「ロカフェス」は本当のローカルに出会えるニュースメディア「ローカリティ!」が全国のレポーターとともに送る、年に1度のフェスティバルです。
「ロカフェス」のオープニングトークとして行われたローカリティ!編集長の中野と副編集長の畠山のトークセッション。後編ではローカリティ!と他のメディアの違いやジャーナリズムに対する考え方、ローカリティ!のメディアとしての在り方について語られました。そして、最後にはローカリティ!が実現したいことが語られ、ローカリティ!のアイデンティティを再認識する内容となりました。
目次
「ローカリティ!」は「ジャーナリズムを根幹にすえる報道メディア」である
畠山>あくまでもローカリティ!は報道メディアを名乗っていると思うんですが、情報サイトや観光サイトなどとの違いはどう考えていますか。
中野>ローカリティ!は、ジャーナリズムをやっていると思っているんですよ。ジャーナリズムをやっているのでローカリティ!は報道メディアだと言えると思っています。ジャーナリズムとはなにかと考えるといろんな考え方がありますが、一般的なイメージとして社会の不正を暴くとか政権監視などが浮かぶかもしれません。それもジャーナリズムの一つではありますが、それだけがジャーナリズムではないと思っています。
「現場にいる人たちが見て、聞いて、体験したことを誰かが伝えること。それこそがジャーナリズム」
中野>ジャーナリズムはジャーナルという言葉から来ています。つまり定期刊行物ですね。ヨーロッパの帝国主義の時代に、世界中の植民地で面白いことがあったよと伝えるものがありました。それがまさにジャーナリズムの原型だと考えています。ジャーナルは現場にいる人たちが見て聞いて体験したことを誰かに書き綴って、伝えることそれが、ジャーナリズムだと思います。
畠山>本質がきましたね!
中野>ローカリティ!では、ジャーナリズムをやっているのですが同じことを言っているのが、産経新聞の記者でもあった司馬遼太郎なんですね。司馬遼太郎のジャーナリズムの考え方は司馬遷に影響されたそうです。
司馬遼太郎は、中国の前漢時代の歴史家である司馬遷はジャーナリストだと言っているんですね。司馬遷は項羽と劉邦の戦いの何十年後かに現場に行って、歴史書を書きました。その姿勢こそジャーナリズムだと司馬遼太郎は言っているんですね。また、カエサルがフランスを征服したときに書き綴った、ガリア戦記もジャーナリズムだと言っています。私もまさに現場にいる人が伝えることこそ、ジャーナリズムだと思い、だからこそ、ローカリティ!はジャーナリズムを体現するメディアだと考えています。
「ローカリティ!」が考えるメディアとは「誰かの驚き発見感動に触れ、自分が変わり、誰かを変え、社会を変えるもの」
畠山>ローカリティはまさにジャーナリズムを体現するメディアということでしたが、「新聞とかテレビとかと同じビジネスをやっているんですか」って質問が出てくると思います。そもそもメディアって何なんでしょうか。
中野>まず、ローカリティはおっしゃる通りメディアです。しかし、メディアがここ200年やっていたビジネスモデルが崩壊して維持できなくなると考えています。メディアは産業革命ぐらいの時代から人の目を集めるような情報を一枚の紙に印刷をして、多くの人に配り、それを多くの人が買い求め、広告費をスポンサーから受け取るというビジネスモデル
でやってきました。
つまり、一か所に情報を集めて配るという行為をしなければ、ビジネスモデルの維持ができないのです。ポータルサイトというビジネスがありますが、それは紙からネット上のサイトという形にしただけで、同じビジネスモデルです。しかし、インターネットは一か所に集める行為には向いていないと思っています。そうすると、サイトに人を集めて広告を載せるというビジネスモデルそのものが成り立たないと感じています。
そもそもメディアっていう言葉はミディアムの複数形から来ています。訳は媒体、媒介なんですね。つまり、人と人を繋ぐ存在は全部メディアと呼べます。場所やアクション、サービスも全部。居酒屋やカフェもメディアだという人もいますね。
今までの時代は紙やサイトに情報を集めて、そこでアクションを起こさせていましたがすべてのフィールドにメディアが広がっていたと言えると思っています。
なので、ローカリティ!が考えるメディアとは、サイトではないと思っています。だから、ローカリティ!はサイトではありません。
畠山>場であり、営みの瞬間こそがメディアだと言っているわけですね。
中野>情報は人を不可逆的に変えると思っています。つまり人は情報を知った後は知る前には戻れないんです。私がジャーナリストとして活動する中で自分の価値観を揺るがす人にたくさん会ってきました。そこで何に気づいたかというと、今まで自分が思っていたことはとらわれにすぎないということです。そうすると知る前には戻れないんですね。
だからこそ、メディアとは誰かの驚き感動、生き方に触れ、自分が変わり、誰かを変え、結果として社会を変えるものだと思っています。
「『自分の驚き発見感動こそが価値である』ということに自信を持って世の中に訴えられる人を増やしたい」
畠山>これで最後の質問になるんですが、結局ローカリティ!って何を実現したいんですかね。
中野>ローカリティ!は、大きく言うと社会を変えたいと思っています。けれど、社会が変わるということは一人一人の変化の連続であると思っているんですね。なので、ローカリティ!は一人一人を変えたいんです。どういうふうに変えたいかというと、自分の驚き発見感動こそが価値であるということに自信を持って世の中に訴えられる人を増やしたいです。結果として、それに共感する人がメディアという機能として増えていき、その一人一人の変化が社会の変化、ムーブメントとなることを目指したいです。
畠山>まずそういった個人の驚き発見感動に最初に寄り添う存在であり、多くの人のファーストフォロワーがローカリティ!でありたいですよね。
中野>そうですね、それがローカリティ!のアイデンティティですね。
「あなたの感動が世界を変える。『ローカリティ』はアジア、そしてその先へ」
今回はロカフェス2023で行われていたオープニングトークの様子をお届けしました。ローカリティ!が始まった経緯からこれから目指す姿、実現したいことまで、様々な観点からローカリティ!について考えるトークセッションとなりました。
今回のロカフェスのテーマは、「あなたの感動が世界を変える。『ローカリティ!』はアジア、そしてその先へ」。トークセッションの中で、編集長中野から話がありましたが、ローカリティ!は日本に留まる必要はありません。全ての人の驚き発見感動に価値があると伝え、皆さんが心が動かされる瞬間を一緒に楽しんでいきたいというメディアです。これからのローカリティ!にもぜひ、ご期待ください。