「猫の細道」を知っているだろうか。
舞台の広島県尾道市は、海と山に囲まれたまちだ。瀬戸内海に面する山側を中心に古寺が点在し、古寺周辺に細い道がいくつも連なっている。「猫の細道」は、尾道に拠点を置くアーティスト、園山 春二(そのやま・しゅんじ)氏が手がけた空間プロジェクト「尾道イーハトーヴ」の企画の1つである。
とある路地の一角を「猫の細道」と名付け、猫に関する作品が至る所に散りばめられている、猫好きには堪(たま)らないスポットである。右を見ても猫。左を見ても猫。猫!猫!猫!
そんな道すがら見つけたのが、福石猫神社(ふくいしねこじんじゃ)だ。
神社に来たらせずにいられないのが、くじ引き(筆者談)。
きっと猫に関係したものだろうなと予想していたが、さすがアートプロジェクト。
ーー運命は、お猫様が導いてくれる
そんな気持ちになれる、一風変わった福石猫神社のくじ引きを紹介します!
猫様、教えて!今日の運勢
福石猫神社に入ると、開かれた空間の真ん中に石の置き物が置いてあった。
一体なんだろうと近づいてみると、猫の絵柄が書かれた石の部分を回せそうだった。
年月が経って欠けている部分もあるが、猫様のお顔が、何やら白い絵柄の方向に止まった。
きっと意味があるに違いない。
境内に向かってみる。
ん?4つの模様?
鈴、ネズミ、猫の手、魚の骨。
なるほど、石に書かれたモチーフと同じ絵柄のようだ。
園山氏の愛情をたっぷり受けた「福石猫」を尾道でも、お家でも
運命を導いてくれた猫柄の石は「福石猫」という。
近くに掲示されていた説明文には、下記のように書かれてあった。
ーー日本海の荒波に長い年月もまれて丸くなった石を、約半年間塩抜きした後、特殊な絵の具で、上、下地を三度塗り重ねていきます。その間7〜8か月。そうやって1つ1つ丹念に作られていき、艮神社(うしとらじんじゃ)でおはらいを受けた後、晴れて「福石猫」となるのです。
猫の細道を中心に尾道中に点在する数、1000匹以上。
それぞれ違った表情で楽しませてくれる福石猫を探しに、尾道の各所を旅するのも楽しいかもしれない。
さらに面白いのは、福石猫の里親制度があることである。
ホームページをのぞいて、心ときめく福石猫に出会えたら、それはきっと猫様のお導き。ぜひ尾道の旅の続きを自宅でも楽しんで欲しい。