
株式会社アイ・ディ・エス 代表取締役
Seiha Yamaguchi
山口 聖巴氏

広島県の真ん中に位置する東広島市豊栄町は、その位置関係から“へその町”として知られ、山々の緑と田園風景が広がる山間の町。そうしたのどかな地域にクリエイティブスタジオを構え、「クリエイティブの力でソーシャルグッドをふやす」を企業ミッションとして活動しているのが株式会社アイ・ディ・エス代表・山口 聖巴(やまぐち せいは)さんです。暮らしと仕事へのこだわり、そしてこの先の展望について、お話を伺いました。
一度は諦めかけたカメラマンの夢。父の支援で再び志し渡米、いざ修行の道へ
写真に興味を持ち始めたのはいつ頃からでしょうか?
高校生の頃です。写真を撮るのが好きで、当時販売されていた使い捨てカメラで同級生を撮るなどして遊んでいました。そんな私に母がフィルムカメラを譲ってくれて、撮った写真の仕上がりで背景がぼやけたことにとても感動したことがきっかけです。
立ち上げまでのキャリアを教えてください。
高校卒業後はカメラマンを目指して写真の専門学校へ進学したい、と思っていたのですが、両親からは大反対され、広島市内の服飾専門学校へ進学しました。
専門学校を卒業した後は、アパレル系企業へ就職したのですが、いわゆるサラリーマン的なルーティーンワークが苦手で、10カ月で退職してしまいました。次の目標として上京しようと計画を立てていたら、父から仕事で付き合いのあるカメラマンを紹介され、その方の元で修行することを勧められたのです。当時、まだ目新しかった一眼レフデジタルカメラとMacG4も購入し、私に提供してくれました。元々カメラマン志望だった私は、早速その話を受け入れ、師匠が新規事業を展開する予定のハワイへ同行することになります。
実際には、師匠の事業は諸事情で立ち上げ断念となりましたが、私はその後しばらくハワイに滞在して語学学校で英語を学びながら、父から貰った一眼レフカメラでハワイの景色を撮影、現地のカメラマンのアシスタントをする…といった生活を約2年間ほどしていました。
帰国後は、師匠の元でアシスタントとして写真の基本を学びました。当時は、朝4時から新聞配達をして生活費を稼ぎ、その後の時間はカメラアシスタントとして学ぶ日々。忙しい毎日でしたが、とても楽しく充実していました。得にカメラを糧に生きていく世界観を学んだような気がしています。その後、ブライダル撮影の外注関係で知り合った先輩カメラマンの元でアシスタントとして働き、更にスタジオ撮影技術を深めていきました。
株式会社アイ・ディ・エスを設立したきっかけを教えてください。
アシスタントとして経験を積み、自分自身にも仕事の依頼が来るようになっていた2012年、結婚を決めたことを契機に独立を決意し、iDS Photoを立ち上げました。
その後、一眼レフカメラで動画も撮影できる時代になり、私自身も映像制作について学び、業務に加えることにしました。そのため、2015年には“フォト”を外してiDS Studioに屋号を変更しました。
そして、理想の物件との出会いがあり、2024年1月に撮影スタジオを一階に据えたオフィスを新設。“クリエイティブの分野で企業活動をデザインする”という想い”で株式会社アイ・ディ・エスを設立しました。
いつか独立したいという思いはお持ちでしたか?
20代から誰かに雇用される働き方というのは、イメージできませんでしたし、師匠からも弟子入り当初からいずれは独立しなさいと言われていました。
父からも手に職を、という教えを受けていましたので、師匠の元で修行を積み、やがて独り立ち、そして会社を設立する、という形は自然な流れだったのかもしれません。
都心部から山間部へ移住。暮らしと仕事を両立できる「ベストな選択」

広島市内から東広島へ移り、会社を設立された理由を教えてください。
独立してしばらくは広島市内を拠点として活動していたのですが、結婚直後に義父が病気で亡くなり、義母が田舎で一人暮らしすることになってしまいました。妻の実家は東広島市の山間地域にあり、田畑も含め義母一人では維持管理が心配になったことから、家族で移住することを決意しました。元々私は自然が好きだったので、全く抵抗はありませんでしたし、家賃もかからず、3人の子どもたちものびのびと生活できるので、環境としては最適、という判断をしました。
仕事としては少し距離がありますが、自分自身が現地へ出向けば済むことです。唯一心配したのは気軽に食事などに誘われなくなるのでは?ということでしたが、必要な会食にはすぐに行けますし、今では、心地良い暮らしと好きな仕事を同時に叶えられるベストな選択をしたと思っています。
社名の由来について教えてください。
社名のiDSは、英語にすると“I Do Special”の頭文字を並べた形になります。これは、お客さまにとって“I=私、D=行う、S=特別な”という意味です。「お客さまにとっての何か特別なことをしていこう」という思いを込めて命名しました。
写真がメインだった創業当初は、iDS Photo、動画も含めての活動になった際には、iDS Studio、そして、写真も動画も含め、幅広くお客さまの存在価値をデザインしていこう、という想いで昨年からは、株式会社アイ・ディ・エス(iDS.inc)とし、事業の拡大とともに屋号や社名を変えてきました。

コンテンツ制作だけに留まらず、アフターフォローまで手掛ける
現在の事業、また御社の強みについて教えてください。
写真、映像、企画、構成、そしてコンテンツ制作だけでなくデータ解析も含めたアフターフォローまで、一気通貫で企業の存在価値をデザインしていることです。「クリエイティブの力で、ソーシャルグッドをふやす」というミッションを掲げ、企業の魅力を最大限に引き出すお手伝いを行っています。
また、全ての案件について私がディレクションから撮影、制作進行までをワンストップで対応することで高いクオリティーを保証しています。そして専門性の高い分野については、それぞれのプロフェッショナルの力を活用する、といったスタイルも強みとしています。
特に印象に残っている案件を教えてください。
県北部にある庄原市の里山としての魅力をリブランディングして訴求する、また観光地としてもPRしていくといった映像を制作した際のことです。庄原市には「たたら」と呼ばれる古代製鉄で繁栄した歴史があり、古くからの刀文化が残っています。原生林が生い茂る森や、真っ赤に熱せられた鉄の塊に真摯に向き合う刀鍛冶の様子を撮影したのですが、その両方に共通する独特な存在感には圧倒されました。仕事とはいえ、とても貴重な経験ができました。それは、こうしたクリエイティブワークの大きな魅力の一つでもあると思っています。
もう一つ、ある企業からCM制作の依頼があったのですが、企画提案が通り、いざ撮影準備の段階で季節が秋になっていました。リクルーティング用の企画でしたので、紅葉の秋より緑の芽吹く春の方が良いのではないか、ということになり、そこから春まで待つことになってしまいました。なので、全体を通して2年がかりで制作したCMがオンエアーされているのを観た時は感慨もひとしおでした。
好きなことを仕事にする。自分らしい暮らしも諦めない。実現するための努力は惜しまず
将来へ向けてのビジョンなど教えてください。
里山、中山間での暮らしとクリエイティブな仕事、一見相反するようにも思えるどちらの要素も両立できるということを体現してきました。好きな暮らしと好きな仕事、どちらも叶える自分らしいライフスタイル。そんな暮らし方に共感してくれる人、若い方がもっと増えてくれたらうれしいです。そして、地域と会社の大きな力になってもらえるとありがたいです。
株式会社アイ・ディ・エスとして、企業の存在価値をしっかりと見出し、地域にとっての重要性を伝え、企業と地域の橋渡し的な役割を担っていきたいと考えています。ただ一つのコンテンツ制作などに留まるのではなく、トータルな提案を通して企業の魅力を地域に伝えていく、伴走型のサポートをさらに充実させていきたいと考えています。

若い方、クリエイターを目指す方たちへメッセージをお願いします。
自分の中にある何か、表現したいものがあるなら育んでほしいと思います。物事の捉え方が面白い、感性が豊かな方と一緒に仕事をしたいと思います。何か一つ“好き”という気持ちを持ち続けて、それを叶える努力ができれば、いつか思いは形になるのではないでしょうか。
そしてもし、自然豊かな場所で暮らしたいけど、仕事はクリエイティブなことがしたい、と思っている方がいらっしゃったら、私のように自分らしく暮らしながら好きな仕事ができる、ということを知ってもらいたいです。ぜひ、里山を拠点に仕事をすることにも挑戦してほしいと思います。私と同じような思いを持つ方との出会いを、楽しみに待っています。
ライター:村上 雅水
株式会社アイ・ディ・エス
- 代表者名:山口 聖巴
- 設立年月:2024年1月
- 資本金:800万円
- 事業内容:【クリエイティブ事業部】
<コンテンツビジネス部門>
写真撮影業務・映像制作業務・ドローン撮影業務・ディレクション業務・クリエイティブ業務
<広告部門>
YouTubeなど各SNS広告の代理業務・TVCMへの出稿代理業務
<広報部門>
ウェブ制作ディレクション業務(デザインおよびコーディングは協業)・SNS代行業務 (自社または内容量によって協業)・ウェブサイトやプレスなどのライティング業務
<スタジオ部門>
写真業・3DCG撮影業務 (CG制作は協業)・レンタルスペース - 所在地:〒739-2317 広島県東広島市豊栄町鍛冶屋458-1
- URL:https://ids-inc.biz/
- お問い合わせ先:082-401-1626 mobile:080‐3875‐3135
- Mail:info@ids-inc.biz
この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。





