奥州三名湯「飯坂温泉」の小さな宿からあふれ出る大きなおもてなし「鯖湖湯元 なかや旅館」(前編)【福島県福島市】 

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古からの歴史を育む奥州三名湯の1つ「飯坂温泉」

 「温泉」それは私たち日本人が古来より愛してきた安らぎ、癒しであり、温泉文化は未来永劫(えいごう)守っていくべき大切な日本の宝物のひとつです。筆者が住む東北地方には数多くの温泉、それも名湯がいくつもあります。今回は東北地方の中でも長い歴史を誇る奥州三名湯と名高い飯坂温泉で出会った素晴らしい宿をご紹介します。

宿のご紹介の前にまずは飯坂温泉そのものについて簡単に紹介します。飯坂温泉は福島県の県庁所在地である福島市飯坂町にある温泉地です。その歴史はとても古く、古事記に登場する伝説の英雄「ヤマトタケル」が入浴をしたところ病からたちどころに回復したという言い伝えがあるほどです。

以降も俳聖と名高い松尾芭蕉や正岡子規、また、与謝野晶子、ヘレンケラー。そして昭和天皇もご入浴された温泉地です。また飯坂温泉は日本で初めてラジウムが確認された地でもあり「いで湯とくだものの里」と称されるように飯坂町は季節ごとに上質でおいしい果物が収穫されている産地です。

地元福島県内は元より多くの人々に愛されてきた名湯飯坂温泉。その飯坂温泉において長い歴史を持つ飯坂温泉と飯坂町の魅力を感じ取れる宿に向かいます。

歴史ある温泉情緒が息づく温泉街に期待が高まる

今回は電車での移動を選択しました。まずは福島市の福島駅に到着。

ここから福島交通飯坂線(通称 飯坂電車、いい電)の電車に乗り移動します。

飯坂温泉への移動手段として昔から利用されてきた飯坂線の電車は、中心部を離れるにつれ、のどかでどこか心が落ち着く風景が広がっていきます。やがて終点の飯坂温泉駅で下車し目的地の飯坂温泉に到着しました。

摺上川(すりかみがわ)のほとりに立つ温泉街に溶け込んだ外観です。駅の横には摺上川にかかる十綱橋(とつなばし)が見えます。

1915(大正4)年に架けられた日本に現存する最古級のアーチ橋であるこの十綱橋と摺上川の景色は昔から飯坂温泉を紹介する際の定番と言えます。

「これぞ温泉旅館」明治時代創業の老舗旅館は訪れる人に安らぎと活力を与えてくれる

 飯坂温泉駅から徒歩数分。今回取材をさせて頂いた「鯖湖(さばこ)湯元なかや旅館」に到着です。

なかや旅館の創業は1893(明治26)年。長い歴史を持つ老舗のお宿です。

日本人の根底にある和室のくつろぎ

 なかや旅館の部屋数は6室。部屋はいずれも和室です。

すでに布団が敷いてありました。いつでも横になれるのは筆者のような者には嬉しい事です。

温泉の前に部屋で頂いたお茶菓子を紹介します。

飯坂温泉街の老舗和菓子店「紅屋本店」の「巻せんべい」です。第23回全国菓子博覧会にて名誉総裁賞を受賞したこのお菓子は、砂糖と水あめで作った有平糖を程よい甘さのせんべい生地で包んだものです。香ばしさと共にスッと舌になじむ甘さはお茶請けにピッタリです。

畳の温もりを感じる和室でのくつろぎはやはり良いものです。

飯坂温泉の象徴「鯖湖湯」宿にいながら源泉をたのしむ

なかや旅館は宿名に鯖湖湯元と付くように飯坂温泉の共同浴場の1つ湖湯から歩いて本当にすぐの場所にあります。鯖湖湯は飯坂温泉で最も歴史の古い湯で、1689年に飯坂を訪れた松尾芭蕉も入ったといわれています。

なかや旅館ではこの鯖湖湯の源泉を引いてかけ流しでお客さんに提供しています。

湯船は男女別に1つずつ。飯坂の湯は熱めなのが特徴の1つです。ほぼ無色透明でサラリとした中の柔らかい感触。身体の中に湯が浸透してかわりに疲れが抜けてゆくような感覚でした。

湯上りは身体がポカポカと温かく、身も心もスッキリと爽快です。さすが古より名湯とうたわれる飯坂の湯です。後編では温泉と並ぶ宿の楽しみのひとつ、食事をご紹介します。

後編へ続く

情報 

鯖湖湯元 なかや旅館
福島県福島市飯坂町字湯沢25
HP:https://iizaka-nakaya.com

上野尚吾

上野尚吾

秋田県大仙市出身。2020年にかねてより念願だった宮城県仙台市に移住し、物流関係の仕事に従事しながらライターになるための修業に取り組んでいます。

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