テクノロジー×ヒューマニティで “伝わる力” を最大化。1ROLLが描く、人とAIの共創する未来【東京都品川区】

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株式会社フレイ・スリー 代表取締役CEO

Ko Ishida
石田 貢氏

東京に本社を構える株式会社フレイ・スリーは、AI動画プラットフォーム「1ROLL」を開発・提供しています。
1ROLLが重視するのは、効率化や自動化といったテクノロジーの利便性だけではない。顧客との関係を深め、そのつながりを持続的に循環させていくこと。その根底には、“世界中のビジネスを喜びで満たす”というミッションがあります。
代表取締役CEOの石田 貢(いしだ こう)さんは、Webデザイナーとしての経験を経て、CM制作会社に勤務。その後、フレイ・スリーを設立しました。今回は、石田さんが歩んできたキャリア、1ROLLの強み、そして今後の展望について話を伺いました。

「Think different」その言葉に動かされ、Webデザイナーとしてのキャリアがスタート

フレイ・スリー立ち上げ前までのキャリアについてお聞かせください。

私は石川県金沢市出身で大学進学時に上京し、大学では経済学を専攻しました。当時は「サラリーマンになろう」と漠然と考えていましたが、時は就職氷河期。ほかの人と同じようなことをしていては生き残れない。と感じていた時にある言葉に出会いました。
それはApple社の広告キャンペーン時のスローガンで「Think different」という言葉です。アルベルト・アインシュタインやジョン・レノンも異端児と言われながらも世界で活躍をしてきたことを強調する広告で、その広告を見たときに「人と違うことをやらないといけない」と強く思いました。
当時はインターネットが流行し始めるタイミングで、これからはインターネットの時代になるだろうとコンピューターの勉強を始めました。その後、「Webデザインという仕事がある」ことを目にし、当時学ぶところがなかった時代に唯一存在していた「デジタルハリウッド」というクリエイター育成専門スクールに通い、デザイン、映像、CG、音楽について学びました。
こうしてWebデザイナーとしてキャリアをスタートし、企業やブランドのサイト制作を手がけるようになりました。デザインの世界に進んだ理由は、「誰かの思いや価値を、形にして届ける」ということに強く惹かれたからです。

ベンチャー企業ではどんな仕事をされていましたか。

大学卒業後、就職をしたベンチャー企業ではインターネットで企業のカタログやパンフレットをWebサイトにする業務を行っていました。お客さんへの提案からディレクション、制作までを1人で担当し、「なんでもやる」というのが基本的な姿勢でした。ある意味整っていない環境のなかで、スピード感をもちながら、企画から制作、分析まで幅広く経験できたことは大きな財産です。ここで学んだのは、ただ作るだけでなく、「成果につながるクリエイティブ」が必要だということ。現場で数字を追いながら、お客さまの反応をリアルタイムに見て改善していく力が鍛えられました。

Webデザイナ―からどのように映像の道へ転換されたのでしょうか?

知り合いから「映像に興味はないか」と言われたことがきっかけです。当時、インターネットはブロードバンド時代に入ろうとしていました。「映像を配信できるかもしれない」という動きが出始めた頃です。私はもともと時代の変化に敏感で人が集まるところに身を置きたいと考えていました。そこで「もっと感動を伝えられるような仕事がしたい」と即答し、CM制作を中心に行う映像制作会社に転職しました。
入社後、すぐにデジタルコンテンツ制作部門の配属に。お客さまの要望を伺いながら、コンテンツを企画・制作。テレビCMと連動させた広告をWebで配信するなどインタラクティブな体験として届けるという事業を手がけました。当時は手探りの連続でしたが、お客さまとの対話を重ね、私たちにできることと要望をすり合わせるサイクルを繰り返す中で、徐々に大きな案件へとつながっていきました。その結果、広告、テレビ番組、映画、ラジオ番組、インターネット広告の優れた作品を表彰する国際的なクリエイティブアワード「New York Festivals 2007」を中心とした数々の広告賞を受賞することができました。

広告に対するモヤモヤが会社立ち上げのきっかけに

その後はどのようにしてフレイ・スリーを立ち上げたのでしょうか?

デジタルという分野が注目されてきた一方で「広告は本当に人々の心に届いているのか」という疑問を抱くようになっていました。広告制作の現場では、ゴールが「広告賞の受賞」や「クリエイティブでの格好良さ」に置かれ、肝心の受け手に届く本質的な価値が後回しになっているのではと感じる場面が少なくありませんでした。そんな折、東日本大震災が発生。テレビCMはすべて自粛され、画面から広告が消えました。
あのとき、自分たちが時間と情熱を注ぎ込んでつくってきたメッセージが、いざという時に誰にも必要とされていなかったという現実を突きつけられました。胸の奥に、言葉にならない無力感と虚しさが広がっていったのを今でも覚えています。
本当に求められていたのは派手な演出や華やかな映像ではなく「生活の中で役立つ情報」や「安心や心地よさを与えるメッセージ」ではないのか。そう強く感じるようになりました。
ちょうどその頃、勤めていた会社でも新規事業への挑戦を検討しており、その流れも後押しとなって、生活者と企業を本質的な価値でつなぐことを目指す新会社「フレイ・スリー」を子会社として立ち上げました。

震災を機に見つけた“本当に届けたい価値”から生まれた事業

事業内容について改めて教えてください。

インターネット動画広告の制作と動画クラウドサービス「1ROLL」の提供を中心に行っています。1ROLLは自社の動画制作を外部に委託するのではなくお客さま自身で制作・編集・配信までを一貫して行えるサービスです。豊富なテンプレートと直感的な操作性により、誰でも短時間で高品質な動画を制作できることが最大の特徴です。
ビジネスでもプライベートでも、「伝えたいことがうまく伝わらない」という課題は少なくありません。広告の世界でも同様に、企業が届けたいメッセージと、消費者が実際に受け取る印象との間にはしばしばギャップがあります。 私たちは、そのギャップを埋めるためにお客さま自身が想いや意図を直接的に表現できる環境が必要だと考えました。デジタルの力を活用し、この“想いを正しく届ける力”を誰もが手にできるようにする——それが1ROLLの開発コンセプトです。

1ROLLが生まれた背景をもう少し詳しく教えてください。

きっかけは、営業や顧客対応の現場を見ていて「大事なやり取りほど記録に残らず、属人的になってしまう」という課題を感じたことです。動画なら視線や声色、間合いまで残せるし、相手の反応も計測できる。それをSalesforceと連携させることで、「Convert → Connect → Caring」の関係性循環モデルを回し続けられるようにしました。

事業を行ううえで大切にしていることはありますか? 

私たちが大事にしているのは、テクノロジーとヒューマニティの両立です。便利なツールで業務を効率化するだけでなく、その分、人にしかできない部分(信頼関係を築く時間や相手の本音を引き出す瞬間)に集中できる環境をつくること。これがビジネスを持続的に成長させる鍵だと思っています。

AIと人のつながりで“伝わる”を民主化する。クリエイターに求める「揺さぶる力」

今後はどのような会社にしたいとお考えですか?

目指すのは、「世界中のビジネスを喜びで満たす会社」です。AIや動画技術が進化しても、人と人のつながりはビジネスの中心であり続けます。その中心に1ROLLがあって、企業と顧客がずっと喜びを分かち合えるような未来をつくりたいですね。
具体的にはAIの活用です。すでに開発を進めているのですが、AIを導入することによって、お客さまが作った動画をAIが分析し、1ROLLのユーザーがなるべくストレスなく早く動画作成ができるようにしたいです。私たちは「“伝わる”を民主化したい」と言っているのですが、AIを使って受け手に対して伝わるコンテンツ作りと行動につなげることが、誰にでもできるようにしたいと思っています。

一緒に働くクリエイターに対してどのようなことを求めますか?

私たちが求めているのは、単に動画を作れる人ではありません。テクノロジーの力を理解しつつ、人の心を動かすストーリーを紡げる人。数字やデータも見ながら、相手の反応に合わせて改善していける人。クリエイターは、1ROLLの「Convert → Connect → Caring」の循環を回す重要な担い手です。ある意味、人の心を「揺さぶる力」みたいなものを求めたいですね。
クリエイターは単に表面的な表現を作るだけでなく、ビジネスや経営に深く関わるべきだと思います。社会に情報が溢れ、論理だけでは届かない時代だからこそ、クリエイティブが経営の中心にあるべきだと考えています。ユニクロが世界的ブランドへと成長した背景に、佐藤可士和氏のクリエイティブディレクションがあったことを引き合いに出すと説得力がありますね。「経営とデザインが一体となって動くことで、社会に大きなインパクトを生み出せます。そんな挑戦を、一緒に走れる仲間とやりたいです。
1ROLLは、採用活動でもこの価値観を共有できる人材を求めています。テクノロジーに精通しているだけでなく、人間の感情やストーリーに寄り添える人――そうした人材こそ、1ROLLが描く未来を加速させていくことでしょう。

取材日:2025年7月3日

株式会社フレイ・スリー

  • 代表者名:石田 貢
  • 設立年月:2012年8月
  • 資本金:3,503万円
  • 事業内容:AI動画プラットフォーム事業「1ROLL」
  • 所在地:〒141-0022 東京都品川区東五反田5-22-33 TK池田山2F
  • URL:https://hurray3.com/
  • お問い合わせ先:03-6453-7218

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

國府谷純輝

國府谷純輝

第4期ハツレポーター/栃木県茂木町出身。2021年6月より栃木市地域おこし協力隊として栃木市の寺尾地区をメインフィールドに活動している。情報サイト「テラオノサイト」の立ち上げ・運営やYoutubeにてローカルラジオ「ラジロー」を配信するなど情報や魅力発信を行っている。趣味はキャンプとサウナ。

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