〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
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渡良瀬遊水地を訪れた人に、思い出に残るお土産を
渡良瀬遊水地は栃木県の南端に位置し、栃木、群馬、埼玉、茨城の4県にまたがる日本最大の遊水地です。希少な動植物が生息する渡良瀬遊水地は2012年にラムサール条約登録湿地になりました。特に3月には「ヨシ焼き」という、まるで映画のようなスケールの大きな伝統行事が行われます。
小山市に移住するまで、渡良瀬遊水地の存在すら知らなかった「muty(ミューティー)」代表の伴瀬恭子(ばんせ・きょうこ)さんの第一印象は「とにかく広い!地元の人には当たり前になっているけど、『どこにでもあるものではない』風景」と感じたそう。
コウノトリが繁殖・定住することで知られている渡良瀬遊水地ですが、2018年から定住しているコウノトリ「ひかる」は千葉県の出身。
伴瀬さん自身も千葉県育ちなので「ひかる」には特別な思い入れがあります。「『ひかる』がいなかったら今の私はここにいない。同志のような存在」と話します。
2018年から小山市地域おこし協力隊第一号として、祖父母との思い出深い小山市に移住し、渡良瀬遊水地のPR担当として3年間活動。
PR活動をする中で、コウノトリをきっかけに「渡良瀬遊水地」を訪れた人に、形に残る思い出を持ち帰ってもらいたいと思い、お土産品の商品開発に乗り出します。
ヨシの草木染めは、あの「ユネスコ無形文化遺産」の知恵が!
視察先でたまたま、環境省が要注意外来生物リストに載せている植物「セイタカアワダチソウ」を活用した染物の存在を知り、遊水地に豊富に生育している「ヨシを使ってお土産品の開発ができないか」と、図書館で本を借りるなど、試行錯誤をしていたら、当時の担当課長からユネスコ無形文化遺産「結城紬(ゆうきつむぎ)」の染色部門伝統工芸士さんを紹介してもらえることに!
伝統工芸士さんにアドバイスを頂きながら、ヨシの茎や葉を煮詰めて色素を取り出し、色素定着に使う溶液の工夫などを重ねて、とても美しい淡い黄色や橙色を編み出しました。
現在、そのヨシの草木染めのハンカチやトートバックなどの布製品に、幸せを運ぶと言われるコウノトリをモチーフにした商品を中心に販売しています。
特別な日も なんでもない日も 身近にありたい
社名「muty」の由来は、ふしぎの国のアリスに登場する歌詞「merry unbirthday to you(なんでもない日おめでとう)」の頭文字からとったもの。伴瀬さんの「特別な日も、なんでもない日も、身近に感じて、手に取ってもらえるものを」という思いが込められています。
伴瀬さんの思いはひとつ。「何かのご縁で、このヨシの草木染めアイテムを手にした人が、渡良瀬遊水地を訪れてみたり、野生のコウノトリに会いに来たりするきっかけとなったらうれしいです」。