
秋田県横手市にある「忠猫神社」をご存じだろうか?この神社は明治時代に地主の伊勢多右衛門(たえもん)に飼われた猫が、ネズミ退治で活躍し地域の住民たちに愛された「忠猫(ちゅうびょう)」の伝説が残っている。
以前筆者は当神社を記事にしたが、改めて2025年4月20日に、新しいPV(プロモーションビデオ)用に準備された忠猫神社の祈願祭の取材を行った。
そして今年7月に入り「忠義な猫の会」発起人の一人であり浅舞八幡神社の宮司でもある本多和芳(ほんだ・かずよし)さんが新たなPVを6月15日にYoutubeに投稿した。今回は新PV制作の舞台裏に迫ってみた。

目次
「もっと忠義な猫を知ってもらいたい」。PV制作のきっかけは、今年の冬に行われた会議
取材をきっかけに「忠義な猫の会」と関わりをもった筆者は、2025年2月20日に忠猫神社の今後について本多さんと色々と話し合った。
その際、もっと多くの方々に「忠義な猫」を知ってもらうために祈願祭や縁日の祭りだけではなく、猫にちなんだイベントを行う計画を立てた。例えば地元の保育園や小学校で紙芝居を行ったり、インバウンド向けに英訳した忠義な猫の物語を制作したりなど、現時点でやれる事から始めると本多さんは語っていた。
そして3月30日にはTeamsを使ったリモート会議で、2024年度の反省と2025年度の予算会議を一通り行い、会のメンバーの人事刷新等も行われた。
2月は筆者と本多さんの二人だけで話し合いが行われたが、今度は他のメンバーも交えた会議が行われ、より現実的な内容が話し合われた。
ここで出たのが、忠猫神社の「新PV」を作る事だった。秋田ふるさと村で猫のイベントを開催するという案も出たが、実際に進められたのはこちらの方だった。

猫の神様に祈りを捧げる瞬間
PVの撮影用に、2025年4月20日の午後4時から祈願祭が行われた。参加者はおよそ10名で、最初に本多さんによって祝詞(のりと)が15分間詠まれた。筆者もこういった神事に参加するのは初めてで、建物の中全体が厳かな雰囲気に包まれており、祝詞を聞いた際は本多さんの声量に圧倒されてしまい、そこに猫の神様が鎮座して神事を見守っているように思えた。


祈りをささげた後、参加した4匹の飼い猫たちの撮影会が行われた。PV用の写真を撮ってもらったが中には恥ずかしがってケージに入ったまま警戒する猫もいた。何とか撮影会を終える事ができ、どの猫も個性的で飼い主の愛情が注がれて育っている事がわかった。
忠猫神社のこれからについて話し合う
祈願祭を終え、猫と飼い主の方々が帰った後「忠義な猫の会」のメンバーと忠猫神社のこれからについて話し合う時間があった。
前述したように秋田ふるさと村で猫関連のイベントを開き、もっと多くの人に忠猫神社を知ってもらう事や地元の人々からの知名度を上げるべく、「忠義な猫」の子供向け紙芝居をする等の意見が出たが、とりわけ興味深いと思ったのがスコットランドにも忠義な猫が存在する事である。
もっともスコットランドの場合は米蔵ではなくウィスキーやビールの蒸留所といった酒蔵をネズミから守っているのだ。そんな猫たちを人々は「ウィスキーキャット」または「マウザー」と呼び、愛されており、その中で最も有名なウィスキーキャットが「タウザー」である。
この猫はメス猫で1963年に生まれ、1987年に亡くなるまでの24年間に28,899匹のネズミを捕まえた功績をたたえ、ギネスブックにも記録されている。ちなみにタウザーは2022年に亡くなったエリザベス2世と誕生日が同じである。
タウザーにあやかり、忠義な猫主催のスコットランドのウィスキーツアーを敢行して忠義な猫の輪を日本から世界へ広げていくのも面白い。そのためにはやはり積み重ねが必要である。コロナ禍で立ち消えとなっていた「東北猫サミット」も始めていきたいと本多さんは語っていた。

余談ではあるが前回の記事を書いてから県外からの参拝者が増えており、新潟の方に「猫ラウンドキーホルダーお守り」を送った際に横手市を訪れた際は浅舞八幡神社と忠猫神社に参拝するというメッセージを受け取ったとのことだった。確実に「忠義な猫」が有名になってきている事を知り、やはり小さな事からコツコツとやっていく事が大切であると実感した。忠猫神社のこれからが非常に楽しみである。

情報
忠猫神社
住所:〒013-0105 秋田県横手市平鹿町浅舞蒋沼135
EL:0182-24-1606(FAX同番)
携帯:090-7662-1619
公式サイトURL https://asamai-hachiman.jp/piety-cat/
忠義な猫の会 公式YoutubeチャンネルURL:https://www.youtube.com/@忠義な猫の会
営業時間 午前10時~午後4時
アクセス
バス:横手・本荘線浅舞覚町で下車し徒歩約5分