
福島県いわき市を拠点に活動するアマチュア無線クラブ「いわきオーロラグループ」。30余年の歴史を持つ県内最大規模のこのグループの代表:太田 智(おおた・さとし)JI7XXH*さんに、このグループが歩んできた道のりやアマチュア無線の魅力、また、今後の夢について伺いました。

―最初に、いわきオーロラグループの結成の経緯についてお聞かせください。
当会は1992年に誕生したグループで、現在のメンバー数は約100名です。それぞれが自分の時間と費用をかけて開局し、自由なスタイルで楽しむのが私たちのグループの特徴のひとつです。知人の紹介やおすすめをきっかけに活動の場を広げたり、あえて人口密度の低い地域で電波を利用してネットワークを築いたりする取り組みも行っています。

―グループ名の「オーロラ」というのはいわきで見えるからなのでしょうか?
いえ、実は第30次南極観測隊の越冬隊長を務めた方がいわきの出身で、その縁から南極で撮影したオーロラの写真を活かしたQSL*カードとアワード*を発行したのが発端です。この「オーロラ」の名前には、壮大な自然現象の象徴という意味だけでなく、「いわき」を広くアピールしながら、メンバーがアクティブに電波を発信していくことも意味しています。

―では、太田さんは、どのようなきっかけでアマチュア無線に興味を持ったのですか?
実は学生時代にも無線関連の部活動はあったのですが、まったく興味がわきませんでした。 社会人になり、福島県内のイベントで事務局員としてまだ携帯電話がなかったので無線でやり取りすることがあったのですが、無線免許がなかった私は隣で指示を出すだけ。 それが、実際に無線の資格を取って自分で交信してみたらこれがすごく楽しくて。無線を通じて人とつながることの魅力に一気にハマりました。

―グループの活動のまとめ役として、最もやりがいを感じるのはどんな時ですか?
今の自分があるのは、多くのアマチュア無線局の皆さんと関わることができたおかげです。自分自身も楽しみつつ他の無線ファンにも同じような関係を築いてほしいという思いで、メンバー同士がより深くつながれるような環境づくりに努めてきました。最近も、10年以上音沙汰がなかった方から突然、「もう一度無線をやりたい」と連絡が来て驚きました。活動を始めてから30年以上が経ち、メンバーの入れ替わりはありましたが、続けていくことが何より大事だと思っています。

―今までの経験の中で、印象に残ったエピソードはありますか?
以前、視覚障がいがありながらサウンドテーブルテニス*やマラソンなど、さまざまな活動に積極的に取り組んでいる女性がいました。無線の魅力は、彼女のように外出が難しい場合でも、多様なバックグラウンドを持つ人々とつながれることにあると思います。生活環境や年齢、国籍を問わず、無線を通じて広がっていく人間関係こそが、アマチュア無線の楽しさのひとつですね。

―最後に今後の展望や目標について教えてください。
来年2026年9月には、いわき市が市政施行60周年を迎えるので、それに先立ち今年の夏から記念カードの配布を予定しています。このカードは、無線交信を通じていわき市の魅力を全国に、さらには世界に発信するツールとして活用したいと考えています。
また、防災士養成研修への参加をメンバーに呼びかけ、アマチュア無線を活用して地域の防災力を高める取り組みも進めています。これからも行政や地域団体と連携を図りながらいわき市を拠点に人々のつながりと安全な社会を築いていけたら良いですね。
―ありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています。
来年にはいわきオーロラグループも参加して『いわき市アマチュア無線ネットワーク(仮称)』の立ち上げを検討中とのこと。これからももっと活動の幅が広がりそうです。
補足情報
JI7XXH・・・太田さん個人を特定するためのコールサイン。コールサインとはアマチュア無線局を開局した個人を識別するための番号。電波法上、名前やニックネームで通信するのは違反となるため、指定されたコールサインを言うことがルールとなる。
QSLカード・・・無線交信の証明書
アワード・・・交信した地域や局数などの成果を証明したたえるもの。証明書や認定証に近い。
サウンドテーブルテニス・・・視覚障がいのある選手が行う卓球競技。使用するボールに金属球が入っており、転がると音がする
5 件のコメント
ありがとうございました。
今回、取材と掲載をして頂いた「いわきオーロラグループ」の太田です。
記事を読んだ感想が知り合いから届きましたので、ご紹介させて下さい。
以下の内容てす。
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この記事を書いた方の編集が素晴らしいと思いました。
文章と写真のバランスが絶妙で構成がお見事です。
取材対象者に寄り添う姿勢が良く現れていて、目にも頭にも、スッと入ってくる良い記事でした。
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以上です。
私も同感なのでご紹介させて頂きました。
太田様
太田さん、温かいコメントをお寄せいただきありがとうございます! また、この度は貴重なお話を共有いただきありがとうございました。
多様なバックグラウンドを持つ人々とつながれるアマチュア無線の魅力が多くの人に伝えられたと思います。
そして、昆さんへの励ましのお言葉もありがとうございます。昆さんともども今後も多くの方により良い情報を届けられるよう努めてまいります。 引き続き、よろしくお願いいたします!
ローカリティ!編集部
いわき市平の坂本と申します。 73歳にして急に無線がしたくなり 1月末に郡山で講習会を受け 4級の
資格を取りました。 免許が来て実際に運用できるまではあと1ヶ月くらいかかるので それまで勉強して備えたいと思います。リグは IC705を買いまして 近くの公園でアンテナをつけて ワッチしていますが、全く聞こえてきません。寒くて やっている人がいないのでしょうね。
家は長いアンテナが立てられないので DSTRのターミナルモードを考えています。
よろしくお願いします。
坂本さん、コメントありがとうございます。
免許への挑戦素晴らしいですね。免許が届くまでの間じっくり学びながら運用に備えてください。
寒さの中で風邪など引かれませんように。春はもうすぐです、楽しみですね。ローカリティ!編集部
坂本 様
初めまして、いわきオーロラグループの代表を務める太田 智(小川町在住)です。
一度、アマチュア無線の楽しみ方などについてお話出来ればと思い、メールさせていただきました。