
マスカット株式会社 代表者
Shoko Tsukamoto/Yui Nagoya
塚本 粧子 氏/名護屋 結衣氏
福岡を拠点に活動するマスカット株式会社は、姉・塚本粧子さんと妹・名護屋結衣さんによる共同経営でWeb制作やデザインなどを行う会社です。Web企画・制作・店舗ブランディング・UI・UXデザインまで、2人の“得意”を生かしながら、顧客の「やりたい」を丁寧に形にしています。
塚本さんは、Kaizen Platform主催「Growth Hacker Award 2018」で3冠を達成し、「グッドデザイン賞2020」も受賞した実績を持つクリエイター。
マスカットは、“なんとなくモヤモヤしている”状態を対話を通じて言語化・構造化し、価値ある形にしていくクリエイティブチームです。小回りの利く柔軟な対応力と密な対話で信頼を築く、二人三脚の仕事ぶりに迫りました。
代表姉妹の人生。それぞれまったく違うキャリアがWeb制作に重なった瞬間
お2人の立ち上げまでのキャリアを教えてください。
塚本さん:10年間、医療系のデジタルサイネージを作る会社に務めて数人のチームのリーダーをしていました。以前から「医療系だけでなくほかのジャンルに挑戦してみたい」と思っていたこともあり、自分の力試しの気持ちでWeb系のコンペなどに応募していました。クラウドソーシングサービス自体も始まった直後の良いタイミングだったこともあって、すぐに安定した収入になったのでフリーランスに転向しました。
名護屋さん:PCを使った仕事が好きだったこともあり、高校卒業後は声がかかったシステム会社に就職しました。当初、エンジニアだった私は業務にあまりピンと来ていませんでしたが、その会社の自社Webサイトの制作を担当させていただいたときに、自分の中でしっくりきたんです。
その後、姉が独立するタイミングだったのでもともと興味があった私も背中を押されるように独立しました。仕事をこなすなかで「対話をして、顧客の言語化されていない悩みを、会話から引き出すのが得意だ」と気づき、いまはディレクターのような立ち位置で働いています。
マスカット株式会社を設立したきっかけを教えてください。
塚本さん:私たちはもともとそれぞれフリーランスとして活動していて、同じマンションの上下階に住んでいました。仕事は別々にしていましたが、日々の悩みや目指したい方向などをよく話していて。自然とお互いの領域に対して熱量が高まり、将来的に一緒にやりたいね、という会話が増えていったんです。
お互いの強みやスタイルもわかってきた頃、「一緒にやることで、もっと良いものを提供できるんじゃないか」と思うようになり、法人化を決めました。法人でないと受けられない案件も増えてきたことも後押しになりましたし、新しいステージに進むタイミングとしてもちょうどよかったんです。
この時は毎日2人で何時間も現状の仕事に対する不満や自分たちで決めてやりたい!という思いがとても強く、「独立しよう」という思いも爆発するかのように膨れ上がっていた時期でした。そのエネルギーが法人化まで進めていけた理由だと思っています。
社名の由来を教えてください。
名護屋さん:「なんでマスカットなんですか?」とよく聞かれるのですが、ただ単に猫が好きで。実家で飼っているハチワレ猫がいて、ハチワレ猫は英語でニックネームのようなニュアンスで「マスクキャット」と言うんです。そこから発展して覚えやすく可愛らしい名前ということで「マスカット」となりました。
Web制作はもちろんお客さまのニーズに小回りの利く対応力で拡がる需要

現在の事業内容について教えてください。
塚本さん:おもにWeb制作、グラフィックデザインを行っています。また、プロダクトデザインやUXデザインなどのほか、店舗のブランディング、店舗戦略に携わることもあります。
最近は私が主にUI/UXデザインをメインに担当しています。名護屋がWebディレクターや店舗ブランディング、また店舗戦略に関わることもでてきました。イベントの企画のお手伝いもしています。
どちらかというと、自分たちはこのWebが専門というよりは、「お客さまにとって必要なサポートをするためにチャレンジしていく」というのが私たちの基本的な姿勢です。
姉妹で共同経営をしていて、良かったことを教えてください。
名護屋さん:良い点としては、姉妹でやっている分、気を使わず率直に話せるので、意思決定のスピードも速く、情報共有もスムーズです。お互いの考えを先回りして理解できる関係性が、柔軟な対応力や細やかな提案力にもつながっていると感じます。
私たちは会社の意思決定を2人で行うため、たくさん話し合います。1人で抱えることがない点もメリットだと思います。
総合的な企業・店舗支援ができる企業へ。「頼むとなんとかしてくれる」と好評
御社の強みと現在の体制を教えて下さい。
名護屋さん:お客さまの「言語化されていない悩み」や「うまく言えない不安」を丁寧な対話の中からくみ取り、解決まで伴走するのが、私たちの一番の強みです。「自社のことを自分以上に考えてくれている」と言っていただけることも多く、そうした信頼関係が長いお付き合いにつながっています。
現在は、私たち姉妹2名を中心に、各分野の信頼できるフリーランス5名と連携したプロジェクト体制をとっています。規模以上に柔軟で専門性の高いチームづくりを意識しています。

今後の展望をお教えください。
塚本さん:これからは、クライアントワークに加えて、自社発信のサービスにも挑戦したいと思っています。受託だけでなく、自分たちの視点で価値を届ける存在になりたい。作り手から、提案する側へとフィールドを広げていきたいんです。
名護屋さん:ディレクションをしている私は進行管理が得意なので、「イベントや店舗などの上流工程から支援できるような体制を整えていきたい」という思いがあります。福岡の企業さまのなかには、デジタル化が進んでいないなど、昔からの古い体制が今も続いているケースがあります。
そういった企業の根本的な課題を知るためにも、お客さまの懐に入れるよう、人間関係をより密に築いていきたいですね。
また女性たちに「雇われる立場で働く」以外のキャリアの選択肢があることを伝えたいと思っています。会社は大きくすることだけがゴールではない、私たちのような決して大きくない規模でも会社としてやっていけるということを示していきたいですね。
一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
塚本さん:現在は制作がメインになるため、技術力は見ます。また、与えられた指示の裏側を見られる人がいいですね。「なぜこの仕事をやるのか」「この仕事をやり遂げることで周囲にどのような影響を与えるのか」など、本質を捉えることができる人は素晴らしいなと思います。
また働く場所や環境は問いません。やる気や意志があれば十分に戦力になると考えており、実際に地方や海外在住の方とも成果を出してきました。
私たち2人もずっと現場で動き続けたいと考えているので、一緒に仕事をするうえで、同じ熱量で対話ができたり、お客さまと向き合ったりできる人は本当に貴重だなと思います。
取材日:2025年6月24日
マスカット株式会社
- 代表者名:塚本 粧子、名護屋 結衣
- 設立年月:2018年12月
- 事業内容:Webプランニング・制作・デザイン/UI・UXデザイン/グロースハック/店舗ブランディング
- URL:https://mas-cat.com/
- お問い合わせ先:info@mas-cat.com
この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。