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眺望でホテルの成功を確信。写真で伝わらないのが悔しいほどのオーシャンフロント
支配人の真喜志賢 (まきしけん)さんは2020年沖縄県の石垣島に「Daily & Weekly Condminium BLUE OCEAN ISHIGAKI」(以下 BLUE OCEAN)をオープンしました。高校卒業後も石垣島に残り、四半世紀もの間ホテル業一筋に生きてきた真喜志さんですが、地元の後輩からBLUE OCEANで新しく宿泊事業を始めないかという誘いを受けました。ホテルを一から立ち上げる経験がとても面白そう、かつ今後二度とあるか分からない機会だと思い、BLUE OCEANの立ち上げに携わることを決意しました。
その後建物が完成し、初めて部屋から景色を見た際に「これはいける」と眺望が大きな売りになることを確信したそうです。ベッドの上から外を眺めると景色の中に海以外のものが入らないのです。ホテルと海の距離が近く、お部屋の扉を開くとまるで海上にいると錯覚するほどだそうです。
「これほどのオーシャンビューは島内でもここしかないと思います。写真で伝わりきらないのがすごく悔しい」
あえてお客様のためにサービスを減らしたコンドミニアム
コンドミニアムとはリビングやキッチン、家具家電が備えられた宿泊施設で、ファミリーやグループなどで利用することでリーズナブルな価格で滞在することができます。BLUE OCEANのコンセプトとして自宅で過ごすような快適な滞在を掲げています。そのためにあえてサービスを減らしているそうです。
例えば、宿泊中にスタッフが清掃や備品のデリバリーサービスで入室することはありません。自由でプライベートな空間を楽しんでもらうためです。実際に過去に勤めていたホテルでは荷物などを広げたままにしたいので、お部屋の清掃や入室は必要ないという声が多くあったそうです。非日常である島の宿泊に、暮らすような日常を持ち込むことで観光だけでは見えてこない石垣島の魅力を感じてもらいたいという真喜志さんの思いがそこにはあります。
「以前、シニアのご夫婦と、結婚されてご実家を出られた息子さんのファミリーがご宿泊したことがありました。その際は、子供が小さかった頃に家族みんなで食卓を囲んだ思い出が蘇ってきたよと言われて非常に喜んでいました。ビジネスホテルではできない、BLUE OCEANならではの経験だと思います」
「また、清掃をなくすことでスタッフの負担を減らせるという観点もあります。島内は基本的に人材不足なうえ、宿泊業界は離職率も高いので、少ないリソースで上手く回るように受付時間を短くするなどもしています。スタッフが働きやすい環境を作りたいです。そして人件費の削減は結果的にリーズナブルな価格設定にも繋がります」
今後の展望として、地域との関わりを増やして宿泊客も地元もハッピーに
BLUE OCEANは今後の取り組みとして、地域との関わりを持てるプランを検討しています。来年度から計画しているのは、出張シェフを部屋に手配するオプションプラン販売です。地元レストランのシェフが出張して、自室で地元食材を主に使った料理を作ってもらえます。石垣島で生産される肉や魚、野菜はもちろんのこと、塩やはちみつといった調味料も地域で採れるので、島の食事を満喫することができます。目の前で料理が仕上がっていくライブ感も楽しめます。
また、食べ切れない米が残ってしまうことが多く、フードロスを防ぐためにこれまで炊飯器を設置していませんでした。しかし、島内の子ども食堂に残ったお米を寄付すればフードロスも子供の貧困問題にも貢献することができるので、今後の導入を検討しているそうです。
地域との関わりを増やしていくことが宿泊客の満足度向上、地産地消や地域の課題解決につながり、ホテル、宿泊客、島の三方よしを作れます。
本島よりも時間の流れがゆるやかでリラックスできる
最後に真喜志さんに石垣島の魅力を教えてもらいました。
「時間の流れが島外と全然違いますね。本当にゆっくり流れていて、ゆるやかさにリラックスできます。ずっと石垣島にいると、この感覚はあまり分からないんですが、島外にいくと慌ただしさにびっくりします。沖縄の本島でも慌ただしく感じます。是非この時間の流れを感じに来てください」。