働く女性の「お母さんになりたい」女性社長がチャレンジする新たなお惣菜【愛知県名古屋市】

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名古屋市に本社を構える「株式会社まつおか」の松岡まち子社長。全国の大手百貨店、いわゆる「デパ地下」で現在約60店舗の手作り出来立て惣菜店を、一代で築いてきた敏腕女性社長だ。そしてコロナ禍を受け、松岡社長が新たに、従来とは真逆の冷凍のお惣菜開発に挑戦し始めた。

巨大な家庭の台所

早朝7時。ここはデパ地下のバックヤード。「お惣菜のまつおか」の厨房の朝は早い。ネギをリズミカルにトントンと刻む音。直径約45㎝の大きなアルミ鍋を火にかけ、砂糖や醤油でぐつぐつと野菜を煮る音と甘辛い香り。1.5升は炊ける炊飯器からは蒸気が上がり、約10分蒸らして蓋を開けると、そこには艶やかな炊き立てご飯が覗く。10時の開店に向けて、店頭にはかぼちゃのうま煮や生芋こんにゃく、カラスカレイの味噌漬け焼きなど約20~25品の惣菜やお弁当が並ぶ。

前日からの作り置きは一切なく、全てその日に調理する出来立て惣菜である。

働く女性の「お母さん」になる

株式会社まつおかは1987年に名古屋市で創業。1号店は名古屋三越栄店。当時は1985年に成立した「男女雇用機会均等法」を受け、女性が社会進出をし始めたころ。まだまだ働く女性に優しい環境ではなく、松岡まち子社長は、働く主婦の一人として、毎日の食事には随分と悩まされていた。

「美味しいものを作って食卓に並べたい、家族に食べてほしい」。でも時には買い物をする時間さえなく、店屋物で済ませることもしばしば。育ち盛りの息子には、昔ながらのバランスの取れた和食を食べてほしいと松岡社長は考えていた。そしてたどり着いたのが、働く女性の代わりに「お母さんの代わり」をすることだった。

「家庭と同じ味」を追求し、常温のまま百貨店で販売

「まつおか」のお惣菜は、家庭の台所で作るのと同じように、ネギや椎茸、サバをカットし、砂糖や醤油、酒などの調味料を計ってコトコトと煮込む。育ち盛りのお子さんのご飯が進むように、おかずとなるお肉や魚の主菜を作ること。他店では当時から、品質安定のため、ショーケース型の大きな冷蔵ケースを使い、その中にお惣菜を入れて販売していたが、家庭ではわざわざ作ったものを冷蔵庫に入れることはせず、出来立てを食卓に並べていたことから、家庭と同じように、お惣菜まつおかでも、その日に作ったお惣菜を常温のまま販売している。これが評判となり、2000年のJR髙島屋出店を期に、株式会社まつおかは大きく飛躍を遂げ、全国に約60店舗を出店するまでに至った。しかし、2020年の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受け、これまでの事業に加え、新たな事業をスタートした。、それが、出来立てとは真逆の冷凍惣菜である。

冷凍惣菜でも、出来たての美味しさをそのまま再現することに成功

冷凍惣菜の開発までには、時間もかかった。水分の多い大根や人参、ごぼうなどは、野菜内の氷の結晶が大きくなり食感が悪くなってしまう。しかし、野菜のカット方法を乱切りから細切りに変えることでシャキシャキの食感を再現。「人参とレーズンのラペ」や「金平ごぼう」なども新たに製品化することができた。現在は冷凍技術も進化し、出来立てをすぐに瞬間冷凍することで、劣化せず出来立ての美味しさをそのまま閉じ込める技術に成功している。

現在は20品前後を製品化しており、オンラインショップにて販売している。「じゃが芋と豚肉のうま煮」や「手羽先の甘辛揚げ」「スペアリブのうま煮」は好評である。

また100g前後の小さいサイズで個包装することで、一人分として使いやすく時間が足りない時や疲れた時、元気のない時など、いつでも冷凍庫から取り出して湯煎して使うことで、品数を増やし温かなお惣菜を食卓に並べることができる。

まつおかは、いつまでもお客様の変わらない「母の愛情」でありたい

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今は食のニーズや考え方、個性も多様化してきたが、母親の愛情はいつの時代も変わらないもの。出来立てでも冷凍でもお惣菜作りの根本的理念はかわらず、いつまでもお客様の「お母さん」でありたいと願い、美味しいと言っていただけるお惣菜を、今日も作り続けている。

情報

株式会社まつおか

・住所:名古屋市中区大須2-23-38

・TEL:052-219-0309)

・営業時間:日曜・祝日を除く午前9時~午後6時

・公式HP:https://shop.souzai-matsuoka.com

百瀬智子さんの投稿

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