長崎県の離島、壱岐島は玄界灘に囲まれ、多くの良質な魚介類が獲れます。特に4月後半から6月初めまではムラサキウニの季節。島内にいる海女や海士がウニを収穫します。海女さんたちはそれぞれの勝負服を着て、ウニ漁に出ます。
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ウエットスーツではなくピンクのレオタード
「今日は写真撮りっちゅうからピンク着てきたったばい」とサービス精神旺盛な美恵子さん
壱岐島内では、漁協によって差はありますが、4月後半~5月頭にウニ漁が解禁されます。まだまだ水温は低く、気温が20度くらいあっても、海水に手を付けるとヒヤッと感じます。壱岐のウニ漁は乱獲防止のため、ウエットスーツの着用はNGとされています。
そのため、主に島の東部で漁をする海女さんたちはレオタードとスパッツを着用しています。レオタードはぴったりとしていて動きやすいそうです。レオタードとスパッツの下には、冬物の長袖セーターや分厚い靴下、タイツなど何枚も重ね着をしています。「レオタード海女」というワードが珍しく時折メディアに取り上げられることもあります。
「海女は1日休んだら、体がおかしくなる」
筆者が漁に同行したのは5月21日13時頃。干潮時間に合わせて、5人の仲間が集合し漁場へ向かいました。天候は晴れですが、風は強く少し日陰は肌寒い。「今日は北風があたるけど、出られる日はちょっとでも漁に出るんよ。海女は1日休んだら、体がおかしくなるから」と着替えながら、話してくれました。美恵子さんたちは「丘探り(おかさぐり)」といって、磯場を歩き、水中眼鏡をしてウニを探す方法で漁を行います。顔をつけて探すため、頭ごとすっぽり入り、目の部分だけ穴が開いた状態の、ラッコちゃん帽子というビニール製の帽子をかぶります。
水中眼鏡はそこらへんの草で曇り止め
元気におしゃれに今日もウニ漁
準備が出来たら、それぞれ海に向かっていきます。手に持った「(磯)かぎ」と言われる細長く先が曲がった道具で、岩の隙間にあるウニを探します。収穫したウニは腰に紐で結んだタライに次々と投げ込まれていきました。
「そろそろ時間や」と美恵子さんたちが上がってきたのは、およそ2時間後の15時すぎでした。それから自宅に戻り、一旦解散。着替えて、集まってウニ掻き(かき)をします。2時間ほど作業をし、ようやく解散。海女歴60年、御年75歳の美恵子さんの体力、恐るべし。美恵子さんは、次の日もおしゃれをして元気よくウニ漁に向かいます。ウニ漁の時期が終了したら、休む間もなくサザエやアワビの漁が始まります。
写真はすべて2024年5月21日筆者撮影