ITの真価を問い、地域の成長に貢献。ものごとに真摯に向き合う「クラフトマンシップ」を胸に【宮城県仙台市】

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株式会社ワイヤードビーンズ 代表取締役

Hiroshi Miwa
三輪 寛氏

2009年の創業時から仙台に本社を構え、有名ブランドをはじめとする事業者のEC構築・運用で豊富な実績を誇る株式会社ワイヤードビーンズ。クライアントのEC支援はもちろん、自社ブランドでもECを展開し、数々の受賞歴を持つなど、高い評価を得ています。同社代表取締役の三輪 寛(みわ ひろし)さんに、創業からの軌跡や事業への想いを伺いました。

IT業界を渡り歩いた後、ITの力を正しく発揮させられる会社を目指して創業へ

創業までの歩みを教えてください。

大学までは地元の仙台で過ごし、その後、東京のソフトウェア開発会社に就職しました。恩師から「これからはコンピューターの時代だ」という言葉をいただいたことがきっかけで、この業界に決めました。
入社後はソフトウェアエンジニアとしてCADシステムの開発などに携わりました。当時は競争が激しい時代でしたが、「ITを正しく実装し、有効活用できた会社こそが勝つ」ということを学びましたね。
30歳手前に、実家の事情もあって仙台に戻ることになり、東京本社のIT企業の東北支店責任者として転職しました。そこで事業拡大に貢献しましたが、同時に本社でも部署を任されることになり、次第にそちらが占めるウエイトの方が大きくなってしまったんです。「何のために転職したのか」と自問していたときに、当時の恩師からアドバイスを受けたことをきっかけに、IT企業の取締役という経営に携わるポジションへ転職。経営を実践の場で学ぶことができました。当時はITベンチャーの若手経営者がメディアを賑わせ、IT業界全体がマネーゲームの様相を呈し始めていました。そうした中で、IT企業が本来の力を発揮できていない現状に大きな疑問を抱き、ITの価値を正しく発揮させることで、利用する人や会社の“成長につなげたい”という思いが強まっていきました。その思いが、私が起業を決意する大きな原動力となりました。

事業のアイデアは最初からお持ちだったのですか?

前職でアパレル企業向けITコンサルを担当する中で、アパレル企業が顧客データをほとんど持っていないという現状に気づきました。例えば、百貨店で販売しても、顧客データを得られるのは百貨店側だけで、販売するブランドや店舗側には入ってきません。これはWeb販売でも同様で、当時勢いのあったモール型ECサイトでも、顧客データを得られるのはプラットフォーム側に限られていました。
そこで、マーケティングにかかせない顧客データを獲得するために、自社ECサイトを使いCRMを活用していく考えに辿り着きました。これが、良い商品を持ちながらも埋もれている地域の中小企業を、EC(CRM)の力で支援する事業につながりました。

社名に込めた“地域への思い”。デジタルに特化した事業内容と強み

社名の由来を教えてください。

「Wired(線)」には「強いつながり」という意味を、「Beans(豆)」には「可能性」という意味を込め、“人や会社、地域を強く結びつけ、そこから新しい芽を発芽させていく”というイメージで名付けました。

改めて、事業内容を教えてください。

デジタルソリューション事業、自社ブランド事業などを展開しています。
デジタルソリューション事業では、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)など、Salesforce製品を活用したデジタル化支援、ECサイトの構築などを行います。
自社ブランド事業では、「生涯を添い遂げるグラス・マグ」と銘打ったオンラインショップを運営しています。

クラウドベースで顧客管理や営業支援など提供しているセールスフォース社の公式パートナーとして高い実績を上げているそうですね。

創業時から国産ASP(アプリサービスなどをネットワーク経由で提供するプロバイダ)をはじめ、さまざまなEC構築用ツールを試してきましたが、十分に満足できないのが実情でした。そこで海外にも目を向けたところ、行き着いたのがデマンドウェア社が提供していたプラットフォーム「Commerce Cloud」です。
2015年にはデマンドウェア社日本法人と、ソリューションパートナー契約を結び、業務提携を実現。その後、2017年に同社がCRM大手のセールスフォース社に買収されて以降は、「Salesforce Commerce Cloud」を基盤としたEC構築で国内トップクラスの実績を誇っています。

ECの専門企業として、自社ブランドを磨き上げ、グッドデザイン賞など数々の受賞歴

自社ブランドによるECも創業時から開始されたのですよね?

はい。ビジネスとしてクライアントへのEC支援を手がける以上、自分たち自身がECを熟知し、ノウハウを蓄積していく必要があると考え、自社ブランドECを創業時から展開しました。
陶芸家やガラス作家など、職人の手仕事によって生まれた作品を自社ブランドのECサイトで販売することも実現。実際に作家さんの工房を一軒一軒訪ねて交渉し、今では日本全国19人の作家さんにご協力いただいています。

受賞歴もあるとお聞きしました。

「生涯補償」という、一生涯にわたって使い続けられる仕組みを採用したこともあり、おかげさまで各方面から高い評価をいただいています。
代表的な自社製品の一つ「生涯を添い遂げるグラス」は、創業翌年の2010年にグッドデザイン賞を受賞し、16年にはジャーマンデザインアワード特別賞を受賞するなど、国内外で多数のアワードを獲得しています。

「クラフトマンシップ」を持つ人材が集まる会社を目指していく

地銀さんなどが資本参加されているのはどのような経緯からですか?

私は創業1年目から決算資料を作成し、取引銀行に情報開示を徹底してきました。こうして信頼関係を築き上げてきたことに加えて、“地域の中小企業をサポートしたい”という当社の志に共感してくださった東北各地の地銀が、株主として資本参加いただいているという形です。

今後、どのような会社になることを目指していますか?

今後、会社の中心に据えたいと考えているのが、「クラフトマンシップ」というマインドです。これは、ものづくりへのこだわりや情熱だけではなく、地域経済や歴史、伝統の継承、相手を理解し思いやる力を含めた姿勢です。
例えば、AIをお客さまに提案する場合でも、粘り強く答えを導き出す力、ITの専門性、お客さまの考えを正確に理解するためのコミュニケーション能力など、「クラフトマンシップ」がなければ、本質的な提案はできません。今後はこのマインドを重視し、教育体制もさらに強化していきます。
これまで言葉にしてきませんでしたが、創業当初からこのマインドを非常に重視してきました。これからは「クラフトマンシップ」を大切にする会社であることを、内外により明確に打ち出していきたいと考えています。

今後、仲間に加わってほしいのはどのような方ですか?

共感できる人です。特に地域への思いを持つ方を求めています。
首都圏だけで通用する考え方では地域は盛り上がりません。地域の人自身が地域を元気にしていくべきだと考えていますので、地域活性化に一緒に取り組みたい方に、仲間に加わっていただきたいと思っています。
わたしたちは、ITの力で地域と人をつなぎ、クラフトマンシップを大切にしながら、これからも成長を続けていきます。

取材日:2025年6月5日 

株式会社ワイヤードビーンズ

  • 代表者名:三輪 寛
  • 設立年月:2009年10月
  • 資本金:1億円
  • 事業内容:デジタルビジネス事業、デジタルコマース領域における、開発、保守、運用サービスの提供、デジタルマーケティング、ブランド運営
  • 所在地:〒980-0022 宮城県仙台市青葉区五橋1丁目5-3 アーバンネット五橋ビル6F
  • URL:https://www.wiredbeans.co.jp/
  • お問い合わせ先:022-380-8700

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

高橋徹

高橋徹

広告代理店、広告制作会社、編プロ、Web制作会社等の勤務経験を経て、現在は仙台にてフリーランスのコピーライター・Webディレクター・プランナーとして活動中。採用サイトの企画・取材・コピーライティングをもっとも得意としている。また、競技麻雀プロという顔も持っており、よなよな雀荘に出没する。

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