
丹波篠山市の玄関口である篠山口駅の北西に位置する味間地区が関西では珍しい扇状地であることを、隣町の丹波市在住の民俗学研究者から教えてもらって初めて知りました。15年住んでいて気づかなかったとは恥ずかしい限りです。
扇状地とは、狭い山間地を流れる急流河川が、広い平坦地に出て流れが弱まることにより、運ばれてきた砂礫(されき)が扇状に堆積してできた土地のことです。私が知るところでは、社会科で習った山梨県の富士川水系の上流域の扇状地があります。
扇状地は、山地から平地にかけて川によって運ばれた砂礫を主体として形成されています。一見すると川は小さいけれども、そこから染み込んだ豊富な地下水(伏流水)が流れているという現象が見られるところもあります。
雨がしばらく降らなかった場合は、そこを流れる川は水が全くなくなることもあり、いわゆる水無川といわれる形態を見せます。

伏流水といわれる地下を流れる水は、地上の川を流れる水の量よりも豊富な場合があるくらいです。
丹波篠山市の扇状地は規模が小さく、大きな川を伴う関東などの扇状地とは異なるため、全く気が付きませんでした。

しかし注意深く観察すると、地区内は砂礫地で水が染み込みやすく、そこを流れる川は規模が小さくかれた川に見えるのですが、水そのものは浅い地下に伏流水として流れて、地区の井戸は他の場所よりも深く掘らなくとも水が出やすいんですね。

そのような理由からお茶の栽培に適するようで、ここには茶畑が広がっています。

詳しいお話を聞きに、その地区にあるお茶と和菓子のお店である「茶遊菓楽諏訪園本店」にお邪魔しました。

店番をしておられた若女将にお話を聞くと、その方は日本でも有数のお茶どころである静岡県磐田市からお茶がご縁で嫁いで来られたそうで、磐田市はサッカーが盛んな土地柄なので、筆者自身が今でも隣町でプレイしていて興味があるのでついついその話題になってしまいました。


地域の井戸について話を戻すと、その地区特有の野井戸が、各家庭に昔からあるとのことです。
水道が普及した現在でも、お茶をいれる際には、やはりその井戸のおいしい水をくんで使う習慣が続いています。
訪ねたお店でも、餅菓子のお餅を炊く際にはその水にこだわって使っているそうです。
取材でこのような興味深いお話を伺うのは、とても楽しいことです。