青い海に囲まれた地にある日本刀工房「日本刀鍛錬所 兼工房」【沖縄県南城市】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

 

沖縄県南城市は、世界文化遺産のある自然豊かな地域。琉球王国ゆかりの史跡や伝承が多く、どこまでも青い海、白浜が続くまちに「日本刀鍛錬所 兼工房」はあります。創業者である刀匠の兼濱昇(かねはま のぼる)さんが1984年に開設し、高度な日本刀の鍛錬技術と沖縄の伝統技能の漆工芸との融合で、逸品を作り続けています。

兼濱さんは、大学時代に刀剣の手入れを手伝ったことがあり、初めて刀を手にしたときに言葉では言い表せない「強さ」と「やさしさ」を感じ取ったそうです。学生生活で精神的苦境に陥り、大学を中退して、源清麿写しの刀匠の第一人者・宮入清平(清宗/みやいり きよひら)に弟子入り。宮入氏が活動する長野県坂城町で10年間修行し、独立しました。

 

漆と刃物のコラボレーションで人気博す

兼濱さんは現在、切り出し小刀や、自身でブランド化した琉球刀子、かりゆし文鎮、印刀、レターオープナーなどを手掛けています。切れ味の鋭い刃物と漆のコラボレーションが特徴で、切り出し小刀では柄の部分に漆を焼き付け、さらに漆を重ねて草花の意匠などを表現しています。漆作家でもある妻の淳子(じゅんこ)さんもかかわって、漆絵カードなども取り扱っています。

長年応援してくれている地元の人たちの力を借りて、沖縄らしい作品創作に励みます。琉球王国を治めた、地域の偉人・尚巴志(しょう はし)をヒントに当時の刀を再現する計画もあります。

 

展示施設の夢も。日本刀の継承を胸に

「将来的には、幅広い刀剣を展示するセンター的な施設を開きたい」と兼濱さんは先々を見据えています。普段の生計はなかなか厳しいといいますが、孫には「刀匠をやってごらん、と言えるようになりたいですね」と微笑みます。静かな語り口の中に、情熱を感じさせてくれます。

地元の琉球大学と連携して、講義の一環で日本刀について学び、作刀も体験するプログラムを行うなど、精力的に活動しています。南国の地で、日本刀の継承・普及に余念がありません。

齊藤太一

齊藤太一

埼玉県草加市

第2期ハツレポーター

わいわい歴史通信という歴史業界新聞の編集長をしております。全国各地の寺社やお城、川や山にも歴史があります。歴史は万国共通の地域おこしの素材だと思っております。
歴史視点の地域の話題・記事を関東甲信などからお送りしたいと思います。これまでに、神奈川県鎌倉市や栃木県さくら市などと歴史活動でコラボレーションしております。