広告、化粧品、AI…すべてに通底する「創造する力」。東北から発信“次世代型クリエイティブ”【宮城県仙台市】

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株式会社バージョン 代表取締役

Hironori Monma
門間 浩典氏

グラフィックデザインやCM制作などをはじめとした広告事業、自社ブランドでの化粧品販売など、業界の垣根を超えた事業を展開する仙台の株式会社バージョン。個人での創業以来、30年以上にわたって、仙台のクリエイティブ業界で活躍し続けている代表の門間 浩典(もんま ひろのり)さんに、その創業からの軌跡など伺いました。

クライアントからの依頼に応えていく中で会社設立へ

どのようにして、広告業界に足を踏み入れたのですか?

大学卒業後、花形とされていた広告業界で仕事をしたいと思い、広告系の専門学校に入ったんです。しかし当時は、広告の論理や技術的なことを学びたいというよりも、そこで講師を務めていた現役の広告クリエイターの方たちとコネクションを持ちたいというのが本音でした。
幸い、積極的に講師の方たちに話を聞きに行っているうちに「仕事を手伝ってくれないか」といった声をかけていただくことが増え、学生の身ながらも次第に広告の仕事に携われるようになっていったんです。
専門学校を卒業した後は広告代理店や制作プロダクションに勤め、コピーライティングをはじめ、デザインやアートディレクション、CM・イベントの企画など、本当にいろいろなことを手掛ける機会に恵まれました。

独立して、会社を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

25歳のときに勤めていた制作プロダクションが倒産してしまい、困り果てた際に当時のクライアントから制作を継続して欲しいと直接お願いされるようになりました。
私も責任を感じてそれに応えているうちに、いつのまにかフリーランスのクリエイターになっていたという感じですね。1992年からしばらくはフリーランスとして活動していましたが、時代の流れ的なものもあって、2001年に株式会社バージョンを設立しました。

法人設立後はどのように事業を展開されていったのでしょうか?

基本的に事業内容は大きく変化していません。しかし、事業拡大にともなって、人を雇って、会社の規模を大きくした時期もありました。最大時は10数人ぐらいのスタッフを抱えていたときもありましたね。そのときのスタッフのうち数人には現在でも当社のブレーンとしてお手伝いをいただく関係性を保っています。現在では、広告関連の事業は私とそれらの外部ブレーンの方たちで回しているような形です。

クリエイティブ事業を中核にしながらも、化粧品など幅広い事業を展開

現在の事業内容を教えてください。

広告制作やデザインなどのクリエイティブ事業が中核となっています。これに付随するようなブランディング、マーケティングなども得意としています。
くわえて昨今、力を入れているのがAI活用のコーディネートです。急速なスピードで進化し続けているAIを“どのように生かすか”は多くの企業が悩まされているところだと思いますが、その利活用について、コンサルティング、コーディネートしていく事業も始めています。
また、毛色の違うところで、化粧品のメーカーとして企画・開発・販売、OEM(他社ブランドの製造)/ODM(他社ブランドの設計〜製造)も行っています。

化粧品といったまったく違う分野の事業もやられているんですね。

化粧品というと、まったく別の事業だと思われますが、私にとってはものを創造していくうえで、従来のクリエイティブと重なっているところがあります。
きっかけとなったのは、まだフリーとなって間もない頃、化粧品関係の仕事のお声がかかったことです。当時、化粧品は華やかだった広告業界の中でも花形といったイメージがありましたから、力を入れて取り組んでいたところ、ある化粧品会社から「広告・広報分野を取り仕切ってくれないか」というお話をいただき、約7年間取締役を併任させていただきました。そこで、化粧品開発のノウハウを学ばせていただいたことで、自分の会社でもオリジナル製品を開発して、展開するようになりました。事業としても長く継続しており、会社の柱の一つとなっています。

対人支援の資格も随分持たれているんですね。

心理カウンセラー、認知症サポーター、児童指導員任用資格、スマート介護士(Professional)などの資格を取得しています。福祉系広告の仕事を通じて勉強していくうちに、知識を身につけていきました。化粧品にしてもそうなのですが、一種の凝り性なところがあり、関係することは深くまで精通したい、もっと知りたいと思ってしまう性分なんです。
そのほかにも、中学校の外国語の教員免許、一級労務管理士、小型船舶操縦士、海上特殊無線技士など、仕事・趣味を通じても、さまざまな資格を取得してきました。

AIによるパラダイムシフトでクリエイターの真価が問われる時代へ

今後、どのような会社にしていきたいと考えていますか?

バージョンは「未来へつなぐ、社会を彩る創造力」をビジョンに掲げており、これからも創造を軸に事業を進めていくことは変わりません。バージョンは私一代の会社だと考えているので規模や利益の追求をしていく考えはありませんが、バージョンとしてこれまでやってきたことのうちのいくつかがブランドとして残ればいいなとは思っています。
例えば、ブレーンとなってくれている外注パートナーの方がブランドを継続していくといった流れはアリだと思いますね。

クリエイティブ業界で注目していることは?

やはりAIですね。今まさにパラダイムシフトが起きていると実感しています。AIを上手く活用すれば、今まで数日かかっていたようなプレゼン資料などもすぐに作れてしまいますし、デザインなどもそれなりのものは簡単に作れてしまいます。また本の執筆もAIの力を借りれば、数日で可能になりました。
「情報の非対称性」という言葉がありますが、これからの時代はAIも上手く活用できる人とそうでない人の間に格差が生じていくと思います。 私たちクリエイターがどのようにして価値を発揮していくか、まさにその真価が問われていく時代になりました。弊社はその間に立ってプロデュースしていく立場でサポートしていけたらと考えています。

今後、どのようなクリエイターと一緒に仕事をしたいと考えていますか?

創造をデザインできるようなクリエイターと一緒に仕事をしたいですね。
AIの開発者の方などの話も聞いてきましたが、AIは与えられた情報からモデリング、対象を特徴や構造などを簡略化・抽象化して表現することは非常に長けていると思います。しかしながら、そこにいたるまでのアイデアを生み出す、企画を練り上げるといった部分では、人間に分があるのではないでしょうか。プロンプトエンジニアリングというテクニックだけでは補えない血の通った人間だからこそ生み出せる、斬新なアイデアや尖った発想。こういったものを生み出し形にできる方、また意欲のある方が好ましいですね。

取材日:2025年7月2日

株式会社バージョン

  • 代表者名:門間 浩典
  • 設立年月:2001年1月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:化粧品事業、ブランディング事業、クリエイティブ事業、ライフデザイン事業、ジェネレーションAI事業
  • 所在地:〒984-0827 宮城県仙台市若林区南小泉4丁目11-20
  • URL:https://eqcosmetics.com/
  • お問い合わせ先:022-205-8045

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

高橋徹

高橋徹

広告代理店、広告制作会社、編プロ、Web制作会社等の勤務経験を経て、現在は仙台にてフリーランスのコピーライター・Webディレクター・プランナーとして活動中。採用サイトの企画・取材・コピーライティングをもっとも得意としている。また、競技麻雀プロという顔も持っており、よなよな雀荘に出没する。

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