かつては虎が城を守っていた!虎との遭遇率トップクラスのタイガーサファリ「ランタンボール国立公園」【インド・サワイマドプール】

2 min 5 views

“虎の王国”へ向かう旅のはじまり

インド北西部ラジャスタン州にあるランタンボール国立公園は、アジアでも特に虎の遭遇率が高い場所として知られている。年末年始の旅先として、自然と冒険の両方を求める若い旅人には、この上ない目的地といえる存在である。観光地ジャイプルから車で数時間というアクセスの良さも手伝い、手軽に「野生の世界」に踏み込める場所として人気を集めている。

公園に入ると、乾いた風が吹き抜ける広大な大地、古代の樹木、岩肌が削られた荒野が広がり、旅人の心を一瞬で非日常へと引き込む。ここは単なる国立公園ではなく、歴史と自然が溶け合う“冒険の舞台”である。

かつて虎が“城の守護者”だった時代

ランタンボールには、他の国立公園とは一線を画す背景がある。それは、公園内にそびえ立つ巨大なランタンボール城の存在である。この城は10世紀頃に建てられ、かつて王国を守るための要塞(ようさい)として機能していた。

当時、城周辺には戦略的理由から虎が多く生息する環境が残され、結果として虎が“天然の守護者”として城の周囲を守る役割を果たしていたと伝えられる。城壁の外に広がる森で虎が行き交う姿は、まさに“王国を守る影の戦士”のようであり、現在もその名残を強く感じさせる。

ランタンボール城の遺跡は公園の高台に位置し、動物たちを観察するジープサファリツアー(以下サファリ)の途中で目にすることができる。古びた石造りの砦(とりで)、苔むした階段、鳥の鳴き声が響く空間は、滅びた王国の物語を静かに語り、旅人の想像力を強く刺激する。

高確率で虎に出会える場所としての魅力

ランタンボール国立公園が特に人気を集める理由は“虎との遭遇率の高さ”である。インド国内の多くの国立公園では、虎は生息していても姿を見られないことが多い。しかしランタンボールでは、草原と岩場が適度に開けており、視界が広く、虎が行動しやすい環境が整っている。

サファリに参加すると、ジープから数メートル先を悠然と歩く虎に出会えることも珍しくない。木陰で休む姿、狩りの前に静かに息を潜める姿、子どもを連れて歩く母虎など、まさに“野生の王者”の姿を目の前で確認できる。どの瞬間も緊張と興奮が入り混じり、自然の迫力を全身で感じる体験となる。

サファリで感じる自然の美と緊張感

ランタンボールのサファリは早朝のツアーが中心である。冷え込みが厳しいため、出発前に宿泊先で毛布を借りて身体をしっかり温めておきたい。

朝焼けの中を走り、ひんやりとした空気を切り裂きながら森へ入っていく感覚は、インドでしか味わえない特別な時間である。光が差し込むと、クジャクの羽根、シカ鹿の群れ、ワニが静かに身を潜める湖など、多様な生態系が姿を現す。

自然の中で虎を待つ時間には独特の緊張感がある。ガイドが静かに耳を澄まし、シカの警戒鳴きや鳥の騒ぎなどから虎の接近を読み取る瞬間は、まるで映画のワンシーンのようである。

筆者は虎ではなくレオパードに遭遇することができた。サファリジープに広がる歓声と静寂が入り混じるあの高揚感は、生涯忘れられない記憶となっている。

サファリ体験に加え、歴史遺跡と自然が共存していることが、この公園を特別なものにしている。虎を探しながら古代遺跡を眺める体験は、世界でも珍しいものである。

ジャイプルやデリーからのアクセスも比較的良く、初めてインドを訪れる旅人でも挑戦しやすいことから、年末年始の冒険の地として強くおすすめしたい。

デリーからランタンボールへの行き方

1. 列車

  • 所要時間:約4.5時間
  • デリー → サワイマドプル駅
  • 駅から公園ゲートまで車で約20分
    → サファリ目的の旅人の定番ルートである。

2. 車

  • 所要時間:約6〜7時間
  • デリー → ジャイプル → ランタンボール
    → ジャイプルのホテルには日帰りツアーが多数用意されている。

              ツアーガイドが発見した虎の足跡

※写真は全て筆者が撮影( 2025.01.05)

参考:

阿部宣行

阿部宣行

インドネシアはジャカルタ在住。長年お世話になった東北や旅して回った国々の記事を執筆しています。
ローカリティ受賞歴:
ハツレポグランプリ2025 副編集長・丸山賞
写真受賞歴:
東京カメラ部×FUJIFILM10選 - Colors Like Film -フォトコンテスト2025
Fun,Fan,Find青葉 Fコン2025
仙台朝市銀座UNフォトコン2025
やっと連仙台 阿波踊りフォトコン2024
ウズベキスタンフォトコン2024

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です