「生活に密着した存在」を世界へ。“定番”を捨てたダイソーの商品開発への覚悟【広島県東広島市】

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「生活に密着した存在」を世界へ。“定番”を捨てたダイソーの商品開発への覚悟

100円ショップ「ダイソー」を展開する株式会社大創産業(以下、ダイソー)。世界中の人々の生活をワンプライスで豊かに変える〜感動価格、感動品質〜」という社是のもと、ダイソーのほか、300円ショップ「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」、女性向け雑貨を扱う「THREEPPY(スリーピー)」の三ブランドを展開し、国内外で5,600店以上を運営しています。創業から半世紀を越えた今もなお、常に新鮮な売り場づくりを継続しつつ、今では日本を含む世界26の国と地域で親しまれる同社。特例子会社であるダイソーウイングの代表取締役も兼務しながら、前線に立つ小川金也(おがわ・きんや)常務取締役に、入社の決め手から震災復興で芽生えた使命感、未来像を伺いました。

大創産業常務取締役の小川金也さん

目の前の喜びを求めて、楽しさと活気ある大創産業へ入社

小川さんがダイソーに中途入社したのは1996年。「面接で玄関に入った瞬間、社員全従業員が立ち上がってが立ち上がって『いらっしゃいませ』と挨拶する活気に衝撃を受けました」と小川さんは当時を語ります。

なかでも印象的だったのは、“仕事の楽しさがにじみ出ている活気ある様子”。まさにダイソーの企業理念「自由な発想で、楽しさと豊かさを提供し続ける」を象徴していたといい、この衝撃が小川さんが入社する決め手となりました。

また前職でシステムエンジニアとして働いていた小川さんにとって、顧客の反応がダイレクトに返ってくる環境は新鮮そのもの。「目の前のお客さまが喜んでくだされば疲れが吹き飛びました」と笑顔で振り返ります。

定番を捨てて驚きをとる。ワクワクを量産する“売場総入れ替え”戦略

ダイソーは手軽に便利さが手に入る「安さ」と「品質の高さ」だけでなく、「ワクワク感」などの体験価値を高めることにも注力しました。こだわったのは、季節や流行に合わせて毎週変わるテーマパークのような売り場づくり。

「既存の売れ筋や定番商品にはこだわらず、常に新鮮さが命。リピーターを作るには“驚き”と“感動”が必要」

週替わりで商品を総入れ替えする決断は在庫リスクをともないます。しかし「今日はどんな新しい物があるだろう」という期待を顧客に持ってもらえるよう、「全てにおいて『だんぜん』にこだわり続ける」ことにしました。すると、毎週店舗に訪れては買い物を楽しむ客の姿が見られるようになり、おのずと売上が伸びていき、喜びの声も届くようになりました。

大創産業が展開している3ブランド

震災で崩れた物流網を立て直し。100円の力で生活支援

東日本大震災の直後から被災地へ必需品を届け続けたダイソー。同時に現地店舗の再開も急ぐなど暮らしの再建を支えた経験は、ダイソーの“物流力”と“店舗力”を高める契機となりました。

各国の暮らしに寄り添う企業として、文化に合わせた“生活に密着した存在”へ

現在、ダイソーは日本だけでなく世界中に広がっています。「グローバル展開は最大の挑戦」と語る小川さんは、“世界に密着した存在”として認知を高めていく熱意を強調します。

「各国の規格、法規制をクリアしながら文化に合わせた商品開発を行うことが大切。重要なのは、品質への信頼があってこそ価格の魅力が生きるということ」

小川さんは海外展開においては、特にSNSや現地メディアを活用し、各国の商品のこだわりや品質の高さ、価格の安さで訴求を推進しています。

DAISOオーストラリア・グレンデール店

DAISOブラジル店

「何でもやる」精神で社員の自走を促す。多様な力を束ねる“場づくり”

ダイソーでは、従業員の育成にも力を入れています。多様な業務のローテーションで知識や経験を積み上げ、幅広い視野を育むことが狙いです。ワンプライスショップの販売価格を維持するうえで欠かせない、為替変動や原価問題、ニーズの多様化に柔軟に対応できる人材を育てています。

「人が成長すれば企業も成長する」と語る小川さんは、“人を生かす環境づくり”を社内で整えています。

「どこに行ってもダイソー」。生活インフラを超え社会インフラへ

小川さんが目指すのは「どこに行ってもダイソーがある」世界。それは単なる「安くて便利なダイソー」の店舗拡大ではありません。

SDGs(持続可能な開発目標) を意識した商品開発や多様な人材の活躍を推し進めるダイソーは、いつでも・どこでも・適正価格で生活必需品を手に入れられる“生活インフラ”を超えて、環境問題の解決や多様性を生かした働き方などで世界を主導していくような存在を目指しているのです。

ダイソーの挑戦し続ける姿勢は、世界規模の“新しい当たり前”を生み出していくでしょう。

聞き手、執筆:木場晏門

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