焼け跡に芽吹く命―林野火災から1年、秋葉山の今【山形県南陽市】

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2024年春に、山形県南陽市の秋葉山(あきはさん)で発生した林野火災から今年の春で1年が経過した。被害を受けた山は現在、どのような姿を見せているのか。6月8日、筆者は現地を訪れ、災禍の痕跡と再生の歩みをこの目で確かめた。

▲公園の木に掲示されていた山火事注意のポスター(筆者撮影)

登山口は市街地に近い公園の少し先にあり、そこから旧山小屋までの道のりはおよそ700メートル。散歩の延長のような感覚で登れる、地元では親しまれた低山だという。山道に足を踏み入れて10分も経たないうちに、黒く焼け焦げた立木が目に飛び込んできた。

▲山の入り口から山頂方面を見上げると、緑が薄い林があるのがわかる(筆者撮影)
▲登山口は果樹園の間の道を通って行った先にある(筆者撮影)
▲幹の根元が黒く炭化し、表皮の剥がれた枝も目立つ(筆者撮影)


あの日の火が確かにこの場所を通り過ぎた証だ。しかし、焦げた幹の足元には、笹や草花が力強く芽吹いていた。つつじの花も咲き、季節の移ろいを静かに告げていた。

▲火災の痕跡と、新たに芽吹く命。そのコントラストに思わず足を止める(筆者撮影)

昨年の火災では、山腹を中心に約137ヘクタールが焼失し、消火には1週間以上を要した。テレビ画面越しに、民家の近くまで広がる黒煙の様子が映し出され、強い印象を残した。

今年の2月には、岩手県大船渡市でも、鎮火までに約2カ月を要する大規模な山火事が発生している。林野火災の脅威は、依然として身近なものであることを忘れてはならない。

秋葉山は今、再び市民を迎える山となっている。災害の記憶を胸に刻みながらも、緑に包まれた静かな山道が、多くの人にとって癒しの場であり続けることを願いたい。

参考:R6.5.4 林野火災に関する情報(南陽市)

昆愛

昆愛

埼玉県川越市出身。前住地は山形県鶴岡市。会社員のかたわら、地域資源の掘り起こしとその魅力発信活動に取り組む。2023年、「誰もいなくなった町。でも、ここはふるさと~原子力発電所と共存するコミュニティで“記憶”と“記録”について考える【福島県双葉郡富岡町】」で本サイトのベスト・ジャーナリズム賞を2年連続受賞、また2024年、天文活動の報告・交流等を目的としたシンポジウムでの発表「天文文化史で地元の魅力発信?九曜紋が導く新たな誘客構想とは【福島県南相馬市】」で渡部潤一奨励賞を2年連続受賞。

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