
南風が心地よく吹き抜け始めたこの春、会津若松市の「祈りの里 会津村」にある会津慈母大観音像が、ふだんと異なる姿で来訪者を迎えている。通常は真っ白な装いで訪れる者を迎える慈母観音が、なんと8年ぶりにやわらかいサクラ色に“衣替え”しているのだ。
目次
平和を願って建てられた「会津のランドマーク」

福島県会津若松市。郊外の高台にそびえたつ『会津慈母大観音像』は、日本庭園「祈りの里 会津村」内にある高さ57メートルの巨大な観音像だ。特攻隊の元隊員だった創立者が平和な世の中にしたいと願って約40年前に建てた。県内外の交通のハブとなる郡山方面から会津若松市に入ると、まず目に飛び込んでくるのがこの観音像とあって、帰省の際にこの姿を見ると「帰ってきた」と実感するという地元出身者の声も少なくない。まさに会津を象徴する存在と言える。
実は“お色直し中”だった!? 観音像の“ピンク化”の真相

実はこの観音様が修復作業の一環としてサクラ色に“イメチェン”したのは昨年2024年の6月。下地としてサクラ色に近いピンクで塗装してから本塗りすると本来の観音像の色である白色が映えるという。現地スタッフによると、ほんのり色づいた観音様が見られると知り、わざわざ見に来る観光客が増加したとのこと。こうした話題性から、地元メディアやインターネットなどでも取り上げられ今では注目される存在となっている。
「かわいい」が未来を変えた——修復作業、まさかの延長へ

2025年6月に完了予定だった観音像の修復工事について、現地関係者への取材で、工期が5〜6年延長される可能性があることがわかった。ただし、この工期延長については、現時点では公式な発表はされていない。これは、修復中のピンク色の姿が「癒される」「かわいい」などと観光客の間で予想以上に反響を呼んでいることが背景にあるという。
思わぬ形で注目を集めた今回の“ピンク事件”だが、目にできる期間が限られていることには変わりない。サクラ色に染まった観音様と園内に咲くサクラのコラボレーションが楽しめるのは春の時期だけだ。そんな一期一会の風景を見逃さないためにも、この特別な時間を、ぜひ足を運んでほしい。
参考資料:祈りの里 会津村、会津物語(株式会社かたちなきもの)
※外部配信先では、ハイパーリンクが正常に機能しない、または画像が表示されない場合があります。記事の内容を正しくご覧いただくには、Locality!をご覧ください。なお、本記事は取材時点の情報に基づいています。訪問前に施設のホームページなどで最新情報をご確認ください。