制御・計測・検査装置の専業メーカーとして、生産ラインの不具合を未然に防ぐ技術を世界に提供する株式会社ニレコ(以下、ニレコ)。代表取締役社長の中杉真一(なかすぎ・しんいち)さんは、製造業を取り巻く環境や市場の変化を経営の最前線から見守り続けてきました。商社マンとして世界を渡り歩いた経験を経て、技術の力で持続可能な社会の実現を目指す挑戦の軌跡に迫ります。

目次
生産現場の不具合を未然に防ぎ社会インフラを支える技術
鉄鋼やフィルム、印刷といった素材産業の生産現場では、わずかな位置ズレや品質のムラが莫大な資源ロスにつながります。ニレコは、生産プロセスにおける「制御・計測・検査」を行う装置を開発し、不具合を未然に防ぐことで産業を支えてきました。
近年では、これまでの主力であった金属や印刷分野に加え、食品、半導体、二次電池といった成長分野へも技術を展開しています。たとえば、農産物や水産物の品質検査において、光を用いた分析装置を活用することで、食の安全と安定供給に貢献しています。中杉さんは、同社の技術が社会のインフラとして機能している事実を強く意識しています。
商社・メーカーから製造業へ転身し、先代の意志を継ぐ
中杉さんは、1990年に入社した三菱商事の産業機械部門からキャリアをスタート。インドネシアや上海への駐在を経験し、日本の機械産業がどのように海外で受け入れられ、競争にさらされているのかを肌で感じてきました。
その後、一度はキャリアを離れる決断をしますが、、地元に戻るタイミングで、ニレコとの縁が生まれます。2021年に経営戦略室長として入社した背景には、「前社長のやり残したことをやってほしい」という言葉を受け、組織改革を担う役割への期待がありました。
中杉さんは外から来た人間だからこそ見える組織の課題や、単体業績にとどまらないグループ全体の成長余地に気づき、改革への意志を固めていきました。
成長分野へ市場を拡大し過去最高益を更新する挑戦
2023年6月の社長就任後、中杉さんは「市場の拡大」と「技術の進化」を重点テーマに掲げました。その成果は着実に数字として表れており、2025年3月期においては、売上高・利益ともに過去最高を更新し、業績は好調に推移しています。
特に注力しているのが、M&A(合併と買収)を含めた将来の成長への投資です。従来の枠組みにとらわれず、制御機器事業の組織再編を行い、オプティクス(光学)事業の強化を進めることで、より迅速に顧客のニーズに応える体制を構築しました。これらはすべて、変化の激しい時代において企業が生き残るための論理的な生存戦略です。
現場のズレをなくし持続可能な社会を実現する使命
中杉さんが掲げるミッションは、“技術と信頼”で生産現場の「はかる、みつける、ととのえる」に貢献することです。これは単なるスローガンではなく、現場の具体的な行動指針として浸透しています。
生産ラインで起きる問題を正確に「はかる」こと、不良の原因を「みつける」こと、そして正常な状態に「ととのえる」こと。このサイクルを回すことで、顧客の信頼を獲得し、ひいては社会全体のロスを減らすことにつながります。
中杉さんは、「このプロセスこそが持続可能な社会を実現するための土台である」と語ります。
組織の壁を取り払い豊かな未来を共創する変革
これからのニレコが目指すのは、他企業とのパートナーシップを通じて生み出した価値を社会へ実装し、豊かで持続可能な未来を実現することです。
配当性向45%以上を目標とする株主還元策の強化やデモルームの開設など、社内外への積極的な働きかけもその一環です。技術力を武器に、世界の生産現場を変え、社会の仕組みそのものをより良くしていく。中杉さんの開拓者としての意志は、地域から世界へと広がり続けています。
※写真はすべて株式会社ニレコ提供
最も印象に残った言葉: 「『技術と信頼』で、生産現場の “はかる、みつける、ととのえる” に貢献し、より良い社会の実現を目指す」
会社概要
会社名:株式会社ニレコ
取材対象者:代表取締役社長 中杉 真一(なかすぎ しんいち)さん
理念:技術と信頼
設立:1950年11月
事業内容:制御・計測・検査装置の開発・製造・販売
登記上の所在地:東京都八王子市石川町2951-4
URL:https://www.nireco.jp/






