長崎県は2020年度の環境省の発表で犬猫殺処分率全国ワースト1になって以降、犬や猫の殺処分数ゼロを目指す活動「動物殺処分ゼロプロジェクト」を推進しています。その一環として、6月下旬から移動不妊・去勢手術車(スペイカー)が県下の離島を回る取り組みが実施されました。
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にゃんとかせねば……動物殺処分
長崎県では、年間数百頭の犬や猫を殺処分しなくてはならない状況を打開するため、「動物殺処分ゼロプロジェクト」を推進しています。
プロジェクトの一環として、動物病院が少なく、動物殺処分問題が深刻化している離島へ不妊・去勢手術のための医療機器を積んだワゴン車(以下、スペイカー)を派遣する取り組みが行われました。スペイカーは長崎県内の離島である新上五島町、五島市福江島・奈留島・対馬市・壱岐市の順に巡回しました。
長崎県内出身で千葉でクリニックを経営する獣医師
現在、千葉県のルナスペイクリニックの医院長を務める獣医師笹尾美香さんは長崎県出身で、長崎県の動物殺処分について知り、猫の不妊去勢手術専門の病院を運営する獣医師として何かできないかと考えていたと言います。そんな中、県の依頼を受け、笹尾さんと所有するスペイカーが活躍することになりました。今回は、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術を行いました。
「壱岐島わんにゃんお守り隊299(にくきゅう)」と連携
壱岐島には9日間の滞在で、5つの離島の中で一番の長丁場となり、合計で100頭以上の手術が行われました。今回は飼い主のいない猫を手術するため、壱岐で犬や猫を保護したり、譲渡会などを行っている「壱岐島わんにゃんお守り隊299(にくきゅう)」がとりまとめを行い、飼い主のいない猫を集めました。
かわいい猫耳をカットするのは心苦しいけれど
スペイカーで手術を受けた猫の耳は桜の花びらの形にV字カットされます。このさくら耳を不妊治療の証とし、飼い主のいない猫が再度捕まって、無駄な手術を受けないためです。
笹尾さんは「少しでも殺処分を減らし、幸せに暮らせる猫が増えるためには、不妊去勢手術をすることが必要と判断した」と話します。続けて、「かわいい耳をカットするのは心苦しいが、もう1回捕まって、無駄に手術をしてしまうことを防ぐには仕方ない」と話しました。
写真はすべて筆者が2024年7月に撮影
情報
「壱岐島わんにゃんお守り隊299(にくきゅう)」インスタグラム:https://www.instagram.com/iki_nikukyu/