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長崎県佐世保市の九十九島(くじゅうくしま)の208の島々の中で、最も大きい「黒島」。4つしかない有人島のひとつでもあります。
島の人口の約8割がカトリック信徒で、「黒島の集落」は2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつとして世界遺産に登録されました。
今もこの島の文化や自然を守り、信仰とともに生きる暮らしが丁寧に受け継がれています。
目次
のんびり潮風が気持ちいい、50分間の船旅。日帰りもできる
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黒島へは、佐世保市相浦港(あいのうらこう)からフェリーで約50分。黒島行きのフェリーは1日3便です。日帰りで楽しみたい方は10:00発の便で行きましょう。
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黒島港に到着したら、まず目の前にある「黒島ウェルカムハウス(黒島観光協会)」へ。観光案内所と、黒島でとれた野菜や魚介・特産品が買える直売所があります。黒島は公共交通機関がないので、島内散策は自転車がおすすめです。こちらにはレンタサイクルがあり、電動アシスト自転車の貸し出しを行っています。
暮らしと共に残る。島特産の御影石と潜伏キリシタン遺産
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島のほぼ中央に位置する「黒島天主堂」。1902年にフランス人のマルマン神父の指導のもと、島の信者たちが全員建設に参加して1902年に建てられました。
基礎には特産の黒島御影石を用いています。40万個のレンガを積み上げたロマネスク様式は圧巻で、木の暖かみが感じられる教会です。
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初代黒島天主堂と同じ頃に作られた「カトリック共同墓地」。禁教令が解かれてカトリックに復活した信徒は、こちらの墓地に埋葬されるようになったそうです。黒島原産の「御影石」を使った十字架の墓石は黒島ならではの景色です。教会建設を指導したマルマン神父もこちらに眠っています。
島のパワースポットと断崖雪壁で自然を満喫
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黒島のパワースポットといえば、「根谷のアコウ」の木。なんと樹齢数百年だそうです。確かに、大きく、にょきにょきと生えた枝は近くで見るとかなりの迫力です。西彼半島(せいひはんとう)から移住してきたキリシタンの人々が生活に必要な油を得るために持ち込んだといわれています。
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黒島随一の展望所「蕨(わらべ)展望所」。長崎鼻、カキ瀬鼻という2つの断崖絶壁が見渡せます。見晴らしの良い展望所で、晴れた日には、左手に崎戸町、右手に上五島が見えます。季節ごとに、島民によって丁寧に植えられた花々も咲き誇ります。
その日に獲れた魚、島ならではの島豆腐の「島めし」
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黒島の新鮮なお魚がリーズナブルに味わえる「海鮮味処さざんか」で黒島の魚介類や野菜、伝統料理の黒島ならではの「島豆腐」など島の食材がたっぷり入ったご膳「島めし」を味わうことができます。メニューは日替わりで、その時々で獲れた新鮮なお魚を刺し身や、煮つけ、フライなどでいただけます。
黒島は、美しい自然と歴史が調和し、潜伏キリシタン文化や教会建築の遺産を楽しむことができる特別な島です。潮風を感じながらサイクリングで巡る景観や、地元食材を堪能する「島めし」などの島でしか味わえないものを体感してみてください。
使用写真はすべて佐世保観光コンベンション協会より提供。
一部文章は佐世保観光コンベンション協会の公式HPから引用。
(松尾麻美さんの投稿)