聖水を顔面に水圧強で! 1000年以上続くティルタ・エンプル寺院で身も心も浄化体験【インドネシア・タンパクシリン】

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ティルタ・エンプル寺院とは

バリ島ウブド北部、タンパクシリンに位置するティルタ・エンプル寺院(Pura Tirta Empul)は、神聖な湧き水を中心に広がる古刹(こさつ)である。

寺院の成立は西暦962年、ウォルマデワ朝時代にさかのぼるとされ、以来1000年以上にわたり、聖なる泉として地元信仰の中心であり続けている。
ティルタとは聖水を、エンプルとは湧き出る泉を意味し、その名の通りこの地の水はバリ・ヒンドゥー教徒にとって浄化と再生の象徴である。

この寺院の最大の特徴は、水と体の関わりを体験させる場であるという点にある。他の寺院の多くが建築や彫刻など“鑑賞”が中心であるのに対し、ティルタ・エンプルは水に入り、湧き水に触れ、体ごと浄化されるプロセスが存在する。聖地としての力は、現代まで連綿と受け継がれているのである。

聖水の儀式「メルカット」とは

寺院で行われる水の儀式は、現地ではメルカット(Melukat)と呼ばれる。これは体と精神を清めるための古来の儀礼であり、バリの人々は重要な節目や祈念の際にこの聖水による浄化を行ってきた。

メルカットは、心身の汚れを取り除き、宇宙や神々とつながる行為と位置づけられている。ティルタ・エンプルの泉はインドラ神が地中から湧き出したとされ、その清浄さは多くの信者や参拝者を引き寄せる。

この儀式は30本前後の噴水が並ぶ聖水プールで順に水を浴び、頭から聖水を受けることで進行する。観光客も参加可能だが、そこには現地の信仰に対する敬意が不可欠である。

服装と礼節:聖域に入るための準備

ティルタ・エンプルは現在も信仰の対象であり、観光客の訪問時にも厳格なドレスコードが適用される。
寺院に入るにはサロン(サロン布)とサッシ(腰布)を着用することが必須であり、これは入口で貸し出される。

また、聖水での浄化(メルカット)に参加する場合は、体が濡れてもよい服装(下に水着など)を用意し、特別なサロンに着替える必要がある。

聖なる水と体の距離感

ティルタ・エンプルの最大の魅力は、聖水と体との直接的な接触である。ただ聖水プールを眺めるだけではなく、湧き続ける泉の下で水を受けるという身体性の強い体験は、訪問者の内面に深い印象を残す。
顔に流れる聖水の感触は冷たく、強い水圧であることもあるが、それは単なる物理的感覚以上のものをもたらす。水面を打つ一滴一滴が1000年の時間と重なり、目を閉じれば過去から現在へと連なる時間を一瞬に感じるのである。

この寺院は単なる観光スポットではなく、生きている聖地であると感じた。

訪問者へのアドバイス

現在のティルタ・エンプルは国内外の観光客を大勢迎えている。しかし、そこで行われているのは単なる写真撮影などの観光ではない。
この場所の本質は、水の力を体に感じ、祈りの空気を肌で受け取ることである。ぜひサロンを身につけ、聖水プールに身を投じてみてほしい。

阿部宣行

阿部宣行

インドネシアはジャカルタ在住。長年お世話になった東北や旅して回った国々の記事を執筆しています。
ローカリティ受賞歴:
ハツレポグランプリ2025 副編集長・丸山賞
写真受賞歴:
東京カメラ部×FUJIFILM10選 - Colors Like Film -フォトコンテスト2025
Fun,Fan,Find青葉 Fコン2025
仙台朝市銀座UNフォトコン2025
やっと連仙台 阿波踊りフォトコン2024
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