打ち立てと変わらない乾麺の美味しさを知ってほしい 児玉製麺の「出雲そば」【島根県出雲市】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

香りも味わいも格別な児玉製麺の麺 出雲そばをおいしく食べる二つの方法

島根県の特産、『出雲そば』は、殻を取った皮付きのそばの実を用いて製粉するため、他のそばに比べ色が濃く香り高いのが特徴で、日本三大そばのひとつに数えられています。

「児玉製麺の『出雲そば』は特にそばの香りが強く、麺がしっかりしていて、のどごしも良く絶品です」そう話すのは、島根県出雲市にある(有)児玉製麺の常務取締役の児玉俊介(こだま・しゅんすけ)さん。

「美味しさを知るために、『割子(わりご)そば』と『釜揚げそば』、まずはこの二つの食べ方を味わってみてください」

『割子そば』とは、割子と呼ばれる丸い漆器に入っているそばに、直接つゆと薬味をかけて食べるものだそうです。つゆの量で辛味を調節でき、そばの絶妙なのどごしと香り、しっかりとした食感が楽しめます。用意された割子のそばを全て食べたら、器に残ったつゆにそば湯を注げば、味わい深い「シメ」の一品が楽しめます。

『釜揚げそば』とは、湯がいたそばを水洗いせずにそのまま器に入れ、そば湯を注ぎ薬味を加え、そこにつゆを少しずつ、味を調整しながら入れて食べるもの。そば湯の香りととろみを、もっちりふっくらした麺と共に楽しめます。何も加えていないそば本来の味わいを一口目に味わえるという醍醐味もあります。

実際に作って試食をしてみたところ、どちらの食べ方もそれぞれに香りや食感が異なり、その美味しさと、その違いに面(麺)食らいました。そば好きを公言される方には、是非試していただきたい食べ方です。

美味しいのは生麺だけじゃない!乾麺は素晴らしい先人の知恵

児玉製麺では様々な麺の製造販売をしていますが、その中でも俊介さんは、「乾麺」の素晴らしさをたくさんの人に伝えたいと言います。

「当社では乾麺を作るのに添加物は一切加えません。小麦粉やそば粉、水と塩だけあれば作れて、常温保存ができます。茹でたてを食べれば、打ちたてを茹でたものと変わらない美味しさです。半生麺に比べ茹で時間は1分程度しか違わず、価格も安い。これぞ先人の知恵です」

俊介さんは、「半生麺の方が美味しい」というイメージを持たれているお客様が意外に多いのを知って驚いたそうです。

「食べごたえと喉越しを良くするために材料の配合を工夫し、大量生産せずにひとつひとつの工程に時間をかけて丁寧に製麺しています。半生麺が美味しいのはもちろんなのですが、長く保存に適している乾麺を、ご家庭にたくさん常備していただいて、食べたい時にその都度、茹でたての美味しさを味わっていただきたいです」

子を思う親の愛から児玉製麺は始まった!そんな麺を食べてほしい!

児玉製麺は大正8年(1919年)創業。

恋仲になった人との結婚を反対された児玉製麺創業者の児玉恵三郎さんが、駆け落ち同然で家から出る際、勘当と引き換えに、これでうどんを作り生計を立てるようにと、商店を営む両親から小麦粉を分けてもらったことがすべての始まりです。両親の気持ちを受け、恵三郎さんは一心に麺を作り、それが子や孫に代々受け継がれ、2019年には児玉製麺は創業100周年を迎えるに至りました。

4代目にあたる俊介さんや児玉製麺で働く人たちにも、麺のように真っ直ぐな、麺を愛する心が受け継がれています。

神々をお祭りする古い神社が至る所にあり、神の国として知られている出雲の歴史や自然が目に浮かぶような、とても深い味わいの麺を、出雲に旅行した気分で、是非とも体験してみてください。

天野崇子

天野崇子

秋田県大仙市

編集部編集記者

第1期ハツレポーター/1968年秋田県生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30余年。

ローカリティ!編集部のメンバーとして、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。