デジタルネイティブの感性で「心が動くきっかけ」を創り出す。香川発・若手起業家の挑戦【香川県高松市】

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サイファーデザイン株式会社 代表取締役

Yuta Kawasaki
川崎 佑太氏

28歳の若さで起業した川崎 佑太(かわさき ゆうた)さんが代表を務めるサイファーデザイン株式会社。独自の視点を生かしたSNS運用代行やWebサイト制作、広告代理業務などを手がける同社は、香川県の若手クリエイターのコミュニティの中核ともなっています。現在までの歩みと、今後のビジョンについて伺いました。

異業種で経験を積み、「30歳までには独立」が現実に

これまでのキャリアについて教えてください。

最初のキャリアはホテル業界でした。レストラン部門に配属され、Webの広報を担当しているうちに、広告ビジネスに関心を持つようになりました。まずは独学でYouTubeやInstagramをやってみようと、友人たちと技術を学び始めたのが約6年前です。当時はちょうど「YouTuber」や「インフルエンサー」という言葉が世の中に出て来たタイミングで、ビジネスにするには学んだ技術を企業に売り込みに行かなければならないと感じました。

そこから営業職へ転身されたのですね。

営業経験がなかった僕は、コンビニでタウン情報誌を読んでいる時に、「この雑誌のネームバリューがあれば、未経験の自分でも営業職をやれそうだ」と思い、地元香川県のタウン情報誌の営業職になりました。コロナ禍でもあった当時、広告媒体が紙からWebへとシフトしていくのを目の当たりにし、Webが今後の主流になっていくということを確信しました。

その後、ライバル会社のタウン情報誌の営業マンから「独立するから川崎も来い。創業メンバーで香川県を盛り上げよう」という誘いがあり、4年前に広告関連のベンチャー企業に入りました。
社長とは、立ち上げる2年ほど前からの付き合いで、お互いに起業するためにどうすればいいかを話していた間柄で、僕はもともと「30歳までには独立します」と言っていたんです。だから社長もいずれ僕が起業するだろうと思ってくれていました。

SNS運用のポイントは、良い部分も悪い部分もすべて見せる「泥臭さ」

独立はスムーズに進んだのでしょうか?

はい。「こんなにスムーズでいいのだろうか?」と思ってしまうほどです。というのも、銀行の口座開設や融資のための事業計画書の作成など、目上の方がたくさんサポートしてくれたんです。そうした方々の後押しがあったことから、困っている人がいれば率先して手を差し出せるような会社を作っていきたいと思うようになりました。

現在の事業内容について教えてください。

やっていることは3つで、SNSの運用代行とWebサイトの制作、広告代理業務ですね。得意としているのは動画制作とYouTubeでの配信です。例えばYouTube配信やSNS発信では、社長に密着しながら、社長の人柄や考えなどを発信するようなものが多いです。人それぞれ感性、魅力が違うのでそうした部分を一番近くで見られるのは、この仕事のすごく面白いところですね。
また、現在強化しているのが人工知能(AI)を活用してユーザーからの質問に対して自動で応答するAIチャットボット事業で、これを来期リリースする予定です。

なぜ社長個人にフォーカスするのでしょうか?

社長も“1人の人間”として発信していくことで、“社長ファン”がついてほしいという思いからです。
今世間から選ばれている企業は、社長が自身の思いをSNSで発信していることが奏功しているケースが多いんですよ。多くの社長は会社のきれいな部分だけを発信しようとしますが、お客さまの心に深くつき刺さるのは“泥臭く頑張る姿”。例えば、社長が泣きながら「この商品が本当に良いと思って仕入れたのに、全然売れんやんけ!」と言う姿の方が、人間らしくて応援したくなるんです。

好きな女性のタイプまで聞けるコピー人間!?「属人性AIチャットボット」を開発中

新事業のAIチャットボットについて詳しく教えてください。

僕が目指しているのは、YouTuberやファンコミュニティーを持っている方、コンサルタントの方など、自分の知識で商売をしているような人向けの「属人性AIチャットボット」です。当初はよく企業のWebサイトにある問い合わせ用のチャットボットのようなものを想定していたのですが、自分たちがやるには「面白み」が足りないのではと思うようになりました。
そこで、例えば、川崎佑太のコピー人間のようなチャットボットを作って、SNS運用の相談から好きなタイプまで聞けるといったものを作ることにしました(笑)。一見必要のない部分までちゃんと表現していくのが今のトレンドだと思うんです。

「面白さ」重視の独自の視点と若い感性が大きな強み

御社の強みはどこにあるとお考えですか?

妥協せず細部にこだわれること、また、違った視点、違った感性をユーザーに届けられることだと思っています。入れる必要はないけれど入れた方が面白がってもらえるものは入れる。そうした独自の視点をプロダクトに反映しているのが強みですね。
あとは「若い」というのは大きいと思います。会社は僕1人ですが、パートナーとして一緒に動いている人が8人おり、平均年齢は27〜28歳です。僕たちは「ネットで情報を得て、ネットで商品を買う」というのが当たり前の世代なので、この感性があることがとても大きいと思っています。

クライアントと意見が対立、押し通した結果は?

印象に残っている仕事はありますか?

これまでの仕事はどれも印象的で、全部夢中でこなしてきましたが、お客さまがやりたい広告と自分たちの企画の内容が真っ向からぶつかったことがありました。具体的には、お客さまは「セールの広告を打ち続けていきたい」という意見でしたが、われわれは「企業や商品をブランディングするためのコピーを作って、それを広告に使っていく方が良い」という意見でした。「そんなに言うんやったらやってみろ」とクライアントは半分賭けのような形で広告宣伝費を出してくれましたが、結果的に「あの時、あれでやって良かったね」と言われるような成果につながりました。その時に、お客さまに言われたことをただやるのではなく、お客さまと深く向き合い、より最適な提案をすることの大切さを実感しました。

地方で「心が動くきっかけ」をつくり、若者が入りたがるクリエイター集団に

今後はどのような会社にしていきたいとお考えですか?

「心が動くきっかけ」というのが僕たちのテーマなので、動画やWebサイトで誰かがクスッと笑ってくれるような、「仕掛けが面白い」そんな会社を目指していきたいです。
また、若者の県外流出を少しでも止められるように、香川の若手集団の代表として「俺たちのところに来たら楽しいぜ」と思わせられる存在にもなりたいと思っています。本社は香川県に置きながら、全国で勝負していきたいです。

理想の人材は「面白いことを一生懸命やれる人」

どんな人と一緒に働きたいですか?

優しい人が良いですね。優しいというのは、表面的な優しさではなくて、相手のためになることを考えて、それを上手く伝えられるということです。コミュニケーションが上手くて、相手のためのダメ出しもできるのが理想です。
あとは、面白いことを一生懸命やれる人です。クリエイターの仕事は華やかに見えるかもしれないけど、蓋を開けたら泥臭いじゃないですか。それを楽しめる人が強いと思っています。

本物のクリエイターに求められるもの

最後に、クリエイターを目指す方へメッセージをお願いします。

「制作物の先にいるお客さまが、それを見てどう思うのか」を考えられるのが本当のクリエイターだと思います。自分がやりたいことではなく、「お客さまのお客さま」が求めるものを作るのがクリエイターです。アーティストではないですからね。そうしたことを胸を張ってできるようなクリエイターに僕もなりたいと思っています。一緒に頑張っていきましょう。

取材日:2025年7月22日

サイファーデザイン株式会社

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

川村忠寛

川村忠寛

1983年生まれ、秋田県八峰町出身・在住です。一時故郷を離れましたが、2011年に帰郷して町役場職員として公務に従事しています。2022年に非営利法人を立ち上げ、本業の傍ら、まちおこし・まちづくりにも取り組んでおり、その活動の一環としてハツレポーターに参加しています。

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