
大分県大分市に本社を置くFIG株式会社(以下、FIG)は、無線通信・IoT・AI・モビリティなど、複数の事業を展開する企業グループです。
2002年に「モバイルクリエイト株式会社」として創業。2018年に共同持株会社として再編しました。現在は全国・海外に拠点を広げ、グループ全体で約800名が働いています。
「笑顔になれる企業グループ」を掲げるFIG株式会社の代表取締役社長・村井雄司(むらい・ゆうじ)さん。ご本人もまさにそのビジョンを体現するような、すてきな笑顔が印象的です。そんな村井さんに、これまでの歩みと次の時代に託す思いを伺いました。
目次
“つくる”ことからはじまった人生
「子どものころから、モノをつくるのが好きだったんです」。そう語る村井さんの言葉には、少年のようなまなざしがありました。
学生時代にはテレビゲーム関連のアルバイトを経験し、プログラムの世界にのめり込みました。 当時はまだパソコン通信の時代。インターネットも一般には普及しておらず、個人が自由にソフトをつくることは今よりずっと難しい時代でした。
村井さんは高校卒業後、そのままアルバイト先の会社に入社。それから5年ほど経った頃、伯父に誘われて無線通信の会社へ転職します。はじめはコンピューター関連の開発を担当し、とても楽しく働いていました。しかし、伯父から「営業を学んでこい」と言われ、取引先の事務所に出向することに。ところが、それがまったく肌に合わなかったといいます。
「僕が本当にやりたかったのは“モノをつくること”だったんです」
そんな中、あるタクシー会社から「車両の位置がわかるシステムが欲しい」と相談を受けました。そこで、地図データと通信を組み合わせ、地図上で車両の動きを確認できるシステムを開発。お客様に大変喜んでいただきました。
その瞬間、村井さんの中で「自分のつくるもので、人を喜ばせられる」という確信が生まれます。 この経験が、後にFIGの礎となる「モバイルクリエイト」の誕生へとつながっていきました。
原点にあるのは、“誰もやっていないことを形にする楽しさ”。それこそが、村井さん、そしてFIGのすべての挑戦を動かすエネルギーになっています。
十数名、3000万円からの出発
2002年12月27日、村井さんは「モバイルクリエイト株式会社」を創業しました。社員は十数名、資本金は3000万円。銀行からの融資もなかなか受けられず、資金繰りに頭を悩ませる日々が続きました。
「最初の1〜2年は本当に厳しかったですね。キャッシュが回らないと、会社はおかしくなっていく。だけど、そこで踏ん張るしかなかった」
支援の手を差し伸べたのは、地域のスタートアップ企業や中小企業を支援する投資会社「大分ベンチャーキャピタル」でした。出資を受けたことで、ようやく事業が動き始め、タクシーの空車状況をGPSで可視化する仕組みなど、当時としては画期的なサービスを生み出していきました。

「チャンスは必ず来ます。だからこそ、まずは黒字化して会社を続けなければいけないと思いました」 。淡々と語るその声には、何度も壁を越えてきたがゆえの確信がにじみます。
「継続こそ最大のチャンス」という村井さんは、どんなに小さなスタートでも、“諦めなければ未来は開ける”ということを証明してきました。
「笑顔になれる企業グループ」という旗

「お客さんが喜んでくれて報酬までいただける。まずは自分が幸せであることが大事。関わるみんなを笑顔にしたいんです」
いま、FIGが掲げるビジョンは「笑顔になれる企業グループ」です。社員数はグループ全体で約800名、海外にも拠点を広げるまでに成長しました。

村井さんの言葉はシンプルですが、その根底には“人を大切にする”という確かな信念が息づいています。会社の朝礼では、社員一人ひとりにビジョンを伝え続けているといいます。

この「笑顔になれる企業グループ」という言葉には、社名「FIG」に込めた思いも重なっています。 FIGとは Future(未来)・Innovation(革新)・Group(グループ) の頭文字。村井さんは、「未来を想像し、誰もやっていないことに挑戦し続ける。その積み重ねが人や地域の成長につながる」と語ります。
つまり「笑顔」とは、単なる結果ではなく、“挑戦と成長の連鎖”から生まれるもの。それを日々の行動で体現することが、FIGの企業文化になっているのです。
大分から未来をつくる
現在FIGは、無線通信・IoT・AI・ロボティクス・モビリティなど、幅広い領域に挑んでいます。これまでの20年間で、BtoB領域を中心に数多くの企業や自治体と連携し、社会のインフラを支える仕組みを築いてきました。

その一方で、村井さんの目には新たな目標も見えています。
「もっと多くの人に、私たちの取り組みを知ってもらいたいんです。“何をしている会社なのか”を伝える努力を、これからもっと重ねていきたい」
社内では、部署や会社の垣根を越えた交流パーティーを企画し、社員同士がつながり合える開かれた場づくりにも取り組んでいます。「誰もが気軽に遊びに来られる会社になれたらいいですね」と話す村井さんの姿には、企業と地域の垣根をも越えていくような温かさがあります。
企業の成長とは、数字だけではなく“人の笑顔”の数でもあります。FIGの挑戦は、利益の追求を超えて、関わるすべての人が心から笑える場所をつくることにあります。
未来に残したい「消えることのない足跡」

「大分でも、クリエーティブな仕事ができる」 村井さんの言葉には、地方から世界を見据える強い意思が宿っています。
50年後、100年後のFIGはどうなっているかと尋ねると、「1000億円企業になっていても、ベンチャー精神を忘れずにいたいですね」と笑顔で話しました。
村井さんが見据えるのは“挑戦が連鎖する未来”です。挑戦を続け、地域に新しい仕事を生み出す。その積み重ねが、次の世代の旗を支える“足跡”となり、すべての人が自分の可能性を信じて笑える社会への一歩にもなります。
FIGの物語は、「モノづくり」から始まり、「人づくり」へと広がっています。 “どうやればできるか”を問い続ける姿勢、“笑顔になれる企業グループ”という旗、そして“大分から世界へ”という挑戦。
それらはすべて、FIGグループが大分から世界へ挑み続ける「ビジョナリー・カンパニー」である証しなのです。未来を語る村井さんの笑顔に、その挑戦を支える確かな希望を感じました。
最も印象に残った言葉
「お客さんが喜んでくれて報酬までいただける。まずは自分が幸せであることが大事。関わるみんなを笑顔にしたいんです」
「未来を想像し、誰もやっていないことに挑戦し続ける。その積み重ねが人や地域の成長につながる」
企業情報
会社名:FIG株式会社
取材対象者:代表取締役社長 村井雄司さん
設立年月:2018年7月2日
Philosophy:想像と技術と情熱で快適な未来を創造
Vision:笑顔になれる企業グループ
事業内容:子会社等の経営管理およびそれに付帯または関連する業務
URL:https://www.figinc.jp/
所在地:大分県大分市東大道二丁目5番60号




