「服地はミユキ」のキャッチフレーズで知られる名古屋の老舗企業・御幸毛織は、1905年の創業以来、国内生産にこだわって服地づくりを行ってきました。自社グループに縫製工場も有する当社は2020年に名古屋市中区に直営オーダースーツサロン「ミユキクラフツスーツ パストラル」(以下MCSパストラル)を開設しました。「服地製造」「接客・販売」「縫製」までを一貫生産で届ける純国産オーダースーツの魅力を探っていきます。
※店名にはクラフトマンシップにこだわるミユキの精神と、服地の原料・ウールのさらに原点である緬羊牧場(パストラル)に対するリスペクトが込められています。
目次
この時代にオーダースーツにこだわる理由とは
もともと進んでいたスーツ離れの傾向は、コロナ禍によるリモートワークの増加などで加速し、働く人々のファッション環境は大きく変化しています。ビジネススーツの需要は減少し、破綻する既製服メーカーもあり、大手販売店も店舗数を削減するなど、アパレル業界が対応に苦慮する中で、オーダースーツ分野は比較的健闘しています。既製服では不可能な、「着る人の個性」や「こだわりを」反映できるオーダースーツが、いま注目されています。
国内一貫生産だからできること
御幸毛織は1905年に名古屋市で創業した高級服地メーカーです。愛知県一宮市や岐阜県羽島市など、世界三大毛織物産地と呼ばれる、いわゆる尾州地区とは僅かに異なる名古屋の地で独自の歴史を重ねてきました。
伝統的名古屋企業らしく、堅実な経営方針に加え、昭和30年代から平成初期まで長く続いたテレビ番組「ミユキ野球教室」の放映など、時代を先取りしてきた感覚も評価されています。
また1966年のザ・ビートルズ来日時、ポール・マッカトニー氏がスーツをオーダーした際に「ミユキテックス」を選んだという逸話も残されています。
さらに当社は1980年代、長崎県に縫製工場を設立するなどオーダー業界の将来を見据えた施策を行い、服地製造から縫製まで一貫して国内生産できる体制を構築しています。
このような背景に加え、30年以上オーダー業界を体験してきた生え抜き社員(西村)が責任を持って担当する「直営のオーダーサロン」を開設したことで、真の一貫生産が実現しました。製造、販売いずれの段階においても他人任せにせず、御幸グループとしてのプライドのもと、ひとりひとりのお客様のオーダースーツのストーリーを紡いでいきます。
「信頼」を着る
MCSパストラルが掲げるテーマは「”信頼”を着る」。信頼とは、一つには国産にこだわる伝統ある老舗企業が手掛けているという信頼、一つには蓄積されたノウハウをベースに、要望に適した素材を確かなサイズ感で誂える接客技術への信頼、また一番大事なのは確かなオーダースーツを身にまとったお客様ご自身が醸し出す信頼感。”愛せる服”を手にしたお客様が周囲に信頼を与える存在になっていただくお手伝いをしたいと考えています。
また日本製だから優れている、と安易に評価することはナンセンスですが、目の届くところでものづくりを行っている事実は重要です。この服地はあの人がデザインして、あの人が織って、あの人が仕上げ、あの人が縫っている、とそれぞれの顔を思い浮かべられることはMCSパストラルの強みとなっていると思います。御幸毛織のものづくりのストーリーと、お客様のオーダー体験のストーリーが組み合わさり、世界にただ一つのスーツが出来上がります。
モノづくりの国内空洞化が叫ばれて久しくなります。また日本人のビジネスファッションにたいする意識も下がり、年々ドレスダウンの傾向にあります。だからこそ独自のインフラを持つ御幸グループとして、欧米に引けを取らないファッション文化を未来に残したいと考えています。
情報
ミユキクラフツスーツ パストラル
・住所:〒460-0002 名古屋市中区丸の内1丁目7-6 丸の内Terrace401
・営業時間:10:00-21:00(ご予約がなければ18時閉店)
・定休日:日・木・祝祭日(定休日の対応はご相談下さい)
・公式HP:MIYUKI CRAFTS-SUITS PASTORAL (miyukicraftssuits-pastoral.com)
※中心価格7~10万円(名古屋市ふるさと納税では12万円の最高ランク生地を設定)
・連絡先:070-6582-7624
・担当者紹介
ショップマネージャー 西村 錠
昭和44年生まれ。出身は四国であるが幼少時より名古屋に憧れ名古屋市内の大学を卒業後、平成4年に御幸毛織に入社以来30年以上にわたってオーダー業界に身を置き、時代の変遷を見てきた。バブルの残り火から始まりリーマンショックや東日本の震災、そして現在のコロナ禍も含めた流れを理解したうえでお客様に適したスタイルを提案する。趣味はサッカー(ゴールキーパー)と80年代カルチャーの研究。
(西村 錠さんの投稿)