断食の夜に響く太鼓 ー ムスリムと中華系が共に祝う、旧正月から15日目のCap Go Meh - 後編 -【インドネシア・ボゴール】

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前編はこちらから:https://thelocality.net/capgomeh-bogor-part1/

ラマダンと重なったボゴールのCap Go Meh

スルヤケンチャナ通りに集まった人々は、長い時間をかけて夜の祭りを待っていた。屋台の明かり、赤いちょうちん、通りを埋める観客のざわめき。ラマダンの夜特有の落ち着いた空気の中で、祭りの始まりを告げる太鼓の音を待つ時間が続く。

祭りの開始を待つ間、寺院の前では断食明けの食事が配られていた。大きな鍋から皿に盛られていくのはナシゴレンやミーゴレン。中国寺院でありながら、提供されるのは中国料理ではなく、街の誰もが日常的に食べているインドネシア料理である。

断食を終えた人々が食事を受け取り、通りの縁石に腰を下ろし、家族や友人と会話をしながら食事をとる。その光景は宗教や民族の違いを感じさせるものではなく、むしろ一つの街の夕食風景のようだった。

祭りが始まる前の静かな時間が、ゆっくりと夜の祝祭へと変わっていく。

そして21時半、ついに太鼓の音が響き始めた

夜の通りを進む龍と獅子

太鼓のリズムが大きくなると、観客の視線が一斉に通りの奥へ向く。最初に現れたのは色鮮やかな獅子舞だった。続いて長い龍が通りをうねるように進み、歓声が上がる。

龍舞と獅子舞は、中国の旧正月などの祝いの場で行われる伝統芸能だ。龍や獅子の形をした大きな装飾を複数人で操り、太鼓や銅鑼の音に合わせて舞う。獅子は邪気を払う存在、龍は雨や豊穣を司る神聖な存在とされ、繁栄や幸運を願う意味が込められている。

龍の体を支えるのは十数人の若者たちである。長い竿を使いながら息を合わせて動きを操り、龍の体が大きく波打つようにうねる。太鼓やシンバルのリズムに合わせて龍が跳ね上がるたび、観客から歓声が上がった。

雨にぬれた夜の路面にちょうちんの光が反射し、赤い光の中でパレードが進んでいく。

多民族のパレード

Cap Go Mehの特徴は、中国文化だけにとどまらないことだ。パレードにはジャワの伝統衣装を着た踊り手や、インドネシア各地の民族芸能も登場する。中国文化とインドネシアの文化が一つの通りに並び、同じ祭りの中で共存している。

観客の中にはヒジャブを巻いたムスリムの女性もいれば、赤いチャイナドレスを着た若者もいる。誰もが同じ歩道に立ち、同じ方向を見つめながらパレードを追っていた。

宗教や民族の違いが、この夜の街では自然に混ざり合っている。

子どもが見上げる龍

パレードの途中、龍が観客のすぐ近くを通り過ぎた。人々が歓声を上げる中、一人の子どもが車の上に登り、じっと龍舞を見つめていた。

色鮮やかな龍が夜空に浮かび上がる。その姿を見つめる子どもの目は、驚きと興奮に満ちている。

イスラムの礼拝の静けさと、中華系の祝祭の高揚。その二つが同じ夜の中に共存している光景だった。

断食の夜に始まったCap Go Meh。太鼓の響きとともに進む龍の姿は、この街が持つ寛容さと多文化の力を物語っていた。

※写真は全て筆者が撮影(2026.03.03)

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阿部宣行

阿部宣行

インドネシアはジャカルタ在住。長年お世話になった東北や旅して回った国々の記事を執筆しています。
ローカリティ受賞歴:
ハツレポグランプリ2025 副編集長・丸山賞
写真受賞歴:
東京カメラ部×FUJIFILM10選 - Colors Like Film -フォトコンテスト2025
Fun,Fan,Find青葉 Fコン2025
仙台朝市銀座UNフォトコン2025
やっと連仙台 阿波踊りフォトコン2024
ウズベキスタンフォトコン2024

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