東京から北に約300キロ。宮城県との県境にある福島県新地町で暮らすモンゴル出身の荒オルギルトヤさん(通称:トヤさん)は今年3月、故郷モンゴルの深刻な砂漠化問題に心を痛め、自ら立ち上がり、植林プロジェクトを始動させた。
トヤさんの故郷、モンゴル南部はゴビ砂漠が広がり、深刻な砂漠化が進んでいる。この地域は、私たち日本にも影響を与える黄砂の発生源でもあるのだ。トヤさんは、故郷を訪れた際に、かつて豊かな自然が広がっていた場所が砂漠と化しているのを目の当たりにし強い衝撃を受けた。
「このままでは、子や孫の世代が生きていけない」
砂漠化は、気候変動や過放牧など様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題だ。これが子や孫の世代の生活まで脅かすことを危惧したトヤさんは、迷わず一般社団法人「ゴビのみどり」を立ち上げる。将来的にモンゴル南部のマンダル・オボー町で、約10ヘクタールにわたり植林を行う計画だ。日本とモンゴルでは植生が違うので、基本的には必要な資材や樹木を現地で準備しなければならない。前途は多難だが4年間で1万2000本の樹木を植えるとともに、キャンプ場や環境活動団体の拠点となる施設も整備する予定もある。
トヤさんの活動は、地域の人々からも少しずつ大きな支持の輪を広げ始めている。8月末には活動に賛同する地域住民と共に現地に渡り、植林予定地を視察する計画だ。
トヤさんは、このプロジェクトを通じて、モンゴルの若者たちが集い、環境問題について考える場所を作りたいと考えている。また、将来的には、キャンプ場の開設や現地住民が農業を営める環境整備も見据えている。
このプロジェクトが成功すれば、モンゴルの砂漠化を食い止めるだけでなく、世界中の環境問題解決への一歩となるかもしれない。
今後のトヤさんの活動に注目だ。