「なごやめし」の有名店の味を支え続けて90年 老舗かつお節店のおだし【愛知県名古屋市】

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「なごやめし」といえば、きしめん、味噌煮込みうどん、カレーうどんなどが有名だが、そのなごやめしの有名店の味を陰で支え続けてきた「だし」がある。それがまもなく創業90年を迎える株式会社ボニトの削り節である。

美味しい料理の土台となる「だし」。「だし」といえば、かつお節と昆布が思い浮かぶと思うが、なごやめしの「だし」は、かつお節ではない。ムロアジ節、宗田かつお節、サバ節などをブレンドした混合節が使われることが多い。東海地方独特な調味料に負けない、力強い「だし」が必要となる為だ。

例えば、三河地方で作られる豆味噌は3年という長い月日をかけて熟成させる。豆と塩のみというシンプルな原材料のみで作られ、旨味が強いが、渋みも強い。かつお節の「だし」だけでは、この強い渋みに負けてしまうが、ムロアジ節など数種類の魚をブレンドすることにより、豆味噌の渋みがうま味に変わる。

この独特なブレンドの削り節で、地元の老舗の味を守り続けているのが株式会社ボニトである。節類以外にも、昆布や椎茸など「だし」の素材となるものは何でも扱っている。

 

創業当時より続く、自社オリジナルの削り製法

削り節は、早朝、ボイラーに点火することから始まる。名古屋市西区にある自社工場は、毎朝、蒸された削り節の香りで包まれる。

鹿児島県枕崎市、静岡県、高知県など、日本全国の産地より仕入れた節を削り、製品を作っている。扱う原魚は、かつおだけではない。ムロアジや、さば、宗田かつお、うるめいわしなど、かつお以外の節もたくさん扱っている。

魚種ごとにそれぞれに適した温度や蒸し時間を変え、削る下準備をする。蒸気で水分を入れるもの、乾燥した温風で温めるものなど、下準備もさまざまだ。温めて柔らかくした節類を、さまざまな厚みで削っていく。同じ魚種でも、薄削り、厚削り、生削りなどに削り分け、製品にしていく。

なかでも「生削り」はボニトオリジナルの製法だ。厚削りは濃厚な「だし」が取れるので、そばのつけ汁のだしなどに使われるが、長い煮出し時間が必要である。この「生削り」は、煮出し時間が短く済むのだが、厚削りと同じくらい濃厚な「だし」が取れるのが特長だ。その分、光熱費が抑えられるため、長年に渡り、たくさんの飲食店より支持され続けている。

最も古い帳簿は明治22年

明治22年(1889年)、初代当主が水産問屋を営み、かつお節に携わったのが会社の起源である。

その後、昭和9年(1934年)に鵜飼鰹節店を開業し、業務を開始した。現在の社長は4代目。

名古屋駅前に本社を構え、アクセスの良さを武器に、名古屋駅周辺の飲食店に「だし」を納める他、東海3県を中心に有名料亭、和食店、麺類店、事業所、学校給食や病院などへ、自社便で配達を行う。

「だし」を届ける傍ら、飲食店に必要な一般食品も販売し、食品総合卸しの側面も持ち合わせている。

中村区名駅の本社にも、西区の自社工場にも、それぞれ大きな冷蔵庫、冷凍庫を完備し、西区の自社工場には、「研究センター」も併設。センター内のテストキッチンでは開業支援も行い、オープン前の試作や、「だし」の試飲、ブレンドの打ち合わせなどに利用されている。

「だし文化」を継承していきたい。創業100年を目指して

自社便で製品を届けるのみではなく、ECサイト(自社サイト、楽天、Amazon、Yahoo!!)での販売も開始することにより、東海地方だけでなく全国に「ボニト」の削り節を届けている。

家庭でもプロの味を味わうことが出来る、本格的な削り節「鵜飼の麺だしシリーズ」や、簡単手軽に「だし」が取れる家庭向けだしパックを取り揃えている。

その中でも、「だし」を料理ごとに使い分ける楽しさの詰まった、だしパックのギフトセットも好評だ。令和4年(2022年)、自社工場をリニューアルするとともに、食品安全とお客様からの信頼の向上にむけて、お客様が安心できる高品質かつ安全な商品を製造・出荷の証明のために、水産加工施設のHACCP認定も取得。さらなる安心・安全の確立を目指す。

また、地元老舗醤油企業とのコラボ商品を新たに発売している。「ボニト」のこだわりの削り節をふんだんに使って、高級な味わいの「だし」入りつゆ「はなむらさき」の販売が実現した。「だし」の効いたおでんやカレーうどんのタレなどのコラボ企画も進行中だ。

「ボニト」には、「だしソムリエⓇ」の資格を持つ講師が在籍しており、「だし講座」や「マルシェでの販売」も行っている。小学校では子供向けに楽しくわかりやすく、保健所や栄養士などには「だし」を使うことで美味しく減塩になることも伝え、「だし」の魅力と可能性を広めている。「だしソムリエⓇ」の資格が取れる「だしソムリエ3級講座」も、ボニト本社で定期的に開催している。

「だし」は美味しい料理の縁の下の力持ちで表舞台に立つことは無かったが、あえて「だし」にスポットライトを当て、表に出すことで、「だし」は料理の土台であること、美味しい料理には「だし」が欠かせないことを広く伝えている。そうすることで、この先の未来にも「だし」文化が残っていけるよう継承していきたい。

(小笠原さんの投稿)

情報

株式会社ボニト 

・住所:〒450-0002 名古屋市中村区名駅3-18-3

・TEL:052-551-0555

・営業時間:8時~17時

・定休日:土日・祝日

・公式HP:https://www.e-bonito.com/

・自社オンラインショップ:http://sakura-inc.shop-pro.jp/

・楽天ショップ:https://www.rakuten.co.jp/e-bonito/

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