「兵庫県北神戸石油発動機愛好会」
以前から筆者が住む兵庫県丹波篠山市界隈では、週末になると骨董(こっとう)品級のレトロエンジン、と呼ぶよりも、発動機と呼ぶほうがふさわしい機械を、公園や広場などにたくさん並べて運転会がされているのを度々見かけるようになり気になっていました。
先日も筆者が愛犬の散歩で度々利用している公園の駐車場に発動機がたくさん並べられ、ケロシン(灯油様の燃料)や軽油の匂いを漂わせ、独特ののどかな動作音を出して回っていました。
いてもたってもいられず、自身の身分を明かし直ちに取材開始となりました。
この会の発起人は、丹波篠山市の北隣に位置する丹波市柏原町在住の臼井昌美さん(70)と、同じく丹波市山南町在住の中島進さん(54)のお二人で、発動機愛好家の集まりで知り合い、2011年に会を立ち上げたとのことです。
石油発動機は、欧米では19世紀から開発が進められ、農業用の国産機第1号は1920年代に岡山県内のメーカーで誕生しました。
岡山県は紡績工業や造船業などが盛んだったことを背景に、農業の機械化に関しても拠点となりました。水利条件が良くなかった児島湾干拓地ではとりわけ一気に導入が進んだそうです。
全国の農村部で1965年ごろまで盛んに使われており、農業用水の揚水や米の脱穀に使う動力源だったそうです。
戦前から戦後しばらくはケロシンを燃料とした石油発動機が主体でしたが、1960年ごろにより扱いやすいディーゼルエンジンも登場してきました。
お二人は、1920年代のアメリカ製発動機、京都府の丹後ちりめんの工場から出てきた1955~64(昭和30)年代の大型機も所有しているとのことです。
古い発動機には欠品部分が多く、復元は手間がかかるそうですが、愛好家仲間が協力し合いながら、特許番号から見つけた設計図をもとに、旋盤を使い部品の一つ一つから作り直しては組み直すそうです。
このような趣味を退職後に楽しんでいる皆さんの表情は、少年のように輝いて見えました。
写真撮影・キャプション作成全て筆者