そこは、福岡県八女(やめ)市にある民家の敷地内。開放された倉庫が会場。入口のテーブルを囲んだ椅子に腰掛け、おしゃべりを楽しむ。コーヒーや焼き芋など、その季節ごとのお供も出してくれる。ホームメイドやハンドメイドに包まれた空間。アットホームな隠れ家的な団らんのひととき。
目次
住宅地でなぜマルシェ?
なぜ、こんな住宅地であえてお家マルシェをしているのか。
マルシェといえば、公園など広場の一角でテナントが寄り集まって開催されるイベントのイメージが強い。
マルシェの語源は「市場」を意味するフランス語で、多くの人が集まる場所に複数の店舗が出店する集合体を指す。
『おひさま』でも、ご近所さん持ち寄りの品が委託されている。畑で採れたお野菜や果物・手作りパン・お菓子・雑貨・まな板等の日用品までさまざまだ。
完全なるボランティア。でも「ホッと一息つける場所をつくりたかった」
出品者の希望価格で販売し、売上をそのまま渡す完全なるボランティア。
ことの発端を、主催の井上美佐子(いのうえ・みさこ)さんに尋ねた。
「何世代も集まってホッと一息つける場所をつくりたかった」と語る。
もともと病児保育など、ママたちの子育てを手助けする身近な場所を提供したいという思いが始まり。
子どもを預かってくれる「誰か」が居れば、もっと気楽に親が一息つく時間が増えるのではないか、そんな場所が身近に必要なのではないかと。
近所のシニア世代も集まって交流する場所に子連れで立ち寄り、ゆくゆくは学校から直接帰って来る。
そういった「地域のサポートをしあう」企画としての第一歩だそうだ。
本来なら、団らん出来る空間を提供するのが目的なので商品の販売抜きでもよかったのだが、まず多くの人に知ってもらう事が必要なのでマルシェの例を取り入れたそうだ。
地域をつなぐ『おひさま』のような存在へ
今後は、希望者に芋堀りや稲刈りなど、ふれあい体験も計画されている。
何か新しいものや価値あるものを見つけ出す楽しさや手作りの良さやおいしさ、明るく温かい人があつまる雰囲気。訪れる人にとって『おひさま』みたいな場所になればいいという願いが込められた屋号。
口コミで来訪者も増え、中学校の通学路だという事もあり「生徒さんも土曜日の部活帰りに寄ってくれるようになった」と嬉しそうに話す井上さん。
ホスピタリティにあふれた、母性の行きつく先の夢は、ひとりの目標ではなく今の地域や世の中に必要なコミュニティのあり方ではないだろうか。
おいしいたのしい掘り出し物が揃う『おひさま』
ちなみに筆者イチオシは、こんぶの佃煮。
細切りの昆布がクタクタに絡み合い、黒光りしている。
口に入れた途端、うまみと酸味と香りが一気に広がり唾液があふれ出る。
しっかりと味が染み込んでいるので、白米とのコンビは言わずもがな。
他の色んなおかずとのバランスも良さそうだ。
特に今からの季節、サンマと一緒に味わいたいところである。
東京の友人宅に差し入れた際は、家族ぐるみで「おいしい」と気に入ってくれたほど。
まだまだおいしいたのしい掘り出し物がたくさんある。
是非、土曜日は身近な人と宝探し感覚で足を踏み入れて欲しい。
花宗川(はなむねがわ)そばに立つ『おひさま』の旗を目印に。
※写真はすべて執筆関係者が2024年9月に撮影したもの
情報
『おひさま』
住所:〒834-0023 福岡県八女市馬場573-3
℡:090-7474-7834
開催:毎週土曜日 9:00~17:00 ※臨時休あり