
山形県村山市内で老若男女に愛され続けている「お食事の店 満月」。私自身も三世帯で訪れている行きつけのラーメン屋だ。しかし昔なじみの店だからこそ、知らないことがたくさんあることに気がついた。なじみのお店の秘められた事情や想いをひも解いていきたいと思う。
満月は1937(昭和12)年に開業し、現在の店主の板垣 仁さん(いたがき ひとし)さんで三代目になるという歴史あるラーメン屋だ。板垣さんは2006(平成18)年に、県外で会社員をしていたところを脱サラして店を継いだ。
板垣さんいわく、「自分が長男だったのもあって、この店が衰退していくところを見たくなかったから継ぐことを決めた」と語ってくれた。
しかし、「脱サラして営業を始めた当初は飲食店と会社員の働き方や生活リズムも全く違い、転換していくのが大変だった」とも語っていた。


満月ではラーメンに限らず、丼物やうどん、ライスなどの提供も行なっている。昔はそばの提供もしていたらしいが、店主さんのそばアレルギーにより提供ができなくなってしまった。
そこで店主さんが考案したのが「全粒粉麺」。使っていたそばつゆに合うような麺を提供できないかと考えた結果の転換だった。
「もともと、そばが好きで食べてくださっていたファンの方が一度離れてしまっても、もう一度食べて『いいね』と戻ってきてくださるようにしました」と語っていた。
満月のメニューは、幅広い年代の方に気に入ってもらえるような「こってりしすぎないラーメン」を考案し続けているというこだわりを教えてもらった。
幅広い世代にお店に来てもらい、また下の世代にも伝えてもらい、「満月がいいな」と選び続けてもらえるようなお店にしていきたいと板垣さんの熱い思いを聞くことができた。

中でも季節で変わる限定のスーラータンメンがある。
今回は5・6月限定の『花山椒(はなさんしょう)スーラータンメン』を頂いた。酸味や辛味も優しく、まろやかかつあっさり食べられる仕上がりだ。季節限定スーラーは一味違った風味を楽しめる。例えばこの『花山椒スーラータンメン』は、小鉢に『塩漬け胡椒』が付いてきて、途中の味変も。最後まで楽しめるこだわりを感じられる一品だ。他にも季節で限定のスーラータンメンが移り変わるため、試してみてはいかがだろうか。

具の香りが芳しく、つい口に運んでしまう味わい。ラーメンと一緒に頼むと先に早めに出てくるので食べながら待つのもよし。

メニューの中にはこんな変わり種もある。
これは『チーズみそラーメン』。チーズと味噌ラーメンという、もったりしてそうな組み合わせだが意外にしつこすぎないという不思議な組み合わせだ。
味噌ラーメンがチーズでまろやかになり、とてもあっさり食べられる。味噌野菜ラーメンが主体になっているため、シャキシャキとしたもやしや、キャベツ、そして何より麺に伸びるチーズが絡まって非常におもしろい味わいになっている。


満月のこだわりにもある「あっさり」を体現したようなしょうゆスープだ。
あっさりとして澄んだ醤油スープで、ネギやメンマとの組み合わせがよく、さっぱりした味わいだ。紅生姜の風味もプラスとなって最後までスッキリと完食することができる。
笹原也慧子さんの投稿
情報
お食事の店 満月
住所:〒995-0017 山形県村山市楯岡十日町5-3
電話番号:0237-53-2316
営業時間:火~日曜(11:00〜14:30、17:30〜20:00)
定休日:月曜
URL:https://www.facebook.com/murayama.mangetsu