もの・こと・会社、価値ある全てから事業を生み出す青年実業家。環境再生資源や廃校をアップサイクル<株式会社エコリカル 菊川健一さん>【兵庫県南あわじ市】

3 min 10 views

株式会社エコリカルは、兵庫県淡路島を拠点に、環境再生ビジネスを中心とした幅広い事業を展開しています。その取り組みは単なる利益追求にとどまらず、持続可能な事業とするための利益確保を視野に入れた地域社会の未来を切り開くものです。創業者であり、代表取締役CEOの菊川健一さんに目標とそれを達成し続ける“ある思い”をお伺いしました。

「青年実業家になる」。自分の将来像で見出した目標に向かって

菊川さんは学生時代に将来のことを真剣に考えたときに「社長になりたい」「世の中のためになる良い仕事を創りたい」「自分の力で社会を変えたい」などのやりたいこと、自分の将来像が見えてきました。そしてそれを叶えるために、「青年実業家になる」という目標にたどり着きました。菊川さんの思い描く青年実業家とは30歳までに事業を起こし、ただ稼ぐのではなく社会によい影響を残したいというものでした。

大学卒業後、彼は環境整備事業を手がける企業に就職し、都市や屋上の緑化資材・省エネ資材の販売施工などの事業を行う会社で営業・現場管理としての経験を積みます。その後ハウスメーカーに転職し、努力を積み重ねた結果、営業成績ナンバー1にまで上り詰めました。

結果を残した菊川さんは、当初掲げた「青年実業家」という目標のため28歳で地元淡路島に戻り、独自の事業を立ち上げる準備を進めました。

廃棄される大量の瓦に着目。再利用を目指し産廃処理業の許可を取得

しかし、帰郷したものの「特に事業内容詳細について考えていたわけではない」という菊川さん。ある日、台風による瓦の廃棄問題に直面。淡路島は全国有数の瓦産地であり、普段から製造工程で出る廃棄物が大量に発生してることに目を付けました。「これを何とか再利用できないか」と考えた菊川さんは、産業廃棄物中間処理業の許可を取得し、瓦を再生して都市緑化基盤材などに活用する事業を2009年、30歳の時に始めました。この事業によって環境負荷の軽減はもちろん、地元の産業を活性化させることにもつながります。

そして菊川さんにとって「青年実業家」が先の目標。それが結果として「社会のためになる」ということを経験し、目標達成の一歩を踏み出し、2014年には株式会社エコリカルを設立しました。

廃校を活用し地元に貢献。「アグリミュージアムNADA」

また、菊川さんは廃校の活用を目的とした「南あわじ市学校跡地施設利活用事業公募型プロポーザル」があることを知り、応募しました。以前に活動を行っていた環境教育を行うNPO法人での活動の中で、縁があったという菊川さん。「学校からの景色が最高。この景色と地理性を事業化したいと直感した」と言います。

最優秀提案者として認定され、地域資源を活用した農業や観光事業をスタート。体験型宿泊施設「アグリミュージアムNADA」を開きました。

訪れる人々が農業体験や地域の食材を楽しむプログラムを通じて、地域の魅力を再発見できる場を提供しています。また自社製品の有機培養土を用いた農業や、一次産業特産品を活用し、農業6次化事業としてクラフトカレー、缶詰、ピクルス、ソース、スパイスなどの開発も展開しています。

「価値があると思って自分ができることをしただけなんやけど、結果として地元に貢献できている感じ」と菊川さんは言います。

他にもお墓の設計・施工や結婚式の企画・運営、レストラン営業など菊川さんの活動は多岐にわたります。また2025年3月に淡路島で開催される花みどりフェアでは、淡路島SDGSとして「淡路瓦廃材利用アップサイクルプランターと更新ユーカリ木材利用マルチング」の開発・設置を行います。

「お金を稼ぐだけではなく、社会に貢献したい」という信念。もったいないを減らし続ける

「単にお金を稼ぐだけでなく、持続可能な方法で地域や社会に貢献することが大切。もったいないのは嫌やん」と菊川さんは語ります。この思いは、彼が目指した「青年実業家」の在り方そのもの。学生の時に掲げたこの目標は、事業を起こしたときから何も変わっていないのです。

また菊川さんは「事業承継問題」にも積極的に関与したいと考えています。これも「もったいない」という思いからです。多くの中小企業が後継者不足に直面している中で、彼は「せっかく価値ある会社を潰してしまうのはもったいない、企業の存続を支援することが必要」と話します。

「わたしたちがしてきた経験や知見が、他の地域でも同じように役立つんだったら役立ててほしい。聞いてくれたら何でも話します。その方が早いでしょ。回り道してたら時間がもったいないやん」

お金を稼ぐことだけに価値を見出すのではなく、価値あるもの、価値ある会社、価値ある人のために貢献するというのが、菊川さんのやりたいことなのです。もう青年ではないですが、学生のころに目指した「青年実業家」としてこれからの活躍にも期待せずにはいられません。

株式会社エコリカル
https://greenblue-ecolical.mystrikingly.com/

写真はすべてエコリカル様よりご提供いただいたものです。

田口有香

田口有香

第4期ハツレポーター/ライター兼農家の嫁であり、3人の子どもの母。生まれ育った大阪から壱岐島に家族で移住。
壱岐島は長崎県の離島ですが、福岡から高速船で65分という抜群のアクセス!!海がきれいなのはもちろん、お魚もお肉も野菜も米も焼酎もそろっておりグルメも自慢できます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です