界に返していきたい」

そのために、まずは日本一の外食企業を目指す。
「数字で結果を出すことも大事です。成果を見せることで、外食でも“人を大切にする経営”が成立するという事例を残したい。いずれは、世界の誰もが知る日本発ブランドをつくりたいと思っています」

今をハッピーに、未来をワクワクに

「壁はなくならない。でも、悲観していてもしょうがない」

川島さんの言葉は、常に未来志向だ。

「壁は自分たちが作っているもの。だから、向き合って改善できることにワクワクするんです」

「関わる人みんながハッピーになれる会社にしたい。犠牲じゃなく、共に幸せになる方法を探す。それが僕の経営です」

川島さんの目には、次の再生の舞台が映っている。
“今をハッピーに、未来をワクワクに”。その言葉どおりに、彼の挑戦は続いていく。

最も印象に残った言葉
「壁はなくならない。でも、悲観していてもしょうがない」

会社概要

会社名:株式会社ガーデン 
代表:代表取締役社長 川島 賢
設立:2015年12月
経営理念:『HAPPYな空間の提供』
事業内容:飲食事業
URL:https://gardengroup.co.jp/
所在地: 〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目8-8 ヒューリック新宿御苑ビル 4階

神代希海

神代希海

生粋の九州男児です。九州地方のまだ誰も知らないような魅力について発信していきたいと思っています。特に北部に住んでるので地元ネタ投下していきます!

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