1970大阪万博「太陽の塔」のモチーフのヒント?命が噴き上がる阿蘇草千里【熊本県阿蘇市】

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草千里での穏やかな日なたぼっこ

阿蘇五岳のひとつ、烏帽子(えぼし)岳の裾野に広がる草千里ヶ浜は、約2万7千年前の噴火によって形成された火口跡です。西側の水たまりが最初の噴火の火口跡で、東側がその後の溶岩ドームを吹き飛ばした際の火口跡とされています。山頂から見下ろすと、その地形が「人の顔」のようにも見え、芸術家・岡本太郎氏が「太陽の塔」を制作する際のモチーフにしたという話もあります。 たしかな記録は残っていませんが、ここを訪れた誰かが「太陽の塔のあの顔にそっくりだ」と声をあげても、きっと多くの人がうなずくはずです。

この広大な草原に寝転び、太陽のぬくもりを感じながら、ただただ空を見上げる。足元にはかれんなリンドウの花が咲き、青紫の花びらが太陽の光に透けて輝いていました。ふと指先に止まった緑色のコガネムシも、同じようにこの穏やかな時間を楽しんでいるようでした。

小腹が空いて立ち寄った「douce Nucca」では、地元の新鮮な野菜とローストビーフを使ったランチを堪能(たんのう)。色鮮やかな盛り付けと、素材の味を活かした料理に心も満たされました。

食後のコーヒーを片手に再び外へ出ると、駐車場の先には雄大な阿蘇山がそびえ、その噴煙の様子はまるで地球が息をしているかのように感じられました。

「太陽の塔」が表現した“生命の爆発”というエネルギーが、私の目には命が噴き上がる草千里の風景と重なって見えました。岡本太郎氏がこの地からインスピレーションを得たかどうかは定かではありませんが、ここにはその想像力をかき立てる力が確かに感じられます。

宇宙からも感じる草千里の風

2014年5月、宇宙ステーションから帰還された宇宙飛行士・若田光一さんが、九州上空を飛行された際に、「阿蘇の草千里のそよ風がとても恋しく感じられます」とコメントを残されています。 地球を離れた宇宙の旅の中でも、草千里の風景と風が心に残っていたのでしょう。

阿蘇・草千里での穏やかな日なたぼっこは、自然の美しさと人々の記憶が交差する、特別な時間でした。また訪れたいと思わせる、そんな場所です。

※写真は全て2025年5月4日筆者撮影

佐藤琢朗

佐藤琢朗

1974年(昭和49年)3月2日、熊本県阿蘇市生まれ。現在、熊本市在住。菊陽町立菊陽西小学校の理科専科。理科専科として「理科は感動だ!〜世界は不思議であふれてる〜」を実現する感動サイエンスteacherとして奮闘中。日本理科教育学会員、ソニー科学教育研究会(SSTA)会員。社会貢献として、熊本市少年少女発明クラブで講師を務め、理科好きな子を育てる活動を行なっている。たくちゃんせんせーとして、YouTuber、TikToker(@taku_oo7)の一面も持っている。

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