「網走にないラーメンを提供したい」網走大好き移住夫婦が夢を追い奮闘中【北海道網走市】

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北海道網走市の市街地から離れた呼人(よびと)地区に、「らー麺 こーるまん」が2024年9月25日にオープンしました。

レギュラーメニューの醤油と味噌や期間限定ラーメン、そして地元食材にこだわりを持つラーメン店で、おいしいと評判のラーメンを求め午前11時の開店早々から行列ができ、閉店時間の午後3時を待たずに、午後2時過ぎにはスープがなくなってしまう人気店です。

夢を実現するために、東京から網走へ移住した小関夫婦、そして夢の架け橋となるべく開店した「らー麺こーるまん」についてご紹介します。

網走大好き夫婦、移住の決め手とは!

ようこそ網走へ、「らー麺こーるまん」店主の小関大介さん

少しシャイな店主の小関 大介(こせき・だいすけ)さんと奥様(以降店主と奥様)は、2023年11月に東京から網走市へ移住しました。

奥様が、10年前にひとり旅で来た網走が好きになり、「この辺りに住みたい」と思ったのがはじまりで、それから夫婦で何度も網走に来ていたそうです。

網走への移住の決め手は、小関夫婦共通で「網走の人や町、自然・食べ物が大好きになった」、さらに店主は「網走で夢をかなえたい」という強い思いからでした。

店主は、ラーメン屋を開くことが子どもの頃からの夢だったそうです。

前職は半導体関連の営業マンで、移住後もリモートで働き続けることが可能でしたが、PCと向かい合っては地元の人との交流がなかなかできないことから、地元民と直接顔を合わせ会話ができるラーメン屋を開店することを決意したといいます。

夫婦の夢は都会では少ない地元民との交流

〇115年間、戦時中もコロナ過も休まず続く豊郷神楽(筆者が2024年8月1日撮影)

先ほどは店主の夢について紹介しましたが、小関夫婦共通の夢は、都会ではなかなかできない、暮らしの中での地元民との交流です。

筆者がとても驚いたのは、移住そうそう網走市の一番古いお祭りであり、115年休まず続く「豊郷(とよさと)神楽」の継承・保存団体である豊郷神楽保存会に参加している事です。

筆者も以前ハツレポ((記事リンクhttps://thelocality.net/toyosatokagura-abasihiri/))にさせていただきましたが、市街地から少し離れた地域で行っていることから網走の人でも観に行く機会が少ない豊郷神楽だけに、地元民との交流の夢への思いは並大抵ではないことが伺えます。

ラーメン屋がオープンして忙しい毎日となりましたが、豊郷神楽についてこれからも手伝いますかという筆者の問いに、「もちろん来年以降も全力で参加させていただきます」と、とても心強い言葉をいただきました。

「網走にないラーメンを提供したいんです」

店主に提供するラーメンへのこだわりについて尋ねてみました。

「網走にないラーメンを提供したい」

鶏のだしがきいた、あっさりとしている中にもコクがあり、週に一度は食べたくなるようなラーメンが理想で、麺次第で同じスープでも味が変わることから、麺選びには膨大な時間を費やしたそうです。

レギュラーメニューの他にも、店のすぐそばに位置する網走湖で獲れるしじみを使った「網走湖産生しじみらー麺」を、季節限定メニューとして数量限定で販売しています。こちらは冷凍したしじみは使用せず漁をしている期間のみ提供しており、店主の食材に対する強いこだわりを感じます。

お待たせしました、いよいよラーメンを実食します。

店に入るとまず食券を購入し、その先にあるトレーに箸・れんげをセルフで置き、順番にラーメンができるのを待ちます。

少しずつ進みながら、親しげで笑顔が似合う小関夫婦とちょっとした会話を楽しむ事もでき、「お客様と顔を合わせて少しでも交流したいとの思いがこのシステムを生み出すきっかけになった」と、店主がお話してくれました。

いよいよ筆者の番、舞台の幕が開くがごとく目の前で注文したラーメンが作られていくその様は、まさにライブパフォーマンス。

湯切りした麺が丼に入ると、あうんの呼吸で奥様がチャーシューや煮卵・ネギなどを手早く盛り付けていき、完成したラーメンがトレーにのせられると、そのクライマックスに向け空いている席に向かいます。

券売機におすすめの表示があった「上らー麺(醤油)」を食べてみました。

スープを口にすると、香ばしい鶏の香りと風味、続いてうま味が感じられ後味あっさりとした極上のスープに仕上がっています。

ツヤのある中太麺はスープとの相性が抜群で、つるつるもちもちながら歯切れが良い麺にスープがよく絡み、麺をすするのが止まらなくなります。

ちなみに筆者の妻が食べた「みそらー麺」ですが、さすが店主、北海道人の好みを分かっていらっしゃる。玉ねぎのうまみあふれる少し濃いめのスープに、札幌ラーメンをほうふつとさせる黄色い中太のちぢれ麺、おいしくて一気に食べてしまったそうです。

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私たちは常に2人でひとつ

「お互いに欠点だらけなので、2人でひとつのようなもの」と口を揃える小関夫妻。取材を通して感じた筆者の感想は、お二人とも人を惹きつける笑顔と、謙遜の塊のような人間性から、失礼ながら似たもの夫婦だと思いました。

しかし、らー麺こーるまん全体のまわしと言いますか、レストランのギャルソン、いやオーケストラのマエストロ的な役割は、もしかすると奥様ではないかと感じる節があちらこちらに…、と思いつつ奥様の方へ目を向けると、なんと奥様の背中には「裏番長」の文字が。いやはやこの夫婦は奥が深い。

そんな小関夫婦に、最後にふたつ質問をぶつけてみました。

~  移住してもう少しで1年、網走ライフはいかがですか? ~

「最高の一言です。東京では、隣にどんな人が住んでいるのかも分からず、夜空を見ても星が見えず、どこか息苦しさを感じる生活でしたが、網走は、季節ごとの美しい景色、一緒に心配してくれる温かい人たち、青い空や網走湖に沈む夕日、すべてに感動しています」

~ 将来的な展望は? ~

「具体的にはまだ決めていませんが、ラーメン屋だけではなく、移住者が増えるような活動に何か挑戦してみたい。もちろん網走がもっと盛り上がるような活動もしていきたい」

以上、お店がオープンしたこの時期に難しい質問でしたが、一生懸命に答えてくれました。

網走市呼人にある「らー麺こーるまん」の店名は、地名から名付けた他にも「網走に人を呼ぶお店にしたい」という思いもあるそうです。

ラーメンを作る音と、お客さんとの何気ない会話が厨房から聞こえてくるラーメン屋。厨房とお客さんとの距離が近いこのお店ならではの光景が、これからさらに人との距離も縮まり、毎日繰り広げられて行くのかと思うと楽しみでなりません。

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※写真はすべて筆者撮影 2024年8月から10月

店舗情報

らー麺 こーるまん
住所 : 北海道網走市呼人382-10
営業時間 : 11:00〜15:00(スープが無くなり次第終了)
定休日 : 毎週火曜日、隔週水曜日
Instagram : https://www.instagram.com/ramencallman/

猪澤航

猪澤航

北海道網走市

第5期ハツレポーター

北海道網走市出身、高卒から四半世紀近く周辺2市4町を転勤し歩き、お店も信号機も学校も無い集落を経て網走市へ戻ってきました。離れている時はあまり感じなかった地元愛が、戻ってきてみると驚くほど網走が大好きなことを再確認しました。
そんな私が、離れていたからこそ見える魅力や感動を発信していけたらと思います。

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