社会復帰を望む人材へ働く機会を。AI活用で誰もが活躍できる未来の警備業<セキュリティスタッフ株式会社 梅本 和希さん>【愛知県名古屋市】

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建設現場やイベント会場で活躍する警備業務。その裏側で、セキュリティスタッフ株式会社(以下セキュリティスタッフ)は「警備業の形をした人材再生業」という独自のビジョンを掲げ、単なる警備サービスに留まらない、新しい事業展開を進めています。

警備業を通して再生人材が活躍できる社会を目指す梅本さん

セキュリティスタッフ株式会社が実現しようとする未来とは何か。代表取締役 梅本和希(うめもと・かずき)さんにその挑戦の原点と展望についてお聞きしました。

警備業の枠を超えた「人材再生業」としての挑戦

「人材再生業」とは、社会復帰に不安のある方々に対し、警備業をプラットフォームに専属スタッフによる支援や勉強会を通じて、職場でのスキルアップと生活面のサポートを提供し、再び社会で活躍できるよう導く同社の事業を指します。セキュリティスタッフは、工事現場やイベント会場の誘導警備を主な事業としながらも、警備業にとどまらず、この「人材再生業」という新たなビジネスモデルに焦点を当てています。代表的な実績として、東京オリンピックの静岡会場全体の警備を担当しました。同社は、単なる警備の提供ではなく、様々な理由によって社会を一度離れた人々に再び職業機会を与える「人材再生」に積極的に取り組んでいる点が特徴です。

セキュリティスタッフは、一般的な警備会社とは異なり、警備業を「人材再生」のための手段と位置づけ、広範な層の人々を積極的に採用しています。例えば、同社の警備員は多くが20代から60代まで幅広い年齢層にわたり、何らかの理由で他の仕事に就けなかった人々を再び社会で活躍できるように支援しています。この取り組みは、事業の成長ではなく、社会貢献の一環としても注目され、業界内外で高く評価されています。

セキュリティスタッフ実際の警備の様子

多様な雇用機会を創出する。製造派遣業から警備業へ転換

梅本さんは学業を満了したのち、先代の会社に入り、若くして製造派遣業を立ち上げ、20代前半で200人規模の従業員を抱える企業を運営していました。しかし、リーマンショックの影響で派遣業法が改正された影響によって、製造派遣事業は急速に縮小してしまいました。梅本さんはこのピンチを機に、事業モデルを見直し、より持続可能なビジネスへの転換を決意します。

警備業界へのシフトは、彼にとって偶然のようでありながらも、確かなビジョンがありました。父親が経営していた土木関連の会社で一部警備業も手掛けていたことをヒントに、梅本さんは警備業を単なる事業としてではなく、「人材再生」の手段と捉えることで、より多くの人々に雇用機会を提供し、社会に貢献できると感じたのです。彼が強調する「人材再生」という概念は、仕事に困っている人々を雇用するだけでなく、彼らに再び自信を持って社会に戻るための支援を行うという、非常に意義のある取り組みです。

現在、セキュリティスタッフは、梅本さんのリーダーシップのもとで成長を続けており、関係者数は900名を超えています。内訳としては、現場スタッフが850名、内勤スタッフが50名という構成です。会社の急成長に伴い、2023年に浜松営業所を新たに設立し、事業をさらに拡大しています。

実際の警備の様子

社員900人超の組織を支える理念と現場力の融合

セキュリティスタッフの成長を支えているのは、梅本さんの強力なリーダーシップと「人材再生」という理念です。この理念は、単に人を雇うのではなく、社会的に困難を抱えた人々に新たなチャンスを与えるという点にあります。梅本さん自身が語るように、彼は過去に多くの人材に対して直接的なサポートを行い、時には自ら家に赴いて、無断欠勤した従業員を職場に連れ戻すこともありました。こうした姿勢は、単なる事業の枠を超え、個々の人間としての成長を促すことにつながっており、それが会社の風土として定着しているのです。

また、成長の原動力となったのは、警備業界での効率化と組織運営の改革です。警備員の配置や管理にはAIを導入し、従来の人手に依存したシステムからの脱却を図りました。これにより、大規模な人員を一括管理できるようになり、業界の常識を超える効率的な運営が可能となっています。名古屋本店において800人以上の警備員を一つの営業所で管理しているのは、まさにこの革新的な取り組みの成果です。この効率化で、さらなる拠点展開が可能となり、会社全体の成長を後押ししています。

AIによるDX化を推進している内勤現場

浜松営業所の設立と今後の拠点展開

2023年に設立された浜松営業所は、セキュリティスタッフにとって次なる成長の鍵を握る拠点です。名古屋を拠点に順調に成長を遂げた同社は、新たな地域への展開を進め、静岡での事業を開始しました。この拡大は、単なる地理的な進出だけでなく、同社のAI技術を活用した警備員管理システムの導入が背景にあります。

静岡での成功が全国展開への布石となり、次の拠点としての展開も視野に入れています。

セキュリティスタッフ本社の壁画

社会的意義のある警備業へ。1万人の隊員と共に目指す未来

セキュリティスタッフは、2034年までに全国20拠点で隊員1万人を動員するというビジョンを掲げています。このビジョンは、単なる事業拡大を目的としたものではなく、「人材再生業」として、社会的に困難な状況にある人々に雇用機会を提供し続けることを目指しています。警備業という枠組みを超え、社会全体にポジティブな影響を与えることをミッションとし、日々その目標に向かって成長を続けています。

この長期ビジョンは、単なる目標設定ではなく、実際にこれまで成し遂げてきた成果を基にしています。毎年約30%の成長率を維持し続け、900名の従業員規模まで拡大した実績は、今後さらに飛躍するための基盤となっています。特に、「人材再生」という理念のもとで、困難な状況にある人々を支援し続けてきた梅本さんをはじめとする姿勢は、セキュリティスタッフの今後の成長を後押ししていきます。

聞き手 丸山 夏名美

木場晏門

木場晏門

香川県三豊市

編集部記者

神奈川県鎌倉市生まれ藤沢市育ち、香川県三豊市在住。コロナ禍に2年間アドレスホッピングした後、四国瀬戸内へ移住。webマーケティングを本業とする傍らで、トレーニングジムのオープン準備中。

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