宇宙と地球を結ぶ「巨石」?60年に一度の特別な日に拝ヶ石遺跡で祈る 〜縄文の叡智と“水の聖地”【熊本県熊本市】

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2025年6月29日――この日は、「巳の歳・巳の日・巳の刻」が60年に一度重なる特異日。さらに「一粒万倍日」とも重なり、まさに“始まりの力”が最も高まる吉日でした。

そんな日に導かれるように、私は熊本市河内町の山中にある拝ヶ石(おがみがいし)遺跡を訪れました。

■ 拝ヶ石遺跡とは

阿蘇を中心に広がる巨石文化の中でも特に重要とされるこの聖地は、古代縄文人たちが「天空」と「水源」に祈りを捧げた場所と考えられています。

拝ヶ石は、冬至の日に昇るプレアデス星団(すばる)の波動を受け取るよう配置されたとされ、まさに地上のレシーバー=“地球と宇宙を結ぶ装置”なのです。

木々に包まれたこの場所には、8メートルの巨大な拝ヶ石を中心に高さ6メートルを超える「メンヒル」とよばれる巨石、亀の姿のような「亀石」、不動明王像を安置した祠(ほこら)などが点在しており、一本一本の根が絡み合うように巨石と結びついて、大地の意志そのものを感じさせます。

■ 巨石に秘められた知恵と科学

この「メンヒル」には、十字に刻まれた線があり、東西南北を示しているといわれます。磁気異常地帯としても知られ、コンパスが2回転するような現象も確認されています。

実は、縄文人たちは磁場を「測る」のではなく「生かす」技術を持っていたのではないか、とする研究者の視点もあります。

1992年、研究者の武内一忠氏がこの地の磁気異常とペトログリフ(岩面刻画)を発見し、1993年にはアメリカの岩石芸術学会でも報告されました。熊本市や地域の方々の協力のもと、1994年には正式に「拝ヶ石遺跡」として整備され、今も訪れる人々を静かに迎えています。

■ 巨石文化は“水の祈り”だった

拝ヶ石を含む巨石群は、天体観測・暦の測定・磁場との調和だけでなく、何よりも「水源の保護」に大きく関わっていたと言われています。

花こう岩の上に湧く岩清水。その周囲に森を育て、水を守り、暮らしを支える――それは、ケルト文化やスコットランド・アイルランドの巨石群とも共通する“水の聖地”の概念に通じます。

私たちは、海を越え、時を越えて受け継がれる自然との共生の知恵を、こうした場で実感してきました。拝ヶ石はまさにその“記憶”を体現しているのです。

■ 今、拝むということ

60年に一度の巡り合わせの日に、この地で光の中に包まれ、石と対話するように静かに手を合わせました。

それは、祈りというよりも、「預かってきた願いを受け取る」ような感覚でした。

かつての人々が見上げた空と、踏みしめた地を感じながら、私たちは未来の地球に向けてどんな行動を選ぶか――。

それを思い出させてくれる場が、拝ヶ石遺跡です。

実は、筆者は1年前の2024年6月1日にもこの場所を訪れていて、今回は1年ぶり2度目。前回はペトログリフ研究家の武内一忠さんとご一緒させていただきました。拝ヶ石遺跡は、現代の私たちが“自然と共にあること”を思い出すための「記憶の装置」です。水と森と祈りがつながるこの場所を、どうか未来にも語り継いでいきたいです。

写真は全て筆者撮影

佐藤琢朗

佐藤琢朗

1974年(昭和49年)3月2日、熊本県阿蘇市生まれ。現在、熊本市在住。菊陽町立菊陽西小学校の理科専科。理科専科として「理科は感動だ!〜世界は不思議であふれてる〜」を実現する感動サイエンスteacherとして奮闘中。日本理科教育学会員、ソニー科学教育研究会(SSTA)会員。社会貢献として、熊本市少年少女発明クラブで講師を務め、理科好きな子を育てる活動を行なっている。たくちゃんせんせーとして、YouTuber、TikToker(@taku_oo7)の一面も持っている。

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