福岡県南部に位置する八女市(やめし)の福島という地区には、江戸~昭和初期の伝統様式の建物が150軒ほど並ぶ。白壁の商家など伝統的な町並みが残されている。2002年には「国の重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。年月を経た趣のある建物に魅了され、移住して暮らしている人を紹介したい。
堀アスカさんは、商家の町家が残る「八女福島の町並み」の中で茶房を経営し、住んでいる。
八女市外出身の堀さんは、もともと木造建築が大好きで、八女に遊びに来ていたことがきっかけで移住を決めた。仕事と住居を探していたときに、この町家と出会って、一目ぼれ。その時のことを「この家に雇われた」と語る。店舗となる町家が先に決まり、この建物に合ったお店をしようと、「家屋ファースト」で考えた結果、茶房を開いた。
2020年にオープンしたお店の名前は「まる舎茶房(まるやさぼう)」。町家の土間部分が店舗になっており、気軽にできる抹茶体験が人気。
抹茶体験は「おちゃまごと」と呼ばれ、「ままごとをするようにお茶で遊ぶ」がコンセプト。「作法や行儀を気にせず、楽しく抹茶の世界に触れて欲しい」という思いが込められている。
八女福島の町家の土間での堅苦しくない抹茶体験は、普段の暮らしの一部のようで、居心地が良い。
また「素朴だけど丁寧に培われてきた八女の手仕事文化が好き」という堀さん。八女で作られた茶碗などの茶道具を使い、八女茶を味わうという八女ならではの体験プログラムも用意している。
「抹茶体験のハードルを下げ、『日常の選択肢としての抹茶』になることを目的としてやってきた。今後はお茶を通じて、ごはんを食べたり、お話したりするような会を開きたい。また八女の手仕事について学べる体験ができたら良いなと思っている」
堀さんは、今日も八女福島の町家に住み、営みを続けている。
(執筆:甲斐 郁さん)
情報
【まる舎茶房】
住所:福岡県八女市本町154
電話:0943 22 9540
nstagram:https://www.instagram.com/maruya_sabou/
月・木〜日曜日:通常営業
火・水曜:予約のみ
不定休あり