なじめなかった地域から、伝えたい地域へ。「我慢」をも発見に変えるローカリティ!の視点【和歌山県和歌山市】

3 min 99 views

 

私は、地域ニュースメディア「ローカリティ!」で記事を書く記者です。ローカリティ!は、全国各地で暮らす人が、自分の身近にある驚きや発見、感動を見つけ、取材して発信するニュースメディアです。私もその考え方に共感し、記事を書き始めた一人です。

そのローカリティ!の編集長・中野宏一さんと副編集長・丸山夏名美さんが、書籍『FLAG IGNITION』の出版に向けてクラウドファンディングを始めました。告知を読んだ私は、なぜ自分がローカリティ!で記事を書くようになったのか、活動を通して何が変わったのかを振り返りました。

一方で、生活のための仕事に追われ、書きたい記事を書く時間をつくれない現実もあります。そこで、「我慢してやる仕事」が多い毎日をどう変えていけばよいのか、疑問に思ったことを中野さんに聞きました。

和歌山になじめない一方で、住んだからこそ見えた魅力

私は26歳のとき、京都府宇治市から和歌山県に転居しました。

しかし、和歌山の風習や地域コミュニティーの雰囲気になかなかなじめず、長い間悩んでいました。

その一方で、実際に暮らしたからこそ、和歌山県には県外に住んでいたときには分からなかった魅力がたくさんあることにも気づきました。

和歌山県内では、「人口がどんどん減少する和歌山県をなんとかしたい」という声を耳にします。しかし、その思いや地域の魅力が県外には十分に届いていないように感じていました。

そんなことを考えていたとき、和歌山県移住推進課が開催したローカリティ!のワークショップを知り、参加しました。それが、私がローカリティ!に興味を持ったきっかけです。

言葉にできなかった「地域格差」を発信できるように

活動を始めてから、沖縄の事業者を取材する仕事にも関わりました。当時は取材経験が浅く、戸惑うことも多くありました。

しかし、この経験を通して、魅力がまだ十分に掘り起こされていない地域は、和歌山県だけではないことに気づきました。全国各地に、そこに暮らす人だからこそ分かる魅力が眠っているのです。

記事を書く中で一番変わったのは、それまで自分の中にあった、地域格差に対するもやもやを言葉で表せるようになったことでした。

地域の魅力や課題を記事にして発信することで、「私も和歌山の人の役に立っているかもしれない」と感じられるようになりました。

ローカリティ!の記事がYahoo!に掲載されるようになってからは、自分が何をしているのかを周囲にも説明しやすくなったと思います。取材した人に「Yahoo!にも掲載されます」と伝えると、喜んでもらえることも増えました。

がん治療の記事が、別の患者へ届く

私は、がん治療についても記事を書いています。

その記事が、通院している病院のスタッフの目に留まりました。そして、「ほかの患者さんにも紹介したい」と言ってもらいました。

自分の経験を記事にしたものが、同じように治療を受けている誰かに届こうとしている。その出来事からも、自分が経験したことを発信する意味を感じました。

自分の中にある驚きや発見、感動を記事にする。それは、自分の思いを表すだけではなく、同じ悩みや経験を持つ誰かに届き、その人の役に立つことがあるのだと思います。

「仕事は我慢するもの」と思っていた

10月に出版される書籍『FLAG IGNITION』:ローカリティ編集部提供画像

書籍『FLAG IGNITION』の出版に向けたクラウドファンディングの告知を読み、私は、ローカリティ!で記事を書いてきた自分自身の経験を振り返りました。そこで改めて考えたのが、「自分の驚き・発見・感動を記事にする」というローカリティ!の考え方です 

私はこれまで、仕事は我慢してするものだと思っていました。周囲にも、同じように考えている人は多いのではないかと思います。

一方で、我慢して取り組む仕事には、なかなかやる気がわかないことも分かります。

その点で、自分の心が動いたことを見つけ、取材し、発信するローカリティ!の活動は、これからの社会に必要なのではないかと感じました。

ただ、現実には経済的な理由から、「我慢してやる仕事」に多くの時間を使わなければならないこともあります。私自身も、ローカリティ!の記事を書く時間をなかなかつくれずにいます。

この状況を変えていくためには、どうすればよいのでしょうか。中野さんに尋ねました。

「我慢をゲームに」。目の前の仕事を「潜入ルポ」に変えてみる

中野さんは、日常の中にある小さな驚きや発見、感動を探すことが大切だと話してくれました。

「ローカリティ!の記事にしてしまおうと思って目の前の出来事を見ると、途端に仕事が潜入ルポになる。我慢をゲームに変えてみると、100%我慢だったものの中にも、もしかすると10%の面白みが見つかるかもしれない。それでも、100%我慢とは全然違うと思うんです」

我慢している仕事そのものを、すぐに変えることは難しいかもしれません。

それでも、「ここにはどんな驚きや発見があるだろう」「記事にするとしたら、何を伝えられるだろう」と視点を変えることで、目の前の仕事の見え方は少し変わります。

和歌山になじめずに悩んでいた私も、地域を取材して記事を書くことで、それまで言葉にできなかった思いを発信できるようになりました。自分の経験を書いた記事が、ほかの人にも届くようになりました。

日常にある小さな驚きや発見、感動を探し、言葉にすること。それは、地域の魅力を誰かに届けるだけでなく、「我慢するもの」だった日々の見え方を変えることにもつながるのかもしれません。

※記事内の写真・画像は、提供画像以外、すべて筆者の記事写真、およびスクリーンショットです

情報

クラウドファンディング
「IGNITION JAPAN」 人が自ら考え、動き、挑戦したくなる社会をつくる
URL:https://camp-fire.jp/projects/962218/view?srsltid=AU7gw4XOAAjri4DJvmG1mGes34IGEb5CFh1BSrfUzb0MWwELWFn0y7MV

久松公代

久松公代

第5期ハツレポーター/京都府宇治市産まれ。社会福祉士。父は大阪出身、母は東京出身で子どものころから地域による言葉の違いや風習の違いを感じてきました。和歌山市に移住して18年たちます。暮らして気づく和歌山の良さを伝えて行きたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です