
「セリが主役?」――。
日本では春の七草や鍋料理の“脇役”という印象が強いセリが、いま韓国発の食トレンドで再び脚光を浴びている。
地方の春を彩ってきた伝統野菜が、なぜ行列を生む存在になったのか。
目次
■ 韓国で人気の「ミナリサムギョプサル」
火付け役とされるのが、韓国で広がった「ミナリサムギョプサル」だ。
豚バラ肉と大量のセリ(韓国語でミナリ)を一緒に焼き、包んで食べるスタイル。
脂の強い肉と、爽やかな香りとほろ苦さを持つセリの相性が話題となり、専門店が登場するほど人気を集めた。
この流れがSNSを通じて日本にも波及。
都市部の韓国料理店では“セリ山盛り”のビジュアルが拡散され、週末には行列ができる店舗もある。

※写真ACよりMiilkyさん
■ 日本では“脇役”だったセリ
一方、日本でのセリの立ち位置は少し違う。
春の七草のひとつとして知られ、鍋料理やおひたし、天ぷらなどに使われる。
中でも宮城県の「仙台せり」は全国有数の産地として知られ、出荷量でもトップクラスとされるブランド野菜だ。根まで食べられる香り高いセリは、冬のセリ鍋文化を支えてきた。
また、秋田県湯沢市の「三関(みつせき)せり」も名高い。
清らかな伏流水で育つ三関せりは、太くて歯ごたえがあり、爽やかな香りと甘みのバランスが絶妙だと評価が高い。
こうした産地では、セリは決して珍しい野菜ではない。むしろ、日常に溶け込んだ存在だった。
しかし、それ以外では主役になる機会は多くなかった。 「香りづけ」「彩り」という役割が中心だったのが実情だ。
■ 海外トレンドを介して「視点の転換」が起きる地方食材
興味深いのは、日本の伝統食材であるセリが韓国の食トレンドを介して、再び日本でその価値が見直されている点だ。
宮城や秋田で当たり前に食べられてきたセリが、韓国トレンドという新しい文脈を得て都市部で“新しい野菜”として注目されている。
地方では日常、都市ではトレンド。その視点の違いが、食材の価値を塗り替えている。
■ なぜ今、セリなのか
背景にはいくつかの要因がある。
① 健康志向
脂の多い料理に、香り高い野菜を合わせることで“罪悪感を薄める”。
② SNS映え
鮮やかな緑が皿いっぱいに広がるビジュアルは写真向き。
③ 「懐かしいのに新しい」感覚
日本人にとってセリはなじみ深い。
だからこそ、韓国スタイルで提供されると“新鮮”に映える。
■ 地方産地にとっては追い風になるか
もしセリ需要が安定的に伸びれば、宮城や秋田などの産地にとっては新たな販路拡大の可能性がある。
これまで冬〜春の鍋シーズン中心だった消費が、焼肉や韓国料理との組み合わせで広がれば、通年化の道も見えてくる。
ただし、ブームが一過性に終わるのか、定番化するのかはまだ未知数だ。
セリは、昔からそこにあった野菜だ。
変わったのは、食べ方と文脈。
宮城の仙台せり、秋田の三関せり。
地方で大切に育てられてきた伝統野菜が、海外トレンドを経て再び脚光を浴びる。
「古いものが、新しい」――。
セリ食べたさに並ぶ行列は、地方食材の可能性を映している。
<参考URL>
ミナリサムギョプサルとは(VISITKOREA公式)https://japanese.visitkorea.or.kr/svc/contents/contentsView.do?vcontsId=231422&utm_source=chatgpt.com
“Minari samgyeopsal”人気、日本でも話題に(The Korea Times翻訳)https://www.koreatimes.co.kr/world/20250524/the-perfect-match-with-samgyeopsal-japan-falls-for-korean-minari?utm_source=chatgpt.comMinari(セリ/water dropwort)の基礎知識(Kimchimari)https://kimchimari.com/minari-how-to-eat-grow/?utm_source=chatgpt.com





