
広告、マーケティング、営業。企業の「売れるまで」のプロセスは年々複雑さを増し、AIやテクノロジーの進化によって選択肢は広がった一方で、成果を出すための戦略設計はより高度になっています。
そうした中で、企業の課題に寄り添いながら、売れる仕組みをテクノロジーで実装してきたのが株式会社ジーニー(以下、ジーニー)です。2010年に創業し、企業の広告収益最大化や営業活動のデジタル化を支援する、日本発の世界的テクノロジー企業を目指して歩み続けてきました。
代表取締役グループCEOの工藤 智昭(くどう・ともあき)さんは何を目指し、何を大切にしてきたのか。ジーニーは一見すると「業務の自動化」「効率化」を担い、人の作業を代替するテクノロジー企業のように感じられますが、取材を通して浮かび上がってきたのは、終始一貫して「人」を中心に据えた思想でした。
創業の原点から現在地まで、ジーニーを物語るストーリーをひもといていきます。
目次
世界的テクノロジー企業を日本から生み出したい
起業の原動力となったのは、研究に明け暮れていた大学院時代に感じた、日本のものづくりへの「危機感」と「可能性」でした。
2005年頃、世界規模でネットワークの仕組みを作っていたGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などの北米のテクノロジー企業に比べて、日本企業が少しずつ存在感を失っていくのを感じていました。でも研究を通じて、半導体部品や家電などの個別の技術力は日本が圧倒的に高いとも感じていたという工藤さん。
「正しいテーマにテクノロジーを使えば、日本からでも世界的なテクノロジー企業を生み出せる。そう考えて、ジーニーを立ち上げました」
工藤さんにとって「正しいテーマ」とは、単に市場が大きい分野ではありません。テクノロジーによって産業構造を変えられ、日本の技術力が世界で通用し、なおかつ多くの企業の可能性を広げられる領域。その条件を満たしていたのが、オークションの仕組みを使って広告の配信価格を決めるRTB(Real Time Bidding)という仕組みだったのです。
創業当初は、このRTBを軸にインターネット広告市場へ挑戦。自社開発の広告配信プラットフォームは、創業からわずか数年で国内有数のシェアを獲得していきます。
効率化の会社でありながら、語られるのはいつも「人」
ジーニーの事業は、広告配信、マーケティング、営業支援、AI活用などの企業のデジタル化支援。いずれも「業務の効率化」「仕組み化」と結びつく領域です。
なぜ、効率化にこだわるのか…。意外にも取材の中で工藤さんが繰り返し口にしたのは「人」という言葉でした。
「人が本来やるべき仕事に集中できる状態をつくりたい。業務を仕組み化することは、“人の可能性”を引き出すための手段なんです」
広告やマーケティングの現場では、ツールが増え、データが増え、人が疲弊してしまうケースも少なくありません。
「インターネットやテクノロジーに詳しくなくても、仕組みによって良い商品がちゃんと売れる。そんな世界をつくりたいと思っています」
理念を“行動”に落とし込むための仕組み
「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」「日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する」。こんな理念を掲げるジーニーは、「Challenge」「Ownership」などのValue(価値基準)を人事制度や評価に組み込むことで、日常の行動につなげています。
理念を行動レベルまで落とし込み、その実践を評価に反映する「理念先行型の組織運営」を実践しているのです。
またジーニーでは、採用の段階からあらかじめ仕事の大変さや課題を伝え、「入社後のギャップをなくすこと」を重視しています。内定後には、配属予定の部門メンバーと直接話す機会を設け、業務内容や顧客からの見られ方、現場の課題感まで共有しているといいます。
「華やかな部分だけでなく、日々のリアルを共有したうえで入社してもらう。それにより、『この環境で挑戦したい』といった熱量のある方と出会えるので、組織のまとまりも強くなっていきます」 と、工藤さん。
人を大切にする思想は、海外の現場でこそ試される
ジーニーは、日本国内にとどまらず、海外にも展開を続けてきました。ただ、「価値観や交渉の前提が異なる顧客と向き合う場面では、今も試行錯誤が続いている」のだとか。
工藤さんは、「考えを曖昧(あいまい)にせず、言葉と仕組みで伝えること」の重要性を強調します。
「日本と海外では価値観が異なるからこそ、『何を大切にしている会社なのか』をより明確にしなければ、良い関係性は築けない。信頼関係のうえに満足のいくサービスは生まれます」
事業拡大のその先で、あらためて人と向き合い続ける

現在、グループ全体の規模は1,000人を超え、組織は大きなフェーズに入っています。
「ここから、もっと大きくなっていく会社だと思っていますし、その過程を考えるとすごくワクワクしています」
業務を仕組み化し、人の手を減らすことを仕事にしながら、その中心は常に「人」を置き続けていること。そして、成長の渦中にあっても、その軸を手放さないこと。
「誰もがマーケティングで成功できる世界」を本気で実現しようとするその一貫性こそが、 ジーニーを“ビジョナリーカンパニー”たらしめている理由なのかもしれません。
最も印象に残った言葉:
「このPurposeがあるからこそ、M&Aや新規AI事業といった大きな意思決定の場面でも、必ず立ち返ることができるんです」
企業概要
企業名:株式会社ジーニー
取材対象者:代表取締役 グループCEO 工藤 智昭さん
設立年月:2010年
Business Purpose:誰もがマーケティングで成功できる世界を創る
Corporate Purpose:日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する
事業内容:広告配信プラットフォーム、マーケティングSaaS、データ活用ソリューションなどを提供。データとテクノロジーを軸にしたプロダクト群で、企業のマーケティング運用効率化、顧客体験向上、収益成長を支援。広告主・媒体社・パートナー企業と連携し、デジタル領域における多様なビジネス課題の解決を支えるサービスを提供。
所在地:〒163-6006 東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー 6階
URL:https://geniee.co.jp/






