「水鏡に映る逆さ涅槃」楽しめるのは今。自然と人々の営みが織りなす、美しい共生の象徴【熊本県阿蘇市】

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阿蘇五岳が描く「涅槃(ねはん)像」

熊本県阿蘇市に位置する阿蘇五岳は、根子岳・高岳・中岳・烏帽子岳・杵島岳から成り、その稜線がまるで仏陀が横たわる姿「涅槃像」に見えることから、その名で親しまれています。特に「大観峰」からの眺望は圧巻で、四季折々の表情を見せる山々が訪れる人々を魅了します。

水鏡に映る「逆さ涅槃」

毎年5月、田植え前の田んぼに水が張られると、風のない早朝に限り、水面が鏡のようになり、阿蘇五岳の「涅槃像」が逆さに映し出されます。この「逆さ涅槃」は、阿蘇の春の風物詩として多くの人々に親しまれています。  

地下水を育む田園風景

この美しい田園風景は、単なる景観ではなく、地下水の涵養(かんよう)にも寄与しています。かつての護岸工事により川が直線化され、水が急速に海へ流れるようになった結果、地下水の補給が困難になりました。しかし、田んぼに水を張ることで、雨水がゆっくりと地中に浸透し、地下水を育む役割を果たしています。

どんぐりの森で未来を守る

地下水は、動植物の生息に欠かせず、地域の自然と暮らしを豊かにします。

どんぐりなどの落ち葉が地表を覆うことで、雨水がゆっくりと地中に浸透しやすくなり、地下水の涵養につながります。また、どんぐりの木は根が深く張るため、土砂崩れの防止にも効果的です。そこで「熊本の湧水を守ろう会」では、落葉樹であるどんぐりの木を植える活動を展開しています。

このような取り組みが、地域の自然と暮らしを守る一助となっています。

阿蘇の「逆さ涅槃」と田園風景、そしてどんぐりの森。これらは自然と人々の営みが織りなす、美しい共生の象徴です。ぜひ一度、阿蘇を訪れて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

※写真は全て筆者撮影

佐藤琢朗

佐藤琢朗

1974年(昭和49年)3月2日、熊本県阿蘇市生まれ。現在、熊本市在住。菊陽町立菊陽西小学校の理科専科。理科専科として「理科は感動だ!〜世界は不思議であふれてる〜」を実現する感動サイエンスteacherとして奮闘中。日本理科教育学会員、ソニー科学教育研究会(SSTA)会員。社会貢献として、熊本市少年少女発明クラブで講師を務め、理科好きな子を育てる活動を行なっている。たくちゃんせんせーとして、YouTuber、TikToker(@taku_oo7)の一面も持っている。

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